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女の先輩が怖くて、自分が出せない不動産事務員 #美容迷子のお守りコスメ

長田杏奈

働く女性にとって、メイクやスキンケアは欠かせない習慣。その一方で、たくさんの葛藤や不安を抱えながら“美容迷子”に陥っている人は多いもの。そんな迷える女性のお悩みに、美容ライター長田杏奈さんがコスメで回答。毎日自信を持って働くための「お守りコスメ」を提案します。

働く女性にとって、メイクやスキンケアは欠かせない習慣。その一方で、たくさんの葛藤や不安を抱えながら“美容迷子”に陥っている人は多いもの。そんな迷える女性のお悩みに、美容ライターの長田杏奈さんがコスメで回答。毎日自信を持って働くための「お守りコスメ」を提案します。

【今回の美容迷子】都内の不動産会社で働く事務職女子

昔から、年上の女性にウケがよくない私。男性ばかりの職場から女性が多い職場に転職し、同性の先輩に目をつけられたらどうしようと、過剰に気をつかって萎縮してしまいます。しかも、制服支給だった前職とちがい、新しいオフィスは私服。無難な服とメイクで穏便に働きたいけど、異性との出会いもほしいし、そろそろ自分らしさを出したい気持ちも……。でも、どうしても嫌われるのが怖い!(琴子/27歳/不動産事務)

女の先輩の前で「女を出したらアウト」?

職場環境がガラリと変わり、今まで通り自分を隠すか、思いきって出していくかでお悩みの琴子さん。まずは、同性の先輩が苦手になった経緯を教えてもらいました。琴子さんが新卒で入ったのは、「昔ながらの“女は黙って茶だけ汲んでればいい気質”の名残がある」会社で、2~3人の事務の女性に対して、3倍くらいの営業男性がいる比率のTHE・漢社会。

そんななかで出会った女の先輩は、「おはようございます」と挨拶しても、うんともスンとも返さない人でした。仕事は教えずにダメ出しするスタイル。身なりやメイクにも厳しく、アクセサリーやヘアカラー、ネイルはもちろん見えないペディキュアもNG。その本人も身なりにかまうことを是としないノーメイク主義者で、琴子さん的には「逆にどうなの?」という気持ちだったそう。

何か言われる前に、察して「私がやります!」と申し出ないと叩かれる忖度の日々。陰ながら助けてくれる男性の先輩もいましたが、同性の先輩の目には「女を使っていい顔をして売り込んでいる」と映ってしまい余計裏目に。いびり倒された末に「辞めたい」と人事に申し出たら、「お前が辞めることはない」とかばわれ、いじめてきた先輩が異動になったのが1年半後のことでした。

恐怖の先輩と離れても、年上の女性への警戒心は消えません。私がおそるおそる「何歳くらいからダメなの?」と聞くと、「その先輩が32歳ぐらいだったので、30歳を超えていると苦手です」という答え。話を聞いている私は40歳なので、大幅にオーバーしています……。年上女性の包容力をアピールしなければ!

「目つきが悪くて人見知り」が誤解を生む

「人見知りなうえに、目つきが悪くてキツく見られがちなんです。年上の女性ウケがよくないのは、そういうところに原因があるのかも」と自己分析する琴子さん。年上女性に対するトラウマをさかのぼると、中学時代のエピソードが出てきました。「私、女の先生もダメで。部活の女性顧問にひとりだけ名前で呼ばれなかったり、合宿ではひとりで掃除させられたり、旅行のお土産を渡したらほかの人に渡されたり……。いま振り返れば相手がどうかしているんですけど、そのときは自分が悪いんだって思い込んでいましたね」。

目の前に座っている琴子さんは、常に腕組みをしていて、話が深まると自分を抱きしめるように縮こまっていきます。「自分を守っているんだね」と指摘すると、本人は無意識だったよう。一目瞭然なのに「どうしてわかるんですか!」と驚き、ちょっとほぐれてくれました。

八つ当たりしない年上女性との出会い

尊敬できる同性の先輩が見当たらない環境で、「この会社にいて30歳を迎えたら、ろくな大人にならない」という危機感を抱き、転職。新しい職場では、業務自体はほとんど同じながら、環境が激変! 制服がなくなり「朝どんな服を着ればいいのかがわからない」ところからはじまり、新たに出会った同性の先輩は「動揺するぐらいやさしくて、怒らないし、八つ当たりしない」ことがカルチャーショックだったそう。

自分が飲むお茶は自分で用意する、フランクで自立した同性の先輩。最初は、察知して「私がやります」という忖度癖が抜けなかったものの、徐々に慣れて、「自分を出してもいいのでは」と思えてきたといいます。

自分が「同性の先輩」になったとき、どうする?

