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2021年08月07日 16:00 更新

【医師監修】妊娠検査薬で時間が経ってから陽性……妊娠の可能性は?

妊娠検査薬がすぐには反応せず、判定線がしばらくしてから現れることがあります。この場合も「陽性」と思っていいのでしょうか? 今回は、時間が経ってから線が出たときに考えられる原因と、妊娠の可能性などについて解説します。

妊娠検査薬で時間が経ってから陽性反応が出る理由

妊娠検査薬
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妊娠検査薬は、尿の中に含まれる「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンを検出すると、反応する仕組みになっています。

hCGは、妊娠初期に受精卵が着床すると分泌されるようになるホルモンで、分泌量が増えると尿の中にも出てくるようになります。これが尿中に一定量以上含まれていると検査薬が陽性の反応を示します。

蒸発線が出た

妊娠検査薬の説明書などには、判定時間の目安が記載されていますが、その時間を過ぎてから、判定窓にうっすらとした線の現れることがあります。その線が「ごく薄いグレー」など、陽性のときに現れるものとは明らかに異なる色の場合には、「蒸発線」を疑いましょう。

蒸発線は、時間の経過によって検査薬にしみこんだ尿から水分が蒸発し、尿に含まれる老廃物などの濃度が上がって、周囲よりも色が濃くなって線に見える状態です。hCGに反応して出た線ではないため、蒸発線の場合は「陰性」と判定されます。

尿が薄い状態になっていた

妊娠している場合でも、妊娠検査薬を使う前に水分をたくさん飲むと尿が薄くなるので、尿中のhCG濃度も薄くなることがあります。それによって妊娠検査薬で検出できる限界より尿中hCGの濃度が低くなっていれば、判定線は出ず陰性になります。

ただ、この場合も尿をかけてから時間が経ってから判定線が出てきたり、薄い色の線が出ることがあるかもしれません。線の色は、蒸発線とは違って、濃淡はあってもその妊娠検査薬で陽性の時に出るとされる色のはずです。

hCGホルモンの量が少なかった

hCGの分泌量がまだ少ない時期に妊娠検査薬を使った場合にも、判定線がなかなか現れない可能性はあります。

通常タイプの妊娠検査薬は、hCGの濃度が50IU/L(尿1L中にhCGが50IU)以上になると「陽性」の判定が出るように作られています。この基準を満たしていれば、検査薬に尿をかけると間もなく赤やピンク、青など、メーカーごとに陽性とされる色の線がはっきり出てくるでしょう。

ただ、実際はhCG濃度が50IU/Lより低くても検査薬が反応することはあります。その場合は判定線の色がとても薄かったり、読み取れるまでに時間がかかる可能性もあるのです。これは、通常タイプの妊娠検査薬の使用推奨時期とされる「生理開始予定日の1週間後以降」より前に使った時、起こりやすいと考えられます。

時間が経ってから陽性反応が出たケースの妊娠可能性

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時間が経ってから判定線が出た場合、薄くて色もはっきりしなければ陰性ですが、色がわかるようなら陽性の可能性はあります。ただ、これだけで正確な判定をすることはできないので、わかりにくいときは再検査をしたうえで受診するといいですね。

検査薬で結果が出るまでの通常の時間

検査薬に尿をかけてから判定結果が出るまでの時間の目安は、説明書やメーカーの公式サイトの製品情報ページなどに記載されています。それによると、ほとんどの妊娠検査薬は、判定が出るまでの目安時間を「10分以内」としているようです。

検査薬に尿をかけてもしばらく反応がなく、判定の目安時間を過ぎてから線が現れてきた場合には、検査が正しく行われなかったと考えましょう。この場合は検査の失敗として判定を避けるように、と各メーカーも説明書などで注意しています。

妊娠の可能性はどれくらい?

