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すべての国民にお金を配る「ベーシックインカム」のメリット・デメリット

国から毎月お金がもらえるといったら、生活保護や年金のようなものを思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし近年、国がすべての人に対して一定の現金を支給する「ベーシックインカム」という制度が注目されています。いったい、どんな制度なのでしょうか。
ベーシックインカムの仕組みやメリット・デメリットを紹介します。

すべての人にお金を給付するベーシックインカム

ベーシックインカムとは、政府が国民に最低限の生活に必要なお金を給付する制度です。日本では「最低所得保障」「最低生活保障」などと呼ばれます。

生活保護や年金などと似ていますが、少し違います。生活保護や年金は、支給の対象・条件が細く決まっています。それに対して、ベーシックインカムは、無条件ですべての国民に一定金額が給付される制度なのです。

近年、さまざまな国でベーシックインカムの導入が議論されるようになっています。導入の目的は、貧富の差の拡大を防ぐことにあります。日本も例外ではありません。厚生労働省「生活保護の被保護者調査」(令和2年5月)によると、日本でも約163.6万世帯、約205.7万人の人が生活保護を受給しています。ベーシックインカムが導入されれば、少なくともご飯に困る事態は防げるはずです。誰もが経済的な自由が得られるのです。

また、生活保護の受給者が増えると、支給の認定をするためにかかる行政コストも大きくなってしまいます。ベーシックインカムは、給付の手続き不要で全員に一律で支払われますので、コストをカットできると考えられています。

過去には試験導入した国も

ベーシックインカムを実際に導入している国はまだありませんが、部分的な実験を行なっている国はあります。

たとえば、フィンランドでは、2017年1月から2018年12月までの2年間、25歳から58歳の失業者2000人に対して毎月560ユーロ(約7万円)を非課税で給付するというベーシックインカムの実験を行いました。*この560ユーロはまったくの無条件で受け取れるお金です。その後就職した人も、引き続き同額を受け取れました。ベーシックインカムがあれば、低収入の職業でも就きやすくなるため、失業率が改善されることが期待されていました。

実験終了直後のアンケート調査によると、ベーシックインカム受給者のほうが、生活への満足度が高かったといいます。ただ、雇用への影響は小さく、2017年11月から2018年10月までの平均就業日数は、失業手当受給者73日に対しベーシックインカム受給者78日と、わずかに多いだけだったそうです。
*:Kela、The Guardian、Newsweek

ベーシックインカムの3つのメリット

ベーシックインカムのメリットとしては、以下のものがあります。

ベーシックインカムのメリット①:仕事の質が上がる

ご飯に困らなければ、自分のしたい仕事をすることができます。「やりたいけれど収入が少ないから」と諦めていた仕事でも、自分のため、社会のために挑戦できるでしょう。それによって、仕事の質も向上しますし、技術を身につけるための学び直しや起業などもしやすくなります。AIやロボットへの代替が効かない仕事をする方法として注目されています。

ベーシックインカムのメリット②:好きなことに注力できる

ベーシックインカムがあれば、仕事に限らず、好きなことに注力できる時間ができます。旅に出たり、本や映画を心ゆくまで楽しんだり、ゆったりと家族との団らんをとったり…生活の質も向上するでしょう

ベーシックインカムのメリット③:子育てがしやすい

先進国を中心に、少子化が問題になっています。ベーシックインカムによって生活が安定すれば、子供を持つという選択をする人も増えると見込まれます。そうすれば、ベーシックインカムは出生率向上にも役立つことになります。

「ベーシックインカムの3つのデメリット」

※この記事は2020年08月25日に公開されたものです

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