さて、琴子さん自身が誰かにとっての「30歳以上の同性の先輩」になる日も、そう遠くはありません。自分では、どんな女の先輩になりたいの?

「自分の経験や価値観を定規にせず、後輩に対してひとりの人間として接したいですね。先輩を敬う気持ちは大事だけど、行きすぎた年功序列には反対。年齢や年次で相手を低く見るような人にはなりたくないし、私は自分のお茶ぐらい自分で入れます! 『私、サバサバしてるんだよね』と言う“自称・姉御先輩”はたいていサバサバしてないし、『私、自由人だから』と言う先輩ほど何かに捉われていたりしますよね……。あ! これはなりたくない像だった(笑)。自然体で、人にちゃんと気をつかえる大人の女性に憧れます」。

琴子さんの年上女性に対するトラウマを克服する方法は、たくさんの素敵な同性の先輩と出会うこと。そしてもっと効くのは、「自分がされた嫌なこと」を引き継がずに、怖かった先輩や部活の顧問を他山の石(悪い手本という意味です)として、次世代にとっての「素敵な先輩」になること。かつての自分が出会いたかった先輩に、自分がなればいいのです。そして、琴子さんはそのことを無意識のうちに理解している。とても勇気のある、かっこいい姿勢だと思います。

「らしさ」のヒントは「好き」にある

苦難を乗り越え、個性を出せる環境にたどりついた琴子さん。彼女にとってどんなテイストが自分らしさなのか、ポーチを見たら即理解できました。

キラキラしたパレットや、フェミニンな赤みブラウン、ピンクのアイテムが、綺麗に整頓されて入っています。「昔からキラキラしたかわいいものが好きで、縁日の屋台でおもちゃの宝石を買い集めていたんです。かっこいい系の母のもとで育ったので、そんな自分がどこか気恥ずかしい気持ちもあるのですが……」。

自分らしさを探すのに、「好き」という感覚ほど羅針盤になるものはありません。先輩にいびられても、見えないところでちゃんと自分の「好き」を守って耐えてきた琴子さんはえらい。これからは、その好きな気持ちや「らしさ」を安心して表現していってください。理知的でクールに見えやすいので、かわいいトッピングをしても甘くなりすぎる心配がないし、親しみやすい印象を与えることができそうなのも、とってもいいと思います。

琴子さんが心配するように、“キラキラ”や“かわいい”は「女を出している」といちゃもんをつけられやすいかもしれません。でもね、女に生まれた人間が女を出して何が悪いんだ。だって、女だし。「女だからお茶を汲め」と言った同じ口で「女を出すな」と命令する人の言いなりになんて、金輪際ならなくてオッケーです。まずはとことん自分を解放して、らしさを表現するのが先決。出しすぎかどうかの調整は、出しきってからやればいいんです。

年上女性に怯える琴子さんへ、けっこう年上の美容ライターの私より愛を込めて。トラウマを乗り越えて、やさしい先輩でありたいという前向きな気持ちを応援するお守りコスメ、はりきっておすすめいたしましょう。

弓なりライン眉を卒業し、ふんわりやわらかに

ナチュラルなブラウン〜ベージュに、カシスカラーをプラス。ふんわりやさしいイメージの眉が描きやすいパウダーアイブロウ。ヴィセ リシェ カラーリング アイブロウパウダー BR-2 ¥1,200+税(編集部調べ)/コーセー

「第一印象でキツい印象に見られがち」と悩んでいた琴子さん。第一印象の8割を決めるともいわれる眉をやさしいイメージにチェンジすると、親しみやすい雰囲気になりますよ。現状はダークブラウンのペンシルで「線描きました!」という感じの弓なりの細いアーチ眉ですが、私が推したいのは、よりふんわり仕上がるパウダータイプ。

さらに、カシスカラーのニュアンスが足せるパレットを選べば、琴子さんがそろえている赤み系ブラウンやピンク系のアイシャドウとも相性抜群。温もり感のあるフェミニンなイメージに仕上がります。

