人の名前が覚えられない原因とは? 名前を覚えるための6つの対策
なかなか人の名前が覚えられなくて、困った経験はありませんか? この記事では、人の名前が覚えられない理由と原因、名前を覚えるための対策について、心理カウンセラーの秋カヲリさんに解説してもらいました。
ほとんどの人は「顔がわかるのに、名前が思い出せない!」とやきもきした経験があるのではないでしょうか。
しばらく会わなかったり、あまり親密でなかったりすると、なかなか名前が思い出せないものです。
今回は、人の名前が覚えられない原因を解説。
久しぶりに再会した人の名前が出てこなくて焦らないように、人の名前を効率的に覚える方法をご紹介します。
なぜ覚えられないの? 人の名前が覚えられない原因
人の名前が覚えられない原因はいくつかあります。
なぜ覚えられないのか、代表的な原因を3つピックアップして解説します。
(1)相手に興味がない
当然ながら、相手に興味を持っていないと自己紹介されてもその場でなんとなく聞き流してしまい、名前が脳に記憶されません。
記憶するには、情報を与えられたときに「記銘(コード化)」する必要があります。
記銘は、記憶する過程のファーストステップ。
私たちは日々たくさんの情報に触れていますから、意識的に情報をキャッチしようと意識しないとほかの情報に押し流されて忘れられてしまいます。
記銘が成功するかどうかは、対象への好意や重要度に左右されます。
相手に一切好意を抱いていなかったり、その情報を重要だと思っていなかったりすると記銘が失敗する可能性が高くなるのです。
名前を覚えるには、相手に興味関心を持つようにしましょう。
(2)覚えようとしていない
そもそも覚えようとしていないケースもあります。
自分で明確に「覚えなくていいや」と思っていなくても、無意識に「どうでもいいや」と思っていて聞き流してしまい、記憶が定着せずにそのまま忘れるパターンは少なくありません。
覚えようとする意欲がないと、記憶に定着しにくくなるのです。
相手に自己紹介されたら「ちゃんと名前を覚えよう」と意識するようにしましょう。
それによって重要度が上がり、さきほど紹介した記銘が成功しやすくなります。
うまく記銘できればそれだけ頭に残りやすくなりますから、名前を忘れにくくなります。
(3)会ったことを思い返さない
記憶の第一ステップは記銘ですが、その次の第2ステップは「保持・保存」です。
保持・保存を成功させるにはリハーサル、つまり何度も何度も情報を反芻して記憶に残そうとする行動が必要になります。
つまり、せっかくAさんに会って話したとしても、Aさんと会ったことをそれ以降思い返さなければ情報が保持・保存されず、名前も忘れやすくなるということです。
おもしろい人や変わった人が印象に残りやすいのは、自然とその人のことを思い返す回数が増えるから。
保持・保存に成功して記憶されやすくなります。
記憶のコツとは? 人の名前を覚える方法
人の名前を覚える方法について、記憶するコツを6つご紹介します。
なかなか名前を覚えられない方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
(1)繰り返し思い出す
さきほど紹介したリハーサルを繰り返し、情報を保持・保存させると効果的です。
試験勉強をイメージするとわかりやすいです。
暗記するとき、単語を何度も繰り返しノートに書いたり、声に出したりして覚えましたよね。
それと同じように、その人のことを何度か思い返すと名前を覚えやすくなります。
繰り返し思い出すことによって、相手の名前が、すぐに忘れてしまう「短期記憶」から長期間記憶が定着する「長期記憶」へと移行し、忘れにくくなります。
だれかに会ったら、寝る前に一度思い出すなどの習慣をつけると覚えやすくなるでしょう。
(2)少し時間を置く
記憶する過程の最終ステップは「再生・検索」です。記銘→保持・保存→再生・検索という3ステップを経て、情報は記憶されるのです。
