株主優待目的で株を始めるのってアリ? 選ぶ時のポイントはここ
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、丸山晴美さん。
今回のお悩み「株主優待目的で株を始めるのってアリ? 株主優待がお得な会社を教えて!」
株式投資に興味があるのですが、株でがっつり儲けたいというよりは、好きな企業や日常的にサービスを利用する企業の株主優待が気になっています。株主優待目的で株式投資をする際の注意点や、株主優待がお得な会社を教えてください。(30代/事務)
「株主優待」って何?
株主優待とは、企業が株主に対して行う「ファン感謝」「プレゼント・特典」のようなもの。
企業が提供している商品やサービスなどの優待品や優待券を株主へ送ることで、実際に商品を使ったり、サービスを体験することで、その企業の活動を知ってもらう目的があります。そしてまた、少しでも多くの株を保有してほしい、継続してほしいなどの意図があります。
株主優待から興味を持って、株式投資を始めること自体は投資に興味を持つ入り口としてはよいことと言えます。しかし、あくまでも株式投資であることを忘れないようにしましょう。株主優待だけを目的にすると、業績によって株価が大幅に値下がりして優待以上の損失を被るリスクがあります。
そのため、これから成長が見込めて、業績が安定している企業の株を選び、プラスで株主優待をチェックする……というくらいのスタンスがいいでしょう。
また、投資をしようと考えている企業の株式情報等は、一通りチェックしましょう。例えば、四季報・評価レポート・ニュース・業績・チャートなどを見て、タイミングを狙って買うのがおすすめです。
株主優待目的で、おすすめの投資先は?
株主優待でいうと、食品業界と美容業界が女性に人気です。カゴメのケチャップやトマト缶、飲料などの詰め合わせ、マンダムだとギャッツビーやルシードなどの製品詰め合わせ、ポーラオルビスだとボディシャンプーやリンクルショットなどに交換できる優待カタログが届きます。
ただ、株式を株主優待がもらえる単元(100株など売買単位のこと)まで買う場合、例えばK社の場合、100株以上保有していると、年1回2,000円相当の自社製品の詰め合わせがもらえますが、2024年7月9日の終値は3,355円でしたので、最低でも33万5500円の投資資金が必要となり、優待利回りは0.59%です。年1回の2,000円相当の商品のためにその金額が出せるかもしっかりと考える必要があるでしょう。
もちろん、株を保有していて、なおかつ企業が内容を改定しない限り、優待品や配当はもらえますので、定期的に製品などが送られてくる楽しみはありますが、あくまでも投資には変わりありません。
株式自体が値上がりすれば、その分資産は増えますが、下がればその分資産が目減りすることも忘れてはいけません。そのあたりもよく考えて、同じ「投資」をするなら、株主優待はもちろんのこと、より魅力的な企業を探したいですよね。
企業によっては、長期で株式を保有していると株主優待が増えるなど、プラスアルファの楽しみもありますよ。
初心者の方やあまり手元にお金がなく、「一気に数十万円出せない」という方は、NISA口座の成長投資枠でミニ株(単元未満株)から始めるのがおすすめです。ミニ株で増やしていって、単元株になれば晴れて株主優待を受け取ることができます。
株主優待目的で保有した株が値下がり傾向。手放すべき?
値下がり傾向=すぐに手放すべきかといえば、ケースバイケースです。長期でほったらかしていい企業と、サクサク次に行くべき企業があるので、一概には言えません。
しかし、確かに塩漬けするのはもったいないケースも。例えば、10%株価が値下がりしたら損切りをして、値上がりが期待できてかつ株主優待が魅力的な他の企業に乗り換えるのも一つの手法です。
下がった理由が短期的なのか、これからずっと続くものなのかによっても売買判断が異なるので、そのあたりも勉強しつつ、ご自身の感覚を磨いていくのがいいでしょう。投資は自己責任で、余裕資金からスタートするのがセオリー。
株はいろんな角度から投資判断をするものなので、株主優待だけで投資判断をすると痛い勉強代になってしまうことも。注意点に気をつけながら、優待生活を楽しんでみてくださいね。
令和のマネーハック100
株主優待きっかけで投資を始めるのはアリ! しかし、値下がりのリスク、優待で結果的に損をすることも。あくまで「プラスアルファ」程度で楽しんで。
(監修:丸山晴美、取材・文:高橋千里、イラスト:itabamoe)
※この記事は2024年07月15日に公開されたものです