帰国までに“秋のオーロラ”は見えるか!? フィンランド「イナリ」で最後のオーロラチャンス
「#夢をかなえるフィンランド北部の旅」と題してお届けしてきたラップランドの旅。フィンランドのオーロラは秋と春が見られる確率が高く、ラップランドでは1年のうち約200夜見られるにも関わらず、私はまだオーロラを見ることができていませんでした。観光最終日、たどり着いたのはオーロラハンティングで有名な「イナリ」! 日中は先住民族のイナリ・サーミについて学び、夜は最後のオーロラチャンスに賭けてみました。
イナリ・サーミとトナカイ14頭が暮らすおうちへ
サーミはノルウェー・スウェーデン・フィンランド・ロシアの4カ国で暮らしている北極圏の先住民族。そのうちイナリで数千年前から暮らしているのが「イナリ・サーミ」で、現在はわずか300人の少数民族です。その文化を学びながら、かわいいトナカイたちとふれあえる牧場が「Tuula’s reindeer」。「Traditional handicrafts and meeting the reindeer(2〜6人のグループは1人あたり60€)」では家主のトゥーラさんからイナリ・サーミの暮らしを学び、トナカイたちに会うことができるアクティビティです。
トゥーラさんは母親から血筋を受け継いだイナリ・サーミ。その生活は都会に住む人たちとは大きく異なり、スーパーで野菜を買うことはなく、自給自足です。必要なものはトナカイの皮と物々交換し、地元の植物を使って羊毛を染めたり、伝統的なトナカイブーツを作ったり、ラップランドの自然に寄り添って暮らしています。寒さを凌げるトナカイブーツは、イナリ・サーミの人たちのマストアイテム。雪が入らない構造なので、外でも履けるそうです!
トゥーラさんが飼っているトナカイは現在14頭。そのうち4頭は生まれてまだ3〜4カ月の子トナカイです。エサやり体験ではトナカイの好きな葉っぱをあげることができ、ムシャムシャと食べる子トナカイはとってもキュート! トナカイたちはみんなトゥーラさんのことが大好きのようで、ずっと隣にくっついていました。
トナカイは冬に雪の上でソリを引いて荷物を運ぶのが仕事。夏〜秋は放牧されていて、冬になる頃に集められます。でも、放牧された後、どのトナカイが自分のトナカイなのか、わからなくなりそうですよね? その判断のために大切なのが、耳の「マーク」。このマークはトゥーラさんのトナカイということを表していて、ほかの人が飼っているトナカイと判別できるようになっています。マークは近づかないと見ることができないので、こんなにも近くでトナカイを見られるのもこのアクティビティの魅力!
・Tuula’s reindeer
住所:Tulvalahdentie 235, 99870 Inari
HP:https://tuulasreindeer.weebly.com/
イナリ・サーミの貴重な資料が集まる「SIIDA」
イナリへ訪れたら、Sámi Museum and Nature Centre「SIIDA(入館料:15€)」もお見逃しなく。サーミの文化・歴史についての展示を見学できる博物館で、「European Museum of the Year Award 2024」も受賞しています。今回、案内してくれたのはイナリ・サーミのウルプさん。民族衣装の展示では家族ごとに模様が異なる衣装を見ることができ、写真後ろにある伝統的な衣装は「私の祖母が縫ったものです」と教えてくれました。よく見ると、ウルプさんの服と似たデザインです!
