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竹内涼真が“行き詰まりを感じた俳優人生”で見つけた答え

#私たちの推しメン

渡邊玲子

毎日生きるのに一生懸命な私たちを癒やしてくれるのは、大好きなあの芸能人。マイナビウーマン編集部・ライターが今気になる「推しメン」にスポットライトを当ててインタビュー。彼らのかっこいい姿を写真と共にお届けします。

取材・文:渡邊玲子
撮影:大嶋千尋
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部

竹内涼真さんが主演を務める人気ゾンビサバイバルドラマ『君と世界が終わる日に』のSeason4が、オンライン動画配信サービスHuluで独占配信中です。

本作は、ゴーレムと呼ばれるゾンビに占拠された終末世界を舞台に、竹内さん演じる主人公・間宮響が、仲間たちと共に生き残りを懸けた壮絶な闘いに挑み続ける物語。

Season1から響を演じてきた竹内さんは、シリーズ全体を通して何を感じたのでしょうか。また、30歳の誕生日を目前に控えた今、竹内さんが俳優として追い求めたいことについてもお話を伺いました。

本作は「主人公の在り方」を教えてくれた

――まずは過去シーズンを振り返りつつ、Season4への想いを教えていただけますか?

これまでのシリーズでも常に新しい挑戦をしてきましたが、Season4に関しては、準備期間が長かったので、万全の態勢で臨めた気がします。キャストの数も過去最高に多いですし、僕としてはシリーズを通して最高傑作が生まれたんじゃないかなと思っています。スタッフ・キャストのみなさんと、一緒に乗り越えていった感覚があります。

――スケールが大きい作品の撮影だけに、肉体的にも精神的にもハードだったのでは?

もちろん大変ではありますが、「楽しい」という思いの方が先行するんです。撮影の大変さで言うと、「寒い!」「朝早い!」くらいです(笑)。

アクションシーンに関しては、台本を読んだだけではイメージしきれないことがほとんどで、実際に現場に行ってみて、どんな動きがベストなのか探ることもあります。

僕はこの作品で人間クサさやリアルな部分を大事にしているので、しっかりリハーサルする部分と現場で生まれる偶然的なものとのバランスを、撮影直前までみなさんと相談しながら、最大限の注意を払って臨んでます。

――シリーズを通じて、竹内さんのなかで変化はありましたか。

一番変わったのは台本の読み方ですかね。台本に書かれてある内容を、自分なりにどう解釈して演じるのかすごく考えるようになりました。

主人公の響が一番何を求めているのかを、僕なりに台本から毎シーズン抽出しています。それを基に、プロデューサーのみなさんと相談するというのがルーティンになっています。

『きみセカ』(本作の略称)では、主人公が一番欲しいものが毎シーズン変わっていくんです。その目的に向かって響が何をするのか誰も予測がつかないところに、このシリーズならではの面白さがあると僕は思うんです。

いわゆるヒーロー的な存在としてみんなの気持ちを代弁しているというよりも、あくまでも自分が一番欲しいものに貪欲であるからこそ説得力があって、それが物語の軸になっているんじゃないのかなと。

――なるほど。主人公の響がSeason4ではどんな選択をするのか、とても気になります。

Season3の最後で響が恋人の来美を銃で撃つというすごく辛い選択をしましたが、その時の響にはそれ以上に欲しいものがあったからこそ、ああいう選択をしたんだと僕は思っています。

たとえどんなに辛くとも、物語の主人公は、エネルギッシュに何かを追い求め続けていることが大事だと感じたんです。それこそが、僕がこのシリーズを通して学んだことです。

スタッフやキャストのみなさんと何度もコミュニケーションを重ねるなかで、本音を言い合える仲間になれたことが、僕は何よりの財産だと思っています。みなさんと一丸となってこの作品に向き合ってきたご褒美が、このSeason4で頂けたような気がします。

「演技はうそではない」と証明するためにやったこと

――シリーズを通して台本の読み解き方がより深くなったように、竹内さんのなかで新たな景色が見えてきたことを実感する機会も、これまでにあったのではないでしょうか。ご自身が俳優として大きく変化するきっかけになったのは、どんなことだと思われますか?

