【医師監修】赤ちゃんの満腹中枢はいつから発達する?母乳・ミルクの飲みすぎは大丈夫?

【医師監修】赤ちゃんの満腹中枢はいつから発達する?母乳・ミルクの飲みすぎは大丈夫?

赤ちゃんが母乳やミルクをごくごく飲んでくれるのは嬉しいことですが、満腹中枢が未熟なために飲みすぎてしまうのでは? と気にするママ・パパもいるようです。今回は、赤ちゃんの満腹中枢の発達と、飲みすぎかどうかの目安や対応についてご紹介します。


この記事の監修ドクター
順天堂大学医学部付属練馬病院 小児科 丘逸宏 先生
北里大学医学部卒業後、順天堂医院小児科、もりおかこども病院、国立成育医療研究センター消化器科を経て現職に至る。小児消化管を専門に日々超音波や内視鏡などを駆使して診療にあたっています。

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赤ちゃんの満腹中枢はいつから機能する?

赤ちゃんにも大人と同じように満腹中枢がありますが、生まれたばかりは未発達の状態です。ただ、実際にいつごろまでに十分発達するのか、まだはっきりわかっていないことが多いのです。

そもそも満腹中枢とは

脳には、内分泌や自律機能の調節を行う視床下部という総合中枢があり、そこには食欲をコントロールする2つの中枢もあります。

その1つが「満腹中枢」です。何か食べて血糖値が上がると、その刺激を受けて食欲を抑える働きがあります。満腹中枢はよく噛んでゆっくり食べると刺激されやすくなり、食べすぎを抑えることができると言われています。もう1つは「摂食中枢」と言い、胃が空になって収縮すると摂食中枢が刺激されて食欲がわいてきます。

赤ちゃんの満腹中枢はいつ発達する?

赤ちゃんの満腹中枢は、生まれたばかりのころは未発達で日に日に発達していきますが、いつまでに大人と同じぐらいにまで発達するかははっきりわかっていません。発達の進み具合には個人差もあるので、一概に「〇ヶ月ごろ」と言うことはできないのです。

赤ちゃんのサインをよく見て授乳の過不足を判断

赤ちゃんが満腹かどうかを判断するには、月齢が小さいうちは母乳やミルクの飲み方がおもな手がかりになります。赤ちゃんは空腹のとき、ママや哺乳びんの乳首が口の近くに来るとすぐに吸いつき、吸い続けますが、満腹になると吸う間隔が空いてきます。また、おっぱいや哺乳瓶から目をそらしたり、乳首をくわえる力が緩んだりしたら、おなかが満たされてきたと思っていいでしょう。

授乳の回数や授乳間隔だけでは、飲みすぎかどうかを見極めるのは難しいものです。母乳の場合は新生児期で1日に8〜12回、または2〜3時間ごとに飲むと言われています。成長するにつれて授乳の間隔があいてきて回数も減ってくるので、5~6ヶ月になると授乳回数が1日8回未満になる子も多いものです。ただ、これはあくまでも目安で、赤ちゃんの飲み方や飲む量、体格、母乳の出具合などによっても変わってきます。

ミルクの場合、1回量は容器に書かれている目安を参考にしますが、やはり個人差があり、赤ちゃんの体格や飲み方などによっては目安量では足りないこともあります。

満腹中枢が発達する前は飲みすぎ注意?

赤ちゃんが飲みすぎる原因は満腹中枢の未発達と言われますが、冒頭でお伝えしたように、赤ちゃんの満腹中枢について、詳しいことはわかっていません。それ以外にも考えられる原因があります。

赤ちゃんが母乳を飲みすぎる原因

母乳を飲んでいる赤ちゃんが飲みすぎるのは、おもに3つの原因が考えられます。

1.母乳はミルクより消化が早い

母乳はミルクに比べて消化時間が短いので、ミルクよりおなかが早くすきやすく、頻繁に飲みたがることがあります。「こんなに飲んでばかりで大丈夫?」と不安になるかもしれませんが、実際には“飲みすぎ”ではありませんので、赤ちゃんが欲しがるままに授乳していいでしょう。

2.母乳の出が良すぎる

母乳は、1回の授乳中に成分が変化していきます。最初は脂肪分が少なく、乳糖とタンパク質が多いのですが、だんだん脂肪分をたくさん含んだ母乳が出てきます。

ママの乳房が空になるくらいまで飲めば、脂肪分が多くカロリーの高い母乳が飲めるので腹持ちがよくなります。ところが母乳の出が良すぎると、赤ちゃんは乳糖とタンパク質が多い母乳を飲んで胃袋がいっぱいになってしまいます。脂肪分の多い母乳による満足感を得られず、すぐにおっぱいを飲みたがり、飲みすぎにつながってしまうことがあります。

3.「泣く=空腹」と思って飲ませてしまう

赤ちゃんがなかなか泣き止まないときには、ママや周囲の人はまず、「おっぱいが足りていないのでは?」と思うのではないでしょうか。しかし、赤ちゃんは空腹以外にも、甘えたい、眠い、おむつが汚れている、おむつかぶれが痛い、室温が暑い・寒いなどで不快、といったさまざまな理由でもよく泣きます。

生まれてしばらくは、口の近くにあるものや口に入ってきたものを強く吸う「吸啜(きゅうてつ)反射 」という原始反射が残っています。満腹でも、乳首が口に触れたり指で唇をさわったりするだけで赤ちゃんが吸いつこうとします。

そのため、十分飲んでいるはずなのに授乳後に短時間で泣くときは、すぐに飲ませるのではなく、まずは、おむつやお尻の状態を見たり、背中に手を入れて汗をかいていないか、または体が冷えていないか、などをチェックしてみましょう。