屋外の展示はイナリ・サーミの人たちが実際に暮らしていた家を移築したもの。この木造の家はウルプさんのおじいさんが生まれたおうちで、伝統的なイナリ・サーミの暮らしを垣間見ることができました。家の中も見学でき、目に留まるのは石の暖炉や毛皮。自然の素材を活用しながら寒さが厳しい北極圏で生きる、イナリ・サーミの知恵を感じられます。
・SIIDA
住所:Inarintie 46, 99870 Inari
HP:https://siida.fi/en/
オーロラハンティングに便利! 「Wilderness Hotel Juutua」
世界中の人たちがオーロラを見に来るイナリには、イナリ湖近くにさまざまなホテルがあります。今回宿泊したのはイナリ湖まで徒歩圏内の「Wilderness Hotel Juutua」。80年以上前に創業した歴史あるホテルですが、近年リニューアルし、新しい客室と設備で快適な滞在をかなえてくれます。
注目はプライベートな空間で楽しめる「貸切サウナ」(1.5時間 1人 75€)。大きな窓から川を望む空間で、ほかの人に気兼ねすることなく、友達や家族と一緒にサウナを楽しめます。クールダウンは近くのユウトゥア(Juutua)川に入ってもよし、外気浴もよし。自然に包まれながらラグジュアリーなジェットバスを楽しむのも幸せでした……。
夕食&朝食は洗練されたラップランド料理が食べられる「Aanaar Restaurant」へ。トナカイや魚など、地元の食材にこだわっているのが特徴です。
季節によってメニューは変わり、この日ディナーコース(3品 68€)のメインとしていただいたのは「Apaja」と名付けられた魚料理。イナリ湖で採れた白身魚を、キャロットソースとともにいただきました。こんがり焼かれた付け合わせのローストキャベツも絶品。イナリで収穫された野菜と魚を深く堪能できました。
品数豊富なビュッフェスタイルの朝食で見つけたのはフィンランド産のベーコンやソーセージ、そして燻製されたレインボートラウト。フィンランドらしいベリージャムやブルーベリージュースと一緒に楽しみました。
・Wilderness Hotel Juutua
住所:Saarikoskentie 2, 99870 Inari
HP:https://wildernesshotels.fi/wilderness-hotel-juutua
あと1日早ければ……幻となった、湖面に映るオーロラ
Wilderness Hotel Juutuaでディナーを食べた後、ドキドキしながら外に出て空を見上げた私。結論から申し上げますと、この日もあいにくの曇り空で、私はオーロラを見ることができませんでした……。実は私がロヴァニエミに滞在していた日、2日連続でオーロラがきれいに見えていたそうで……!! つまり、あと1日早くサーリセルカやイナリに移動していれば、オーロラが見えていたのです。イナリ湖に反射する、秋のオーロラが見たかった……悔しい……。
そうするとオーロラのイメージ通り「冬の極寒の時の方が見やすいのでは?」という思考になったのですが、そうでもないようです。フィンランドでオーロラを見られるシーズンは8月末から4月の間。特にオーロラの活動がもっとも活発な「秋」と「春」は見やすく、統計的には2夜に一度の割合で見られるとのこと! 私はサーリセルカとイナリが2日のみの宿泊だったので、最低でも3日以上は宿泊したほうがよかったのかも、と思いました。オーロラが第一目的という人はフィンランド気象庁による「Auroras and space weather」をチェックしながらオーロラハンティングに臨むのもおすすめです。春・秋のラップランドは夜でも15度前後と快適で、氷点下になる冬に比べるとはるかに楽ちん。私もまた春もしくは秋に訪れ、「オーロラを鑑賞するぞ」と心に決めました……!
・フィンランド気象庁「Auroras and space weather」
HP:https://en.ilmatieteenlaitos.fi/auroras-and-space-weather
北欧デザインのかわいいラウンジも。イヴァロ空港からヘルシンキ経由で日本へ
後ろ髪引かれながら、イナリの「イヴァロ空港」から日本へ帰国。復路もフィンエアーを利用し、ヘルシンキ経由で羽田空港へと向かいました。
ヘルシンキでは約3時間乗り継ぎ時間があったので「フィンエアーラウンジ」でリラックス。ダークブルー×白と木材を活かした北欧らしいデザインのラウンジで、出発までドリンクや料理を楽しむことができます。フィンエアーラウンジはビジネスクラスの搭乗者やFinnair Plusの特定会員などが無料で利用できるほか、有料のパスを購入することでも利用可能。ちなみにワンワールドの各航空会社のマイレージプログラムの超上級会員のみが入れるラウンジ「Finnair Platinum Wing」はサウナもありました。ワンワールドはFinnairやJALが加盟しているアライアンス。空港のラウンジにサウナがあるとは、さすがフィンランドです!
復路はビジネスクラスを取材。2024年6月に長距離路線の使用機材すべての客室のリニュールを終えていて、今回搭乗したA350のビジネスクラスもダークブルーが印象的な新しいデザインでした! ビジネスクラスといえば「フルフラットで寝られる」ことが大きな利点ですが、Finnairのシートは“リクライニングしないのにフルフラットになる”ことが特徴。フットレストをあげるとフルフラットになる仕組みで、操作がとても簡単です。私はほかのビジネスクラスに搭乗した時にフルフラットにする方法がよく分からず、CAさんにお願いした経験があるのですが、Finnairのシートは簡単だったので、ビジネスクラスに乗り慣れていない私でもスムーズにフルフラットにできました……!
・Finnair
フィンランドの大自然やフィンランドの人たちの優しさにふれ、大充実の時を過ごせたフィンランド・ラップランドの旅。オーロラを見ることはできませんでしたが、それ以上に自然に寄り添って幸せそうに暮らすラップランドの人たちと交流できたのは、かけがえのない経験でした。フィンランド北部のラップランドは大切な「何か」を教えてくれる場所。仕事やプライベートで迷子になっている働く女子に、心からおすすめできる旅行先ですよ。
※€ 1=157.58(2024年9月18日現在)
取材協力:Visit Finland、Visit Rovaniemi、Lapland North Destinations、フィンエアー/Finnair
(撮影・取材・文:小浜みゆ)
※この記事は2024年11月04日に公開されたものです