一人暮らしの自炊、本当にお得?
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちがお悩み回答形式で紹介します。今回の回答者はFP(ファイナンシャルプランナー)の水谷明日香さん。
今回のお悩み「一人暮らしの自炊、本当にお得?」
仕事が忙しくてついコンビニのお弁当や外食で済ませがちな私。でも、節約のことを考えたらやっぱり自炊をした方が良いのでしょうか……? 自炊って時間も手間もかかりますよね? 一人暮らしの場合、自炊って本当にお得といえるんでしょうか。
やっぱり自炊の方がお得!
今回は、家計調査(※)のデータを用いて自炊がお得かどうかを考えていきましょう。
家計調査によると、働く34歳以下の一人暮らし女性が使っている食費は、1年で39万5000円ほど。これを12カ月で割ると、1カ月およそ3万3000円になります。そのうち、外食費が1年で約15万5000円。月々約1万3000円ということです。
つまり、自炊にかけている金額は月にだいたい2万円。これを全て外食に切り替えようと思うと、毎日1000円以内に収める必要があります。一度レストランへ行っただけでも1000円以上かかってしまうのが普通ですから、やはり自炊の方がお得であるといえるでしょう。
まずは現状を把握することから始めて
とはいえ、「絶対に月3万3000円に収めなくてはいけない!」ということではありません。この数字は目安であり、自分の収入を考えて予算を設定するのがおすすめ。
その際にまず行ってほしいのが、現状を把握することです。
自分がどれだけ食費に使っているのかを理解したうえで、手取りの10〜15%に収められるように調整するようにしましょう。もしオーバーしているなら、自炊を取り入れて節約してみて。
節約のハードルは低くからスタートするのがコツ
節約にしても自炊にしても、思い立ったらとことん頑張ろうとする方が多いですが、それはちょっと危険かもしれません。まずは無理せず簡単な自炊からスタートするのがおすすめです。
というのも、急激に節約や自炊を頑張ると、無理が重なりリバウンドを起こしてしまいます。反動がひどいと「もう節約も自炊もしなくていいや」と戻ってこられなくなってしまう可能性があるのです。
最近は、包丁いらずのレシピや電子レンジのみでできるレシピが数多く登場していますよね。一気に変えようとするのではなく、そういったものを活用しながら少しずつ生活を変えていきましょう。
節約や自炊は、続けることが1番大切。楽しいと思えるポイントを見つけることで続けやすくなるはずです。
自分に合う方法を採用して
ちなみに、私は夫とお互いフルタイムで働いているので、土日にまとめて作り置きをする方法を採用しています。
作り置きをしておけば、仕事で疲れて帰宅してからあれこれ作業をしなくて済みますし、土日のうちに買ってすぐに食材を使い切れるので、ゴミの処理も楽ちん。また、まとめて作ることが私にとってストレス解消になっているので、毎週負担を感じずに続けられています。
外食ばかりで体調を崩して働けなくなったら、それこそ意味がありませんよね。予算と相談しながら、自分のやりやすい方法でできる範囲から始めてみましょう。
目先のお金と将来のお金、二軸のバランスを取ろう
しかし、自炊初心者の方だと時間がかかりすぎてしまうこともあるでしょう。そんな時には、自分の時給を考えてみるのがおすすめ。
1カ月1万円の食費を節約するために自炊に10時間かかった場合、時給は1000円。あなたの時給が2000円だった場合、目先のお金を減らしても意味がないことになります。
自炊のために、残業代やスキルアップに使っていた時間をカットしてしまっては、自分のためになりませんよね。
目先のお金と、将来降ってくるお金は別軸。もし自炊ではなく簡単に食べられる中食や外食を選んだとしても、その分、時給を上げる活動にあてられるのであれば、そのお金の使い方はひとつの“投資”といえるでしょう。
自分の予算と時給を考え、時間とお金のバランスを取る方法を探すのがコツです。
令和のマネーハック23
自炊はやっぱりお得。食費は手取りの10〜15%に収められるよう調整しよう。初心者は時給換算してみるのもポイント!
(監修:水谷明日香/FPwoman、取材・文:ameri、イラスト:itabamoe)
※この記事は2021年05月24日に公開されたものです