思いやりを忘れない「ケアキャリ」。味の素 中村理乃さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
日々の食事レシピを考える中で、目にすることも多いWEBサイト「AJINOMOTO PARK」。
今回お話を聞くのは、そんな「AJINOMOTO PARK」のサイトリニューアルにおいて、主担当を務めた味の素株式会社の中村理乃さんです。
穏やかな雰囲気を醸し出しながらも「常に生活者の視点は忘れないようにしたいと思っている」と、まっすぐとした目線で話す中村さんは、自身のことを「バリキャリでもありながら、ゆるキャリでもある」と話します。
平日はフレックスタイム制度で朝早くから働き、土日は自分の時間を過ごしながらも、料理の作り置きを調理するのが習慣なんだとか。
同僚や消費者を思いやり、自分を労る「well-being」な毎日から、中村さんのこだわりが伝わってきました。
短大進学をきっかけにのめり込んだ「食」の奥深さ
元々は管理栄養士として栄養の知識を普及させたい、普段の食事で自然と健康になれる世の中を実現したいという思いがあったんですね。
そのことを実現できそうな会社を探している中で、味の素株式会社が「料理をすることや、食べることを通じて、おいしさと栄養を提供し、生活者の健康と幸せに貢献する」という思いを持っていることを知り「この会社で栄養学の普及に努めたい」と思ったんです。
なるほど。そもそも学生時代に栄養学について学びたいと思ったのはなぜなんでしょう?
昔から食べることが好きだったとか?
いえ、ちょっと不純な動機なんですけど、私が高校2年生の時にリーマンショックがあって、その時に「不況な世の中で、私に何ができるんだろう」と就職や将来のことについて考えたんです。
それで「食だったら、毎日関わることだし、何かしら私にもできることがあるのではないか」と思って、栄養士を目指そうと栄養について学べる短大に進みました。
でも、高校生の頃に考えた将来像って、年齢を重ねるにつれて変わるじゃないですか。だから、思い描いた通り栄養の道を極めて本当に「食」を仕事にするって、なかなかできることじゃないと思うんです。
なんでずっと「食」や「栄養」の道を一貫することができたんでしょう?
正直、高校卒業後は短大に入って、卒業後すぐに就職しようと思ってました。でも、いざ入学して栄養学や調理学の勉強をしてみると、思っていた以上に面白い世界だったんです。
それで「もっと深く学んでみたい。そして、そこで得た知識や技術で社会に貢献したい」って思うようになって大学に編入し、さらにもっと知りたいと大学院まで進みました。
リニューアルに込めた「食べる人も作る人も笑顔にしたい」という想い
料理をされる方が義務だと思わずに、毎日楽しく料理をしてほしいというのは考えています。
多分「献立を考えるのが大変」とか「手の込んだ料理を作るのがつらい」って、誰もが思うことだと思うんですね。だから、「AJINOMOTO PARK」を通して、そういう人たちをサポートして、食べる人だけでなく、作る人も笑顔にできたらなと思っています。
朝7時始業! 自分が心地良くいられる生活リズム
個人的な疑問なんですけど、いくら料理が簡単にできると言われても、毎日仕事の後にご飯を作るって面倒くさいことも多いですよね。
中村さんって、どのくらいの頻度で自炊しているんですか?
毎日何かしらの料理はしていますよ。
ただ、お休みの日に作り置きをして、野菜の処理とかも一気にしてしまうので、平日はそれらにプラスしてメインと汁物を作ればOKという状態にしています。だから、毎日、時間をかけて料理をしているわけではありませんね。
いやーすごい。ちょっと私も見習おうと思いました。
平日の過ごし方について聞きたいのですが、仕事って、いつも大体何時に終わるんですか?
定時が8時15分から16時30分なので。
でも、実はうちの会社ってフレックスタイム制度なんですよ。定時の時間に縛られず働く時間を決められるので、私は在宅勤務でも出社勤務でも、7時には仕事を始めるように心掛けています。
7時、始業ですか!? 家を出るのではなく? 私、まだ寝てる時間です。
周りの社員さんも、自分の生活リズムに合わせて働いているのでしょうか?
昔から朝型なので早めに始めて、早めに仕事を終えた方が心地良いんですよね。
それに、夜に自分の時間を作れた方が生活のリズムがつきやすくて。普段は22時とか23時、早い時には21時台とかに寝ちゃってます。
働く上で大切にしているのは「生活者視点を忘れない」
お互いに思いやって、仕事をしているんだなというのが伝わってきます。
今回のリニューアルにおいても、そのようなエピソードはありましたか?
今回のリニューアルは、5年目の私が主担当として携わらせていただくことになりました。でも、その他のアサインされたメンバーって、ベテランの先輩方ばかりだったんですね。
その中で私が主担当となると、分からないこととか、未熟で至らないこともたくさんありました。だから、メンバーの方々にはたくさん相談させていただいたんですけど、皆さんいつも一緒に考えてくれたんです。だから7月15日にオープンした時は、本当に感慨深いものがありましたね。
そうですね。入社する前は、会社って上下関係があって、先輩の意見が強いというイメージだったのですが、当社に入って先輩方が私の意見にもきちんと耳を傾けてくださることに驚きました。
もちろん先輩も意見は言うのですが「どうしたら生活者がこのサイトを使って幸せになれるか」という共通の目標を持っているので、一人一人の「本当に良いサイトにしたい」という想いが強いんです。
確かに仕事をしていると、会社側、サイトを運営している側の目線になってしまうことはあります。でも、そうなった時は、ふと立ち止まって「自分が日常生活でこのページを見た時にどう思うだろう」ということを考えるようにしています。
だからこそ、早く上がれる時には、素の自分になって、自分も料理をする生活者の1人になるようにしています。そういう時にどう感じるかということを考えるためにも、オンオフははっきりつけるようにしています。
※この記事は2020年10月08日に公開されたものです