再生・検索とは、まさに思い出す段階のこと。
記銘して保持・保存された情報を脳内検索し、再生することです。
喉元まで出かかっているのにうまく思い出せず「ここまで出ているのに!」とやきもきすることがありますよね。
これは「ティップ・オブ・ザ・タン状態」と呼ばれていて、うまく再生・検索できずにモヤモヤしている状態です。
そのときは思い出せなくても、少し時間を置いてから考えるとポンと思い出せることがあります。
落ち着いて思い返すようにしましょう。
(3)会った日の流れを思い出す
情報を記銘した環境と、思い出すときの環境が似ていると、記憶の再生率が上がるといわれています。
たとえば、昔住んでいた駅に久しぶりに行くと、急に当時の思い出がよみがえってきたりしますよね。
当時聴いていた音楽を聴いたり、かつての恋人がつけていた香水のにおいを嗅いだりすると、記憶が一気にフラッシュバックすることもあります。
こうした同様の環境によって記憶が呼び覚まされることを、文脈依存効果といいます。
とはいえ、思い出すために出会った場所に行くのは難しいこともあるので、その人と会ったときの状況や流れを思い出してみましょう。
「あの日は確かすごく暑くて、〇〇さんとカフェでアイスコーヒーを飲んでから向かったんだよな。受付の人は若い女性で、ジンジャーエールを受け取ってから会場に入って、扉の近くで会って挨拶したんだった」というように情景を思い出しながら考えると、名前を思い出す確率が上がります。
(4)名前をほかの情報と関連させて覚える
記憶を長期間定着させるにはリハーサルが必要ですが、リハーサルには維持リハーサルと精緻化リハーサルの2種類があり、おすすめなのは精緻化リハーサルです。
試験勉強で暗記する際によく行う「繰り返しノートに書く」「繰り返し声に出す」といった復唱方法は維持リハーサル。
それに対して精緻化リハーサルは意味づけや関連づけを行い、より深い理解を促すものです。
たとえば「preorder(予約注文)」という英単語を覚えるとき、維持リハーサルだとひたすら単語を復唱したり書いたりして覚えようとしますが、精緻化リハーサルだと「“pre”が前、“order”が注文という意味だから予約注文はpreorder」というように意味づけして覚えます。
そのほうが定着しやすく、スムーズに記憶に残せます。
(5)絵でイメージ化して覚える
試験を受けたときに「この単語、教科書の右上に書いてあったな」と場所を思い出すことはありませんか?
これは情報がイメージで残っている証です。
情報を単なるテキストではなく絵にして保存・保持すると、記憶が再生しやすくなります。
人の名前を覚えるなら、その人の顔や服装と名前を関連づけてイメージ化して記憶するのがおすすめです。
少しシュールですが、その人の顔の上に「山田」といった名前を浮かべたり、山と田んぼを連想したりして絵にして覚えるのです。
意外と記憶に残りやすくなるので、だまされたと思ってぜひ試してみてくださいね。
(6)語呂で覚える
関連づけのひとつの方法として、語呂で覚えるのもおすすめです。
元素記号の暗記方法「水兵リーベ僕の船……」といった語呂も、上手に関連づけて情報を記憶しています。
その人の名前をなんらかの語呂にして覚えると忘れにくくなるでしょう。
当然ながら、できるだけ自然な関連づけをするのがポイント。
あるいはイメージ化と組み合わせて、たとえば「山田雄大」という名前を覚えるなら、「山と田んぼに囲まれた雄大な場所」をイメージするなど、絵を思い浮かべながら覚えるのも効果的ですよ。
工夫次第で名前は覚えられる
これまで名前を忘れがちだった人でも、ご紹介したテクニックを実践すれば名前を覚えられるようになります。
忘れやすくなる原因を踏まえたうえで、きちんと相手の名前を覚えようという意識を持ち、自分が試しやすい方法で名前を記憶しましょう。
まずは相手に興味を持つようにしてくださいね。
(秋カヲリ)
※画像はイメージです
※この記事は2019年09月30日に公開されたものです