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テクニックよりも大切なことって? 『人生最高のセックスに出会いたい貴女へ』書評

#アラサー女子の人生参考書

ミクニシオリ

仕事、結婚、からだのこと、趣味、お金……アラサーの女性には悩みがつきもの。人生の岐路に立つ今、全部をひとりじゃ決め切れない。誰かアドバイスをちょうだい! そんな時にそっと寄り添ってくれる「人生の参考書」を紹介。今回は、本当は気になるけど、なかなか手に取りづらい「性の本」を、恋愛や性の話題に精通するライターのミクニシオリさんが書評します。

性に関する情報って、どこから情報を得るべきか悩むことが多い。インターネットやSNSでは、周りには聞きづらいことを訪ねたり、知らない人の体験談を見ることができるのがいい。でも、本当に情報が正しいのかを見極めるのは難しい。あと……膨大な情報を眺めていくと、さっき見たばかりの情報も、次の情報を頭に入れる時には、頭の端から流れ出ていってしまうかのような感覚がある。

そんな時には、やっぱり本が役に立つ。でも性に関する本は、ちょっと本屋さんで立ち読みするのは恥ずかしい……。だから、書評をまとめてみることにした。

人生最高のセックスに出会いたい貴女へ(しみけん著/笠倉出版社)

【この本を読んで分かること】

・「気持ちいい」がわからない人でも「イキ方」が分かる
・パートナーとの性行為が、もっと楽しく素敵になる
・恋が上手くいかない女性でも、男心が理解できる
・性行為に不安があっても「1人で抱え込まない」方法が分かる

セクシー男優・しみけん著の信頼性に惹かれて

人生最高のセックスに出会いたい貴女へ(しみけん著/笠倉出版社)』という本が気になったのは、性に関する情報発信者の中でも、キャッチーな発信をしているイメージのあるしみけんさんの本だったから。

「セックスに満足できない」「いつも受け身でセックスしている」「中でイケない」などの悩みが、この一冊で全部解決できる……帯のアオリ文も、本の購入に至った理由の一つ。パートナーとの性行為にはさまざまな悩みがあるけれど、それでも根底には「パートナーのことは好き」という思いもある。だから、性の悩みをポジティブに解決してくれるイメージのある、しみけんさんの本が気になった。

本は4つのチャプターに分かれていて、見出しもシンプル。まず、目次を眺めて「自分の悩みはどのチャプターに近いか」を探す。「感じやすい身体を作る」「2人で気持ちよくなれる秘密のテクニック」「本命or遊びの違い」……。

自分が満足できないのか、パートナーを満足させる自信がないのか、そもそも好きな人にパートナーにしてもらえないのか。目次を見ていると「あなたの悩みはどれなの?」と本に問いかけられているような気がする。ワードもシンプルで、変に気を遣っていない感じも、しみけんさんっぽい。

そして、本の中にはしっかりとしみけんさんの「ユーモア」が詰め込まれている。セックスはセンシティブな問題として捉えられがちだけど、彼いわくセックスのカギは「探究心」だし、セックスの上手い下手は「コミュ力で決まる」。膣環境が、とか、ポリネシアンでスローなセックスが、とか、知らない言葉で色々言われるより分かりやすい。

「性の悩み」って、思ったよりシンプルで簡単かも

性に関する情報を集めようと思った時「結局どうしたらいいのか分からなくなる」という本末転倒な壁にぶち当たることも実は多い。ネット上では識者自身、実際に演じてみることが難しいし、人によって言っていることが違うこともあるので、結局自分の次のステップや、今やるべきことが何なのかが分からないことも多い。

でもこの本はとにかく端的で、分かりやすい。1ページあたりの文字数は多すぎず、しかし読者に対しての問いかけも多い。私たちは身体も、感じ方もそれぞれ違う。

そんな中で、自分が「何に悩み、何を変えたいのか」「悩む理由に、どんな要因が考えうるか」「で、どうしたらいいか」がすっきりとまとめられている。

どのくらい分かりやすいかというと、例えばセックスをまだしたことがないという人でも理解できるくらい分かりやすい。ほとんどの小見出しは、挿絵含めて見開き1ページくらいで語られており、読んでいると「あ、こんなにシンプルな話なんだ」と変な納得感がある。

セックスの悩みって人に話しづらいけど、大好きなパートナーとの話でもあるから、自分自身「人生に関わる大変な問題」と思っていた。でも、一つひとつ問題を切り分けて考えれば案外シンプル。「イったことがなくても、イキやすくする方法」はあるんだ、と安心したし「男性にとって気持ちいい前戯」がどんなものかも教えてくれた。

本の構成自体がシンプルで、実際実践すべきこともシンプルだから、あんなに悩んでいた問題も「な〜んだ、簡単じゃん」と思えてくる。

セックステクニックより大切なこと

最後のチャプターでは、よくある「性のお悩み」にしみけんさんがQ&A形式で回答していく。質問は自分や親友の誰かしらが悩んだことがあるものばかりで、思わず「あるよね〜」と独り言を言いそうになるくらいなのだけど、しみけんさんのさっぱりした回答は、すごく自分の自信になった。

例えば「カラダの相性が悪い相手とセックスするコツは?」という問いに対して、しみけんさんは「カラダの相性なんてものは存在しません」とバッサリ。ただ単に、いかに自分がセックスに関して、思い込みが多かったかということも思い知る。

でも「カラダの相性が悪い」と感じる理由が分かるから、結果的には安心が残る。何か分からないから解決ができなかったし、そういうものとずっと向き合っているのはやっぱり疲れる。だからこそ、バッサリと理由を言い切ってもらえると、道が明るくなったような気持ちになった。

読了した時に分かったことがある。セックスはコミュニケーションだから、お互いが歩み寄らないといけない。そして、セックスに限らず歩み寄ってくれない男性と幸せになるのは難しい、ということ。本で知ったテクニックを駆使して、自分も努力してみるべきではあるけど、相手にもその気持ちがないと、私たちのセックスの悩みは解決しない。

責任感の強い女性は「私がもっとがんばらなきゃ」「私さえ我慢すれば」と、1人で問題を解決しようとしていたかもしれない。でも、この本では「2人で向き合う方法」も教えてくれるし、その反面「向き合ってくれない男なんて捨てちゃえ!」とか「彼がダメなら、外で発散したっていいじゃない」とも言ってくれる。

私が悪いのかな、そんな風に抱え込みすぎる必要はなかった。そしてセックスは単純な問題で、解決方法には選択肢があることも分かった。あとは、自分らしい選択を取るだけ。

セクシー男優であるしみけんさんが教えてくれたセックステクニックは実用的で、恥ずかしささえなければ、すぐ実行できそうなものばかり。でも、心に残ったのは「性の悩みは貴女のせいで解決しないわけではない」というしみけんさんの寄り添いだった。

自分のままでいていいと、認めてくれたかのような。それでいて、問題を放棄すればいいというわけじゃなくて「そんな男やめたっていいよ」という選択肢も与えてくれた。

この本は、自分の抱えるセックスの悩みの解決方法が分からない人、具体的な解決方法を知りたい人におすすめしたい。そして、自分の性の悩みを解決する「いくつかの選択肢」を知り、自身で選択していきたい、という人にも。

(ミクニシオリ)

※この記事は2023年03月12日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

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