藤岡弘、は珈琲を淹れる時なぜ感謝するのか?【著名人のうちカフェ vol.1】
珈琲には流行がある。2014年、日本にもサードウェーブが押し寄せたと思ったら、年が明けて2015年に注目を集めているのはブルーボトル。気にいった店を見付けてもすぐまた次の波がきてしまっては、乗り遅れまいとするのにも労力を使いそう。
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せめて自宅では、アレンジ自在な定番として、お気に入りの味や飲み方を楽しみたいもの。
そのためにも、自分らしい珈琲ライフを堪能すべく、著名人たちの珈琲時間を参考にするのもいいかもしれない。
第一回にご登場いただくのは、自ら現地で見付けてきた「藤岡、珈琲」を展開するだけでなく、おいしい珈琲を存分に楽しむための「珈琲道」を探究する藤岡弘、さん。
早速、藤岡さんの珈琲のこだわりについて伺ってみよう。
――藤岡さんの珈琲好きは有名ですが、そもそも珈琲を好きになった理由はなんだったのでしょう?
私は俳優の仕事やボランティア活動で海外の国々を訪れることが多いんですが、ハリウッド俳優として訪問した欧米諸国でも、救援のために訪れた紛争地でも、先方の方々は、珈琲でもてなして感謝の意を表してくださったんです。その経験から、世界中至るところでコミュニケーションツールとして尊ばれている珈琲に興味を持ち、また、珈琲での「おもてなし」に高い関心を抱くようになったんです。
――それがきっかけで「藤岡、珈琲」が誕生したんですね。
そうなんです。世界を旅する途中、さまざまな民族にさまざまな珈琲を出していただき、あたたかいおもてなしを受けたことで、いろんな珈琲の味を知って、自分に合う珈琲、自分が求める味が分かってきたんです。
使っている豆は、6,000メートル級の山が連なるアンデス地域で獲れたものです。厳しい環境の中で生き抜いた、生命力のある豆なんです。野生味に溢れ、「作られた味」ではない、自然のおいしさを堪能することができるんですよ。化学肥料も農薬もほとんど使わずに自然のままに育てられている豆だから、あまり量は獲れないので貴重です。動物や虫が食べたあとの残った豆を選別してるんです。
――おいしく淹れるコツはありますか?
私は珈琲を淹れるときには香りを楽しみたいので、ドリップで淹れるのが好きですね。お客さんに出すときは、淹れた後の珈琲をお抹茶のように点て、ふわりと泡立てることもあります。
淹れるときにも点てるときにも大切なのは、珈琲に「おいしくなってくださいね」と心から語りかけることです。日本人って古来より、接する相手だけでなく自然に対しても尊ぶ心を大事にしてきた民族ですから、いただく食材にも感謝し、相手への想いを込めて珈琲を淹れることができるし、淹れてもらった相手はその珈琲から相手の「心」を感じることができると思うんです。
それから、そのときどきの自分の体調や、珈琲を出す相手の調子を見て、いただきかたを工夫するのもおすすめです。
例えば、「これから仕事に行くから苦みのきいたもので気合をいれよう」と濃い目にドリップしたり、頭をスッキリさせたいときは、黒砂糖やブドウ糖をかじりながら飲んだりとかね。
私も、そのときの気分や体調によって飲み方を変えてますよ。身体が甘いものを欲してるなと感じたら、餡類と一緒にいただくことが多いですね。珈琲と和菓子って相性がいいんですよ。なんで合うのかなと考えたところ、珈琲も餡も豆だからだと気付きました。
植物の成長に必要な要素がたっぷり詰まった豆同士ですから、合わないわけないよね。
チョコレートなんかももちろん相性はいいですけど、日本人には日本人に合ういただき方がマッチすると思うので、小豆を使った和菓子との組み合わせはぜひ試してみてほしいですね。
とはいえ、楽しみ方って人それぞれだから、私自身、「こういういただき方も楽しいですよ」と言うことはあっても、それを人様に押し付けるつもりは毛頭ないんです。どんな淹れ方でもどんな点て方でもいいし、自分が納得して、自分が一番おいしいと思える方法で楽しむのが一番ですよ。
――「藤岡、珈琲」のECサイトではオリジナルのマグカップも販売されていますが、このカップはご自身も愛用されているんですか?
そうですね。このカップ、よく見ると形が一個一個違うんですよ。有田焼なんです。機械じゃなくて職人さんの手で作っているから、どのカップにも味わいがあって、手に持つとあたたかみがあるんです。
側面の「真剣に燃えて生きろ」の文字は私が書いたんです。一瞬一瞬を大事にして、真剣に全力をあげて生きて生きて生き抜くという気持ちを持つことは、自分を生み出してくれた神様や自然に対しての感謝にもつながりますし、そうした気持ちを持つこと自体が、一つのお返しでもありますから。
いつも「生かされし我が命に感謝ししてます、ありがとう」って気持ちを持っていれば、人を殺したりなんて絶対にできないし、自分のことも大事にするでしょう? だって、たった1個の精子が選ばれてこの世に生まれてきてるなんて奇跡じゃないですか。そのことに気付くと、自分のことも他人のことも、もっと深く愛せると思いませんか?
――だから飲み終わったらカップの底から「愛」という文字が出てくるんですね!
私は人生って愛の発見の旅だと思ってるんですよ。人間の細胞っていうのは1個の愛から始まったと言われてるんですね。だから愛によって解決できない問題はないはず。国も宗教も民族も越えて、人間というものは心を通わせ合うことができるんです。
その愛のもてなしの心が、珈琲道にもあるというわけなんです。とりわけ日本人は、相手を慈しむ心を大事にしてきた民族ですから、その心を大切に、一杯の珈琲をいただく時間を分かち合う相手とのコミュニケーションを楽しんでほしいですね。
●藤岡 弘、(ふじおかひろし)
俳優・武道家
1965年、松竹映画にてデビュー。1971年、「仮面ライダー」で一躍ヒーローに。映画「日本沈没」「野獣死すべし」「大空のサムライ」他、テレビ「勝海舟」「特捜最前線」「藤岡弘、探検シリーズ」他、主演多数。
アクションシーンにおいてはスタントを使わず自らこなすアクション俳優として映画界を牽引してきた。ハリウッド映画の主役も務め、日本人初でスクリーン・アクターズ・ギルド(全米映画俳優協会)のメンバーとなる。武道家としても知られ、世界各国で真剣による武道演武を行ってきた。
また、国内はもとより世界数十ヶ国の紛争地域、難民キャンプにて支援活動を精力的に行っている。芸能活動50 周年を迎えた現在も精力的に活動中。
藤岡弘、の最新情報は、藤岡弘、オフィシャルサイト「侍道〈SAMURAI-DO〉」で。
http://www.samurai-hiroshi.com
「藤岡、珈琲」・藤岡弘、グッズのご注文は、「サムライ弘、ショップ」で。
http://www.samurai-hiroshi-shop.jp/
※この記事は2015年04月12日に公開されたものです