妊娠検査薬は、尿中に含まれるhCGだけに反応して、妊娠しているかどうかがわかる仕組みです。そのため、hCGが分泌されていないのに、陽性を示す判定線が出ることはありません。

判定線がすぐには出なくても、目安時間内に陽性とされる色の線が出てきたのであれば、多くのメーカーが「検査は成功したと思ってよい」としています。色は多少薄くても、ピンクや青などとわかる線が出ているなら、陽性=妊娠している可能性が高いでしょう。

数日後に再検査しましょう

時間が経ってから判定線が出たときには、前述したように「蒸発線」の場合もあれば、「尿が薄かった」場合や「hCGの量が少なかった」場合などが考えられます。線が薄くて色もわかりにくく判断が難しいときには、数日経ってから再検査をしてみましょう。

その結果、今度は色のはっきりした濃い判定線がすぐに現れれば、妊娠している可能性がかなり高くなります。そのときは超音波検査で妊娠を確定してもらうため、早めに医療機関を受診してくださいね。

また、判定時間の目安を過ぎてから線が出てきたときにも、正しい結果を得るため数日後に再検査してみることをおすすめします。

妊娠検査薬で正しい結果を得るための注意点

妊娠検査薬に関する疑問
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精度が高いと言われる妊娠検査薬ですが、正しい結果を得るには使用期限内のものを使うことと、正しい使用法で検査をすることが条件です。

妊娠検査薬は「正しく使用」する

妊娠検査薬を使う際には、説明書をよく読んで正しい使い方をしましょう。まず、妊娠検査薬が「使用期限内」のものかをチェックし、「生理開始予定日1週間後以降」の推奨時期に使用してください。

尿が薄まるとhCGの濃度も薄くなるため、水分をたくさん飲んだ後の検査は避けたほうが無難です。妊娠検査薬はどの時間帯でも使用できますが、尿の濃度が検査結果に影響するのを防ぐため、「朝一番の尿」を勧めているメーカーもあります。

採尿した尿を使うときは、尿を採ってからできるだけ早く使いましょう。尿は時間が経つと、雑菌が繁殖するなどで正確な判定が出にくくなるので、長時間放置した尿を使うのは避けてください。

また、「尿にひたす時間(判定が出るまでの時間)」は製品ごとに異なることがあるので、使用前に使い方をよく確認しましょう。使用時、「尿をかけた妊娠検査薬は水平にした状態で判定を待つ」などの条件のある検査薬もあります。

妊娠検査薬はどれも、基本的な使い方はだいたい同じですが、製品によって注意点や使用条件には多少違いがあります。説明書の注意事項は、よく読んでしっかり守ることが大切です。

期限切れの妊娠検査薬を使わない

妊娠検査薬の薬剤は、使用期限が切れていると変化したり劣化したりするため、正しい結果が得られないことがあります。市販の妊娠検査薬の使用期限は、製品の外箱に記載されていたり、個包装の場合は袋に書かれています。

通常の妊娠検査薬の使用期限は、「36ヶ月(3年)以内」のものが多いのですが、「25ヶ月」「30ヶ月」などのものもあります。メーカーや製品ごとに多少異なることがあるので、購入するときや使う前には使用期限を確認し、必ず期限内のものを使ってくださいね。

陰性か陽性かわからない場合は病院で検査を

市販の妊娠検査薬は、妊娠している場合は99%以上と言われるほどの高い精度で陽性の判定が出ると言われています。ただしそれは、使用期限内のものを正しく使用した場合です。

時間が経ってから判定線が出るなど、陰性か陽性かはっきりしないときや判断に迷うときにはしばらく経ってから再検査するか、受診して検査を受けましょう。

まとめ

ベビー服のイメージ
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妊娠を心待ちにしている人は、時間が経ってからでも妊娠検査薬の判定窓に線が現れたら、「陽性?」とうれしくなりますよね。でも、線が出てきたのが目安時間を過ぎてからだったり、色がグレーなどで薄い場合には、残念ながら検査に失敗したか蒸発線ということも考えられます。

妊娠検査薬は99%の高い精度を誇りますが、使うタイミングが早過ぎたり使い方を間違えたりすると、正しい判定が出なくなってしまいます。妊娠検査薬は焦らず適切な時期に正しく使って、正確な結果を得たいですね。

(文:村田弥生/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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