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2022年07月12日 12:20 更新

ホルモンの食べ過ぎのリスクは?体に悪い?栄養の特徴と適量を解説【管理栄養士監修】

焼き肉で食べることの多いホルモンにはいろいろな部位があります。赤身肉とは違った食感があり、好きな人も多いでしょう。とてもおいしいですが、ホルモンの種類によっては食べ過ぎのリスクに注意する必要があります。部位によるホルモンの栄養の違いとあわせて解説します。

ホルモンの栄養の特徴とは

焼き肉 ホルモン

食材におけるホルモンとは、肉の部分とは異なる内臓部位を指します。さまざまな種類がありますが、どのような栄養があるのでしょうか?

焼き肉のホルモンはどういう部位?

ホルモンにはいろいろな種類があります。焼肉でよく使われるおもなホルモンについて簡単に紹介します[*1]。

■レバー
肝臓。肉質は柔らかく、鉄やビタミンAが多い部位です。牛乳などにつけて臭みをとってから使うといいでしょう。
■ハツ
心臓。筋繊維が細かく食感がコリコリしています。
■タン
舌。脂肪が多く歯ごたえもあるため、薄く切って食べることが多いです。
■ハラミ、サガリ
牛の横隔膜。ハラミが腹側で、サガリは腰椎に近い部分です。柔らかくて脂肪があります。赤身肉のようにも見えますがホルモンです。
■ミノ
牛の第一胃。白っぽい色をしているのが特徴です。とても歯ごたえがあります。
■ハチノス
牛の第二胃。蜂の巣のような穴があいている様子から、このように呼ばれています。シコシコとした弾力のある食感です。
■シマチョウ
牛の大腸。太くて厚く、食感もしっかりめですが、脂がのっています。別名「テッチャン」とも言われます。

このほかにもいろいろなホルモンがあります。全体的に赤身肉とは異なって、硬い肉質のものが多いのが特徴です。焼肉で食感を楽しみたいときはホルモンも食べてみるといいかもしれませんね。

もつ鍋の「もつ」はホルモン?

もつ鍋

内臓を指すときに「もつ」と言うこともありますが、ホルモンともつは同じ意味になります。では、もつ鍋ではどの部位を使っているのかというと、一般的に牛肉の小腸であることが多いです。小腸はコプチャン、マルチョウなどと呼ばれ、裂いたものはコテッチャンとも呼ばれます[*1]。

もつ鍋に使うホルモンとしては、ほかにも、シマチョウやハツ、せんまい(牛の第三胃)、ギアラ(牛の第四胃)、ハチノスなどを入れることがあります。

脂質の多いホルモン

ホルモンは部位によって栄養上の特徴はそれぞれ異なります。特に脂質は、多いものと少ないものがあります。脂質が多いのは牛タン、ハラミ・サガリ、コプチャンです。脂質の摂り過ぎが気になるときには、これらは食べるのを避けたり、少量にしておくといいでしょう。

<おもなホルモンの脂質*>
牛タン 29.7g
ハラミ・サガリ 25.9g
コプチャン 24.7g
ハツ 6.2g
レバー 2.1g

(可食部100gあたり[*2])
*日本食品標準成分表2020年版(八訂)における「脂肪酸のトリアシルグリセロール当量」の値

糖質ゼロのホルモンもある

コプチャン 焼き肉

もし糖質の摂り過ぎを気にするなら、シマチョウやコプチャンがおすすめです。牛の大腸や小腸は糖質*が含まれません。このほか、ハラミやサガリなども少なめとなっています。

そもそも肉は糖質をほとんど含まない食べ物ですが、糖質量が「ゼロ」のお肉もあることを知っておくのは、よいかもしれませんね。もっとも、糖質を含まない反面、脂質は多めなので、食べ過ぎないようにしましょう。

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*日本食品標準成分表2020年版(八訂)における利用可能炭水化物(単糖当量)を指す

ホルモンを食べ過ぎたらどうなる?

ホルモンには赤身肉にはない特性があることをご紹介してきましたが、食べ過ぎたらどうなるのでしょうか?

牛タン、ハラミ|脂質の摂り過ぎ

牛タンやハラミ・サガリ、コプチャンは特に脂質の多いホルモンになります。たくさん食べてしまうと肥満につながるでしょう。

また、これらのホルモンに多い脂質は飽和脂肪酸という種類なのですが、飽和脂肪酸は摂り過ぎると血中の総コレステロールが増え、心筋梗塞などの血管の病気になるリスクが高まるとされることからも注意が必要です[*3]。なお、飽和脂肪酸はおもに肉などの動物性脂肪に多く含まれます。

飽和脂肪酸の摂取量は、成人ならエネルギー比率で7%以下*になることが目標です[*3]。たとえば2,000kcalほど食べる成人女性なら、15~16gほどとなります。牛タンやハラミなどは100gあたり11gほどの飽和脂肪酸を含むので、これらを100g食べたときは、それ以外の食事で肉の脂を控えるように注意しましょう。

