食材のお買い物上手になるにはどうしたらいいの?
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、FP(ファイナンシャルプランナー)の丸山晴美さん。
今回のお話「食材のお買い物上手になるにはどうしたらいいの?」
スーパーに行くと物価の上昇を感じる日々。「昨日買っておけば安かったのに……!」そんな経験はありませんか? いくら値上がりしても削るには限界のある食費で損しないためにはどうしたら良いのでしょうか。食材のお買い物上手になる方法をチェックしてみましょう。
お米中心の自炊がおすすめ
食事は毎日のことだからこそ、食材の“お買い物上手”になるかどうかはとても重要ですよね。そもそも現状なぜ、多くの食材が値上がりしているかというと、ざっくりいえば小麦と油が高騰しているから。
そもそもの相場が上がっていることもありますが、ウクライナ情勢も影響していると言えます。加工品の多くに使われている小麦と油は、現状ほとんどを輸入に頼っており、円安によって輸入する際の価格にも影響が出ています。さらにエネルギー価格も高騰しているため、製造コストが上がることで必然的に加工品も値上がりし、かなりの打撃となってしまっているのです。
ということで、まずはお米中心の生活にすることで、その影響を受けにくくなるでしょう。お米は国内の自給率がほぼ100%のため、比較的価格が落ち着いています。
また、“節約お肉”と呼ばれている鶏胸肉・豚こま肉・豚ひき肉・合い挽き肉などを活用してメニューを考えるのもおすすめです。
自炊をするかしないかで10年後には360万円の差に
自炊している人と自炊していない人との食費の差は、月3万ほどと言われています。月々で考えると小さくても、1年で36万、10年では360万円の差に。こう考えると大きいですよね。
現状既に加工食品や総菜、外食の多くが値上がりしており、今後もさらなる値上げが予想されます。だからこそ、自炊を増やすことでその差額はさらに大きくなるでしょう。そして自炊をするには上手なお買い物もセットにすることで、その効果がさらに発揮できます。今から“お買い物上手”になっておいて損はありませんよ。
「まとめ買いすべきかどうか」は料理スキルによる
食材の買い方でよく最初に聞かれるのが「まとめ買いをすべきかどうか」。
しかし実はこれ、料理スキルによっておすすめする方法が異なります。そこで今回は、初級・中級・上級に分けて回答していきます。
初級:最初からまとめ買いすることは避けて
一人暮らしを始めたばかりの方や料理スキルに自信の無い方は、最初からまとめ買いをすることは避けるのがベター。毎日スーパーに通って見切り品をチェックし、それを使って調理できると良いですが、これも若干のスキルが必要になるため、最初は作るものを決めてから買い物に行くのがおすすめです。
もしそれでも食材が余ってしまった場合は、残りの食材で検索してメニューを提案してくれるレシピアプリがあるので、そういったものを活用しましょう。
初級の方はとにかく、炭水化物を用意しておき、切らさないことがベスト。お米が無いと「コンビニでお弁当を買って帰ろう」という考えになってしまうので、メインの炭水化物は常備しておくようにしましょう。時間に余裕があるときに、ご飯をまとめて炊き、1膳分ずつ小分け冷蔵もしくは冷凍しておきましょう。
お米ではなくても、最近はレンジでパスタを作れる手軽なアイテムなどもあります。レンチンしたパスタにソースを加えるだけでも十分な自炊になるので、いきなりハードルを上げずに小さなことから始めることをおすすめします。
初級の方は、その日使うものだけを買って帰ることが第一歩。より頑張りたい方は、夜ごはんの残りと冷凍食品を活用して、翌日のお弁当まで作れると良いですね。
中級:3日に一度のまとめ買いがおすすめ
ある程度の料理スキルがある方は、3日に一度くらいの頻度でまとめ買いをするのがおすすめ。大体の方はこれくらいのスキルがあれば十分です。
あまり料理スキルを上げすぎると、「これも安い」「ついでにこれも」と余計なものまで買ってしまうので考えものですね(笑)。一人暮らしは食べられる量が限られているので、その量を把握しながら買い物することをおすすめします。
安売りしているお肉などを買い、1回分に小分けして焼肉のタレや塩麹で下味をつけてから冷凍するのがGOOD。きのこ類もバラして1回分に分け、冷凍してあげましょう。
自分のスケジュールを考えながら、下味冷凍したものを朝に冷凍室から冷蔵室へ移動。帰宅後にフライパンで焼くだけで食べられる状態にしておけば、仕事で忙しい日も楽ですよね。あとはサラダと味噌汁さえサッと作ったら、簡単な食事が出来上がります。味噌汁だって一人分なら、お椀にお湯を注ぐだけでできるインスタント味噌汁でも大丈夫です。
お弁当も手作り食材を増やしてコストダウン
お弁当も、自炊初級の方は冷凍食品を活用してOKと言いましたが、中級の方はよりコストを抑えるために手作りの食材を増やしていくのがポイント。
お弁当用の小分けカップを用意して自分で作ったお惣菜を冷凍しておけば、朝お弁当箱に入れるだけでお昼には食べごろに。もちろん、冷凍食品を使ってもランチで外食するよりは安く済みますが、手作り食品を上手に折り込みながら作ることで、よりコストダウンを目指せるでしょう。
上級:1週間分をまとめ買いし、作り置きを
食材を見て献立がいくつも浮かんでくるのであれば、あなたは上級者と言ってもいいでしょう。土日で1週間分の食材を買い、下味冷凍や作り置きおかずを作って1週間やりくりをするのがおすすめ。
とはいえここまで来ると、かなりの料理スキルが必要になってくるので、幼少期から親御さんの手伝いをかなりしていたとか、実家の料理担当をしていたとか、長期間料理に慣れ親しんでいる方が目指す領域と言えます。
大体の方は中級レベルの買い物と自炊を卒なくこなすことで、十分“お買い物上手”と名乗れますよ。
ネットスーパーを活用するのもひとつの手
「節約するならコンビニよりもスーパー」という考え方もありますが、最近はコンビニそれぞれのプライベートブランドが豊富に展開されているので、それを活用して安く抑える手もあります。むしろ、下手にスーパーへ行って余計な買い物をするよりは、コンビニで必要なものだけサッと購入した方が節約につながるでしょう。
また、買い物へ行く時は、必ず買うものをメモしてから向かうのが“お買い物上手”になるコツ。買うべきものを買い忘れたり、余計なものを買ってしまったりしないよう、メモは必須です。
そして、月に一度ネットスーパーを利用して日用品やお米をまとめ買いするのもおすすめ。重たいものをスーパーから家まで運ばずに済んで楽ですし、まとめて買うことで送料を抑えることも可能。活用すると買い物上手への道がひらけていくでしょう。
ひとり暮らしは“食品ロス”を無くすことが重要
手間を省いてくれるものは積極的に活用しながら、食品ロスを出さないように使い切りサイズを選ぶことが、一人暮らしで食材のお買い物上手になるためのポイントです。大容量の方が安いケースはありますが、使い切れないと食品ロスに。自分に合う、最後まで使える量を買うのがベストです。
食材は“無駄”に気づきにくいので、自分の中で対話し、買う前に「本当に必要?」と一度冷静になってみることをおすすめします。ぜひお買い物上手を目指してくださいね。
令和のマネーハック54
まずは自炊スキルを身につけてコストダウン! 食品ロスを防ぐためにも使い切れる量だけを買おう。
(監修:丸山晴美、取材・文:ameri、イラスト:itabamoe)
※この記事は2022年08月01日に公開されたものです