「親しき仲にも礼儀あり」の意味は? 使い方や類語を解説
「親しき仲にも礼儀あり」の類語(例文つき)
「親しき仲にも礼儀あり」の類語や言い換え表現としては、下記のようなものがあります。
「思う仲(中)には垣(かき)をせよ」
「垣」とは、区画を区切る仕切りや囲いなど間を隔てるもので、「垣をせよ」とは「節度を守りなさい」という例え。
「良い仲には垣をせよ」「親しき仲に垣をせよ」「近しき仲にも垣を結え」とも言います。
相手のことにあまり口を挟むことなく、相手の自由を尊重しなければならないというニュアンスがあります。
これは交際中のカップルや、夫婦へのアドバイスに使える表現でもあります。
例文
結婚式を挙げた新郎新婦に対して、披露宴での祝辞スピーチをする場面では、下記のように用いることができます。
これから夫婦として末長く仲良く過ごしていくための秘訣として、「思う仲には垣をせよ」ということわざがあります。
「良い仲(中)にも笠(かさ)を脱げ」
「笠」は帽子のことで、あいさつをする時には帽子を脱ぐのが礼儀ということから、「親しい仲でも礼儀を忘れてはいけない」という意味を表しています。
「親しい関係でも礼儀を尽くす」という意味から、職場や友人関係とのマナーの重要性を喚起するニュアンスを伝えることができます。
例文
ビジネスマナーが苦手な新人に対して指導する時は、下記のように言うことができます。
○○さん、「良い仲にも傘を脱げ」ということわざを知っている? お客さまに対してだけでなく、皆が気持ち良く仕事をするために職場内でもマナーを守ることが大切だよ。
「心安きは不和の基(こころやすきはふわのもと)」
「心安き」とは親しくて遠慮がない様子。「不和」とは仲が悪いこと。
「基」は物事の起こりで、「あまりに親しくなりすぎるのは、かえって仲が悪くなる原因になる」という意味です。
例文
就活の面接で「職場生活で大切だと思うことは?」という質問に答える場面で、以下のように用いることができます。
前職での経験から、「心安きは不和の基」のことわざにあるように、適度な距離感を持ってプロ意識で臨むことが大切だと考えています。
「親しき仲にも礼儀あり」の対義語(例文つき)
「親しき仲にも礼儀あり」の対義語としては、下記の表現があります。
「礼も過ぎれば無礼となる」
「度が過ぎた礼儀はかえって失礼」という意味。
過度の敬語を使うなど、度がすぎた礼儀は相手のご機嫌取りや、お世辞を言っていると受け取られる可能性があります。
例文
お客さまに対して、過度な言葉遣いをする後輩に対して指導する時に、下記のように使うことができます。
・丁寧に対応したいという気持ちはわかるけど、「例も過ぎれば無礼となる」っていうでしょう? お客さまに合わせた対応をすることが大切よ。
「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」
「慇懃」は非常に丁寧であることを表します。
「慇懃無礼」は、「言葉や態度などが丁寧すぎて、かえって無礼であるさま」を表しています。
また、「うわべは大変礼儀正しいが、実は尊大で相手を見下げている」という意味もあります。
例文
「礼を過ぎれば無礼となる」と指導を受けて、先輩への返事をする場合に下記のように使うことができます
・私としては、どなたにも丁寧な対応をすることが大切と考えていたのですが、確かにお客さまによっては、慇懃無礼な態度と取られたのかもしれません。
現代こそ大事にしたい「親しき仲にも礼儀あり」の教え
「親しき仲にも礼儀あり」の意味は、「親しい間柄だと気が緩んで不和の原因になる可能性があるから、相手への心遣いが必要」ということでした。
この意識は過去の賢人からの教えとしてだけでなく、価値観が多様化している現代だからこそ、お互いに大切にしたいですね。
(大部美知子)
※画像はイメージです
※この記事は2021年10月20日に公開されたものです