また、他の食べ物も一緒に摂っているかも大切です。たとえば焼肉で「牛タンを食べたい!」と思ったときには、一緒にごはんや野菜も食べるようにしたいですね。

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*1日の摂取エネルギー(カロリー)のうち、飽和脂肪酸から摂るカロリーが全体の7%以下であること

Lazy dummy

なお、植物性の油には肉類ほど飽和脂肪酸が多くありませんが、カロリーが高いことには変わりないので、脂質の多いホルモンを食べたときには、油の摂取も少なめにできるとよいでしょう。

レバー|ビタミンAの過剰

レバニラ

ビタミンAがとても豊富なレバーは食べ過ぎに注意が必要です。

ビタミンAは体に必要なビタミンの1つですが、一度に摂り過ぎると頭痛、めまい、吐き気の症状が見られ、長期間の摂取では頭蓋内圧の上昇(偽脳腫瘍)、肝機能障害、皮膚の異常などが起こるとされています[*4]。そのほかにも、骨折リスクをあげるのではないかという研究もされています。

そのため、成人は1日あたり2,700μgRAEまでと上限量が設定されていますが[*4]、レバーを食べるとどのくらいの摂取になるのでしょうか? たとえば、レバニラ炒め(豚レバー60g使用)なら7,800μgRAEほどのビタミンAを摂ることになり、上限量を軽く超えてしまいますよね。

このように見ていくと、「レバーは食べられない」と思ってしまいますが、毎日2,700μgRAEを超えて食べなければ大丈夫です。たまに超えるくらいであれば問題ありません。 レバーを食べる頻度が多すぎないように気を付けましょう。

Lazy dummy

ビタミンAの過剰摂取はサプリメントから摂っている場合にリスクが高くなるので、レバーを食べたらビタミンAの入ったサプリメントは摂取しないようにすることも意識しましょう。

脂質異常症の場合|レバーのコレステロールに注意

レバーは脂質が低い食べ物ではありますが、コレステロールが多く、100gあたり牛レバーには240mg、豚レバーには250mgが含まれます。脂質異常症になっている人の場合、重症化予防の目的からコレステロールの摂取を1日200mg未満にとどめることが望ましいとされています[*4]。そのため、レバーを食べるときは1日トータルで80gまでにするとよいでしょう。また、ビタミンAのこともあるので、毎日レバーを食べるのは避けてくださいね。

ホルモンは1日どのくらいがよい?

ホルモン焼き

ホルモンの種類によっては食べ過ぎのリスクがありますが、1日の適量はどのくらいかがよいのでしょうか?

1日の適量は100g程度

食事バランスガイドでは1日の主菜(肉魚などのたんぱく質)の目安として、成人なら3~5単位としています。1単位はたんぱく質約6gを指すため[*5]、ホルモンならだいたい50gが1単位になると考えておくといいでしょう。

3食の主菜がすべてホルモン料理というケースは稀かと思いますが、赤身肉や魚、卵に含まれる栄養も摂りたいことを考えると、ホルモンの適量は2単位=100g程度がちょうどよいのではないでしょうか。

Lazy dummy

もちろん、脂質の多いホルモンもあるので、必ずしも50gでたんぱく質が6g含まれるわけではありませんが、だいたいの目安でとらえることも大切です。

焼き肉での食べ過ぎを防ぐ簡単な方法

ダイエット中などは、牛タンやハラミなどの脂質が多いホルモンの食べ過ぎに特に注意したいものですよね。食べ過ぎを防ぐために「ホルモンは〇g!」と決めるのもいいですが、他の食べ物にも意識を向けましょう。健康的にダイエットしたいと思ったら、ごはん(穀類)、野菜類、肉類のバランスが大切です。

\食べ過ぎを防ぐ方法/
焼肉などで食べ過ぎを防ぎたいと思ったら、見た目で肉よりも野菜が多いかを確認しながら食べるのがおすすめです。せっかくだから肉もしっかり食べていいですが、野菜も忘れずにたくさん食べましょう。サンチュなどで肉を巻いて食べる、焼き玉ねぎと一緒に食べるなどの工夫をするといいですね。

まとめ

ホルモンはいろいろな種類があり、それぞれに脂質や糖質などの特徴があるのがおわかりいただけたでしょうか。焼き肉のお店に行ったときには100g以上食べることもあるでしょう。そういう日は特別と考えて、あまり気にしなくてもかまいません。他の日に魚や卵、大豆製品などの違うたんぱく質や、野菜、穀類をしっかりとっていきましょう。ホルモンはちょっと脂質が多いということを覚えておいて、他の食事では揚げ物など油を使った料理を控えるなど、調整をするのもいいかもしれませんね。

(文・監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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