僕はすごく運がよくて、デビューしてから色んな作品にめぐり逢わせて頂いて、作品に底上げしてもらいながらなんとかやってこれたのですが、25、26歳くらいの頃に、自分のなかで行き詰まってしまったんです。

――順風満帆に見えても、ご自身のなかではそういった葛藤があったんですね。

僕は俳優業って技術職なのかなと思っているので、それこそ俳優の数だけいろんなアプローチがあって、いろんな表現の仕方があると思っています。分かりやすく「これが正解だ」っていうものがないからこそ、自分のお芝居の根拠は、自分の言葉でちゃんと説明できるようになりたいと思いましたし、自分のお芝居に自信を持ちたかったんです。

――「言語化することで自分に自信をつけたい」という考え方は、非常に興味深いです。

僕が「魅力的だな」と感じる俳優の多くは、演劇学校などで芝居のロジックや基礎を学んでいる方が多くて。

自分のなかで「これだ」という確固たる軸があるからこそ、カメラの前に立つ時に、不安やうそがないんだと思ったんです。フィクションな世界で僕たちは演じるわけですが、演者の感情が本物でない限り、観ている方々も感情移入できないんじゃないのかなと思いました。

だからこそ「感情を本物にするためには、どんな準備が必要なんだろう?」と、そこから逆算していろいろ考えました。

――なるほど。そのために、竹内さんが実践されたことは何ですか?

世の中にたくさん出ている演劇に関する書物を読んだり、知り合いの演技指導の先生から、最新のメソッドや流行りのスタイルを日々学んだりしています。

でも正解はないので、知識を深めた上で自分なりに実践の場で試行錯誤しながら、トライ&エラーを繰り返すことを一番大事にしてきました。いまやっと僕の中で感覚をつかめてきた気がしているので、徐々にその成果が反映されていればいいなと思っています。

――だんだんと、ご自身でも手ごたえを感じつつあるわけですね。

はい。とはいえ僕のモチベーションが変わっても、現場に集まる何百人単位の人たちのパワーが集まってこその「作品」だと思うので、どんな形でみなさんにお届けできるかは完成してみないと分かりません。

だからこそ、自分なりに最大限の準備をした上で、現場でいかにコミュニケーションを取りながら進めていけるかが大事だと思います。しっかりアンテナを張ってお互いに良い形で影響を受け合いながら、良い作品を作り上げていきたいと思っています。

そのためには、自分なりの確固たる理論を持つことも必要だけど、それを踏まえて異なる意見を聞き入れられる柔軟性も持っていたいです。

「幸せ」を突き詰める30代にしたい

――4月26日で30歳の誕生日を迎えられますが、竹内さんの思い描く今後の展望は?

少し前までは「お芝居で認められたい」という気持ちもありましたが、今は自分が準備をしっかり整えた上で、「観てください!」と胸を張って言えるような作品をみなさんと一緒に作り上げていく過程が楽しくて仕方ないんです。

その結果として、作品を観て下さった方々に喜んでもらえたら、それはもう言うことなしですよね。

僕のすべての行きつく先は「幸せになること」に尽きます。30代以降は、それを突き詰めていくのかなと思っています。

竹内さんが日々、充実感を抱きながら撮影に臨まれている様子が、言葉の端々から伝わってきた今回の取材。俳優として竹内さんがここからさらにどのような進化を遂げられるのか――。今後の活躍ぶりにも注目していきたいです。

Huluオリジナル「君と世界が終わる日に」Season4
Huluにて独占配信中(毎週日曜新エピソード更新/全5話)

キャスト:竹内涼真、玉城ティナ、飯豊まりえ、前田公輝、桜井日奈子、溝端淳平
演出:菅原伸太郎、保母海里風、山田信義
脚本:丑尾健太郎、神田優、佃良太、小島剛人
制作プロダクション:日本テレビ
製作著作: HJホールディングス

※この記事は2023年04月19日に公開されたものです

渡邊玲子

インタビュアー/ライター。映画配給会社、新聞社、WEB編集部勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。俳優や監督、芸人、ミュージシャンなど、第一線で活躍する著名人のインタビュー記事を多数執筆しているほか、エンタメ関連のレビューや旅・食関連のコラムなども手掛けている。
Twitter:@ocier_w

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