自然な影色でやわらかく目力を足すニュアンスライナー

目元になじむシアーなグレイッシュブラウンが、目のキワの影を引き立てる隠しリキッドアイライナー。マキアージュ シークレットシェーディングライナー ¥2,500+税(編集部調べ)/資生堂

もうひとつ、「目つきが悪い」と気にするわりに「アイライナーとはそういうもの」と無自覚に漆黒のリキッドライナーを引いているのも、変えたいところ。黒のリキッドライナーは涼やかな目元にとっても似合うけれど、一方でクールなキリッとした印象に見えるもの。

やわらかな印象に見せたいなら、同じリキッドアイライナーでも、水彩のようにシアーなグレイッシュブラウンを選びましょう。目元の自然な影になじみつつ、それとなく大きく見せることができます。印象を柔らかくしたいなら、眉も目も「線」ではなく「影」くらいがちょうどいい。そこだけ変えれば、琴子さんが自分で選んでいるアイテムもメイク法もとてもよく似合っていると思います。

清潔な香りのヘアミストで「空気感のある人」に

雪をまとった花をイメージした、凛とした清潔感のある香りのヘアミスト。さらさらとなめらかな髪を演出。ジルスチュアート クリスタルブルーム スノー パフュームド ヘアミスト 30ml ¥3,600+税/ジルスチュアート ビューティー

「香水をつけると、香水女子って感じのキツい女の子になるイメージがある」という琴子さん。でも、琴子さんみたいな人にこそ、何かしらの香りをまとってほしいと思うのです。琴子さんの印象は、自分の体という殻の1cm内側に本当の自分をギュッと閉じ込めて守っている感じ。そういうふうにしていると、傷つかない代わりにどういう人なのか伝わりにくくて、親密な関係を築くのにすごく時間がかかってしまうのです。私は、その縮こまった琴子(呼び捨て)を、もうちょっと引っ張り出したい!

その助けになってくれるのが、自分の雰囲気をちょっとだけはみ出させて、距離が近づいたときにだけ伝えてくれる香りです。「甘すぎず清潔感のあるホワイトフローラルが好き、キラキラしたかわいいパッケージが好き、そして香水に苦手意識がある」という琴子さんのために、気軽に使えて香りすぎないヘアミストを選びました。

好きな人の前でも自分を出せず、「しっかり自立しているように見せて、重さや面倒臭さを悟られないように全力を尽くす」という悪い癖も、香りのおまじないでなんとかなることを祈ります。

【これもオススメ!】ペリッとはがせる爪にやさしい赤ネイル

シールのようにペリッとはがせる、リムーバー不要のレッドネイル。爪にやさしく、ネイル特有の香りがないもの魅力。リキッドステッカー レッド 9.5g ¥1,600+税/SEP BEAUTY

かつて先輩によって禁じられていたネイル。「本当はビビッドカラーが好きで、真っ赤なネイルにも挑戦したいけど、今は無難なピンクベージュや乳白色ばかり」と教えてくれた琴子さん。爪にやさしい処方で、ステッカー感覚でペリペリはがせるこんなネイルなら、ビビッドカラーへのハードルも低くなるのではないでしょうか。

まずは、休日やペディキュアだけでも憧れの深紅にトライしてみる。そして目が慣れたら、1本だけでもいいから会社にも塗っていってみたらどうですか。何か言われたら、「うっかりしてました」とその場でペリペリはがせばいいのです。事務の仕事がメインなら、PCのキーボードを叩く爪先くらい自分が楽しくなる色でいいじゃない。オフィスコードは職場によってちがうから、ちょっと探ってみてください。

「本当はくだらないことやバカみたいなことが好きで、小学生男子みたいなところがあるんです」と教えてくれた琴子さん。同性の先輩に気をつかいながら、自分を隠して穏便に過ごした20代前半。本当にお疲れさまでした。もうそんなふうに縮こまらなくていいし、後輩を縮こまらせないやさしい先輩になってね。とりあえず私に免じて、すべての年上女性が敵ではないと信じてほしい。きっとこれからは、味方になってくれる人のほうが多いはずだよ。応援しています!

(長田杏奈)

※コスメ写真は編集部撮影。そのほかの画像はイメージです

※この記事は2018年06月27日に公開されたものです

長田杏奈

ライター。美容をメインに、インタビューや海外セレブなどの記事も手がける。趣味は園芸。

Instagram:https://www.instagram.com/osadanna/
Twitter:https://twitter.com/osadanna

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