さらに、やさしく話しかけたる、抱っこするなどのスキンシップをすると、泣き止むことも多いものです。

赤ちゃんがミルクを飲みすぎる原因

母乳は、赤ちゃんがママの乳首を一生懸命に吸わないと出てきませんが、哺乳びんの乳首は、穴の形によってはママの乳首に比べてミルクが出やすくなります。たとえば、吸う力のまだ弱い新生児向けに、赤ちゃんが吸わなくても傾ければミルクが落ちてくる丸穴タイプといったものもあります。

赤ちゃんにミルクを吸う力がついてきたのに丸穴タイプで飲ませていると、赤ちゃんは吸いやすいのでどんどんミルクを飲んでしまうことがあります。

赤ちゃんの飲みすぎのサイン

赤ちゃんが飲みすぎている場合はいくつかのサインが見られます。

お腹が張っている

母乳やミルクを飲みすぎると消化が間に合わず、胃の中に母乳やミルクがたまっているので、お腹がパンパンになります。

また、赤ちゃんは、月齢が小さいころには飲むのがまだうまくないため、授乳のたびに空気も一緒に飲み込みがちです。母乳やミルクを飲む量が多ければ、飲み込む空気の量も増えることになります。飲み込んだ空気を出すため授乳後にはゲップをさせますが、量が多くてうまく出きらないままだと、おなかが張ってしまうことがあります。

苦しそうにうなり声をあげる

赤ちゃんは飲みすぎたときに、苦しくてうなることがあります。授乳後に、吐き戻すことが多かったり不快そうに泣いたりする、おなかが張っている、などに加えて、苦しそうに顔を赤くしてうなる様子が見られるときは、飲みすぎが考えられます。

授乳後ゲップをさせても吐き戻す

授乳後にゲップがうまく出ているのに吐き戻すときは、飲みすぎかもしれません。ただし、飲みすぎとは思えないのに吐き戻すことが多いときは、何らかの病気も考えられます。

はき戻し以外に以下のような症状が見られたら、飲みすぎではなく病気のサインです。すぐにかかりつけの小児科を受診しましょう。

●体重がなかなか増えない、増え方が悪い
●これまでなかったのに、急に勢いよく、あるいは大量に吐くようになった
●授乳後の呼吸がおかしい
●不機嫌、飲みっぷりが悪い、顔色が悪いなど、気になる様子が見られる
●発熱、下痢、血便などの症状を伴う

なお、赤ちゃんの吐き戻しについては、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。
【助産師解説】新生児の吐き戻しはなぜ起こる?考えられる3つの原因と対策

1日の体重増加が多い

赤ちゃんの1日の体重増加は、生後3ヶ月までは25~30g、3~6ヶ月で15~20g、6~12ヶ月で10~15g[*1]が目安です。1ヶ月くらいで見て、生後3ヶ月までは750~900g、3~6ヶ月で約450~600g、6~12ヶ月で約300~450gくらいの増加なら、まず心配いりません。ただ、これ以上に大幅に体重が増えているようなら、飲ませ過ぎの疑いがあります。

赤ちゃんが飲みすぎだと思ったら

飲みすぎが原因で、赤ちゃんが過飲症候群になることもあります。体重増加が多いようなら、まず、かかりつけの小児科に相談するか、母乳外来で授乳の状態をチェックしてもらうといいでしょう。

飲みすぎが続くと「過飲症候群」になる可能性も

数日から数週間にかけて母乳やミルクを飲みすぎると、「過飲症候群(別名・飲みすぎ症候群)」になることがあります。

さまざまな症状が現れますが、もっとも特徴的なのが、体重増加が通常よりもかなり多いことです。1日50g以上の体重増加が目安とされます(低出生体重児の場合はこれより少ないこともあります)。それ以外にも、大量に吐き戻す、喉が鳴る、お腹がパンパンに張るなどの症状が見られます。

「症候群」とついてはいますが、深刻な病気ではなく、多くの場合は授乳の工夫で解決します。医師や助産師の指導のもと、母乳やミルクの量を見直し、症状の改善を図っていきます。

過飲症候群については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
【医師監修】過飲症候群とは? 母乳・ミルクの飲みすぎによる症状と泣き止まないときの対処法

体重増加が心配なときには医師に相談

赤ちゃんが飲みすぎているかどうかは、母乳の場合は飲んだ量がわかりませんし、ミルクも目安量だけで判断することは難しいものです。

飲みすぎにより過飲症候群になっているかを判断するには、まず体重の増え具合を見ましょう。1日あたりで50g以上の体重増加があり、そのほかにも過飲症候群を疑う症状がある場合は、自己判断せず、かかりつけの小児科に相談してください。症状によっては、過飲症候群以外の病気の可能性もあります。

過飲症候群だとわかったら、医師や助産師と相談しながら、飲ませる量や授乳回数を調整していきましょう。

まとめ

赤ちゃんの飲みすぎは満腹中枢が未発達なためと言われますが、満腹中枢の発達時期についてはよくわかっていません。飲む量には個人差もありますし、「泣く=空腹」ではないのに飲ませ過ぎてしまっているなどのケースもあるでしょう。

母乳の場合、基本的に赤ちゃんが飲みたいだけ飲ませて大丈夫ですが、飲みすぎのサインが見られないかどうか、授乳後の赤ちゃんの様子をよく見てあげてくださいね。

(文:村田弥生/監修:丘 逸宏 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]厚生労働省「乳幼児身体発育マニュアル」 P24 表4
[*2]アメリカ産婦人科学会 よくある質問 赤ちゃんの母乳育児「赤ちゃんに母乳を与える頻度はどれくらいですか?

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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