【File.04】「不思議な職業」についての怪談話
少し肌寒い日が続いていますが、まだまだホラーを楽しみませんか? 連載「お仕事怪談」では、霊視芸人・シークエンスはやともさんに、さまざまな職業にまつわる怪談話を紹介してもらいます。今回は、シークエンスはやともさんが実際に体験した、「不思議な職業」の怪談話です。信じるか、信じないかはあなた次第……!?
※本記事では、怪談話をご紹介します。ホラーが苦手な方はお控えください。
僕が大学生の時に体験した出来事です。
その日、僕がよく使う駅では電車の遅延が発生していました。そのせいで、駅の構内も混雑していたんです。
僕は待ち合いのベンチに座っていたのですが、電車を待つ人たちが徐々にホームに集まってきました。
列も長くなってきた頃、ようやく構内に「電車がまいります」とアナウンスが流れました。
その時、僕の右隣に人が座ったんです。この日は、長袖のTシャツ1枚で快適に過ごせるくらいの気温でした。なのに、その人は丈の長いコートを着ていたんです。しかも、ハットを被ってマスクまでして。
見るからに怪しい人だとは思ったのですが、何か変な荷物を持っているわけでもなかったので、気にしないようにしました。そろそろ電車も来る頃でしたし。
そして、立ち上がろうとした時でした。
「うわぁ!」という大きな声が聞こえたと同時に、僕の位置からちょうど斜め前あたりの列に並んでいたおじさんが、突然転んだんです。
線路の方に向かって。
電車がちょうどホームに到着した瞬間だったので、そのおじさんははねられてしまいました。
「パーンッ」という大きな音がして、構内はパニック状態。僕自身も初めてそんな光景を見たので、やばいものを見ちゃった……と呆然としていました。
そんな騒然としている現場で、僕の横にいるコートを着た人物は微動だにしていない。
それに違和感があって、その人物をバレないように観察していると、パッと立ち上がり、どこかに電話をかけ始めました。
「あ……もしもし、今終わりましたぁ」
たしかに、そう言ってました。
これはもしかしたらの話ですが、そういう、何か人の生死に関わるような職業の方だったのかもしれません。もちろん、その方が“生きている人間”だとは限りませんが。
(監修:シークエンスはやとも、文:蜂賀三月)
※この記事は2021年09月27日に公開されたものです