【File.05】精神病院での怪談話
少し肌寒い日が続いていますが、まだまだホラーを楽しみませんか? 連載「お仕事怪談」では、霊視芸人・シークエンスはやともさんに、さまざまな職業にまつわる怪談話を紹介してもらいます。最終回は「精神病院」での怪談話です。信じるか、信じないかはあなた次第……!?
※本記事では、怪談話をご紹介します。ホラーが苦手な方はお控えください。
ある精神病院で働いていた方から聞いた話です。
その病院では、8階のある病室の窓に鉄格子がはめられることになりました。窓を開かないようにするためだけなら、わざわざ鉄格子まではめる必要はありません。
それでも、なぜ鉄格子をはめたかというと、その病室に入院する人が次々と窓から飛び降りてしまう事態が発生したから。
もちろん、いきなり鉄格子をはめたわけではありません。
最初の対策は、窓を開かないようにしたそうです。今って窓が開かないようにできる簡単な器具もあるので、対策としてはすぐにできます。そもそも窓ガラス自体に強度もあるので、普通は割られないのですが……。
それでも、入院した患者さんは、窓を割って飛び降りたそうです。
事態が収束しないため次の対策として、窓ガラスを網入りのものに変えました。これに変えることで、窓ガラス全てが抜け落ちることも防げるし、多少強度を上げる効果も期待していたみたいです。
……ですが結局、同じような事態は続きました。
そういう経緯があり、最後の策として“鉄格子をはめる”に至ったわけです。
そこで働いている方もあまりにもそのような事態が続くので、幽霊の存在を疑っていました。
そして、僕は実際にその病室に行くことになったのです。
病室に入って窓を確認すると、ぴったりと鉄格子がはめられていて、とても人間が出られそうな隙間はありません。でも、よく見るとその鉄格子の一部だけが腐食していたんです。
一緒にその病室に入った方に「何か見える?」と聞かれたのですが、幽霊の姿は見えません。だから、僕は正直に「分かんないですねー」と答えました。
その次の瞬間です。
「分かんねぇわけねーだろ‼」
と怒鳴られたんです。
あまりの大きな声にウワッと体ごと反応してしまったのですが、周りを確認しても誰も怒鳴っていない様子。少なくとも、そこにいた“生きている人間”は。
その病室、今は入室禁止となっているそうです。
(監修:シークエンスはやとも、文:蜂賀三月)
※この記事は2021年09月30日に公開されたものです