「暦」に関する豆知識5つ「世界の終わりじゃないよ!マヤ暦」
皆さんは2015年のカレンダーを買いましたか? 現在では、カレンダーはいつでも売っていますし、いつ買ってもその中身が変わったりしませんが、昔はそうではなかったのです。例えば、江戸時代には年末になって来年の暦が売り出されるという次第で、年末にカレンダーを買うのは実はこの風習の名残です。
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今回は、「暦」についての豆知識をご紹介します。
「暦作り」は権力者にとっても必死!
まず「暦」というのは非常に重要なものです。農作業など、人間の生産活動に関する「時間」を教えるものですから正確でなければなりません。昔においては、正確な暦を発表することは権力者にとって、自らの権勢を誇示することでもありました。
考えてもみてください。偉そうな権力者が「これを使え」と発表した暦が、使ってるうちに実際の季節と合わなくなり、日食や月食の予測も外したとしたら……。面目丸つぶれですね。ですので、昔から「暦」を作ることには、その国の科学力のみならず、威信が懸かっていたのです。
だからこそ、暦に関するドタバタが世界中で起こりました(笑)。
その1:宗教によって暦は異なる!?
宗教で暦が制定されることは少なくありません。というのは、宗教上大事な日は各宗教によって異なりますので、それを入れた暦が必要だからです。
例えば、現在世界中で使用されている「グレゴリオ暦」は、そもそも1582年にローマ教皇グレゴリウス13世が制定したものです。イスラム教には、「ヒジュラ暦」いわゆる「イスラム暦」という独自の暦がありますし、ユダヤ教には「ユダヤ暦」があります。
ちなみに、ヒジュラ暦元年はグレゴリオ暦の622年(ユリウス暦でも同じ)。またヒジュラ暦は純粋な太陰暦であるため、実際の季節とはずれが生じます。そのため、イスラム教国では、グレゴリオ暦と併用していることが多いのです。
その2:日本のドタバタ! 12月3日は元旦だ!
江戸時代の日本の暦は、中国の暦に独自のアレンジを加えたものとして始まりました。現在も使用されている「グレゴリオ暦」が日本に導入されたのは明治時代です。
1872年(明治5年)12月2日に、日本はグレゴリオ暦を導入しましたが、翌日の12月3日を「明治6年1月1日とする」というむちゃなものでした。しかも発表されたのが、同年の11月9日という時期でしたので庶民は大混乱! 特に、翌年のカレンダーを印刷し終わっていた業者は大損害を被りました。
ただし、12月分の給料を支払わなくて良くなったので、当時予算不足にあえいでいた明治政府がすいぶん助かったという、まことしやかな話があります(笑)。
その3:グレゴリオ暦を導入したくない国々(笑)
前述のとおり、現在も世界中で使われている「グレゴリオ暦」は1582年に制定されたものです。これは「ユリウス暦」(後述)の計算の甘かった点を修正した、より正確なものでした。そのため、世界中で一気に導入が進んだかというと……そうでもなかったのです。
とうのは、カトリックの総本山、その頂点であるローマ教皇が制定したものですので、プロテスタントの国々、またその他の宗教の国々は独自の暦を使い続けました。しかし、日付が外国と合わないと何かと不便ですし、グレゴリオ暦は正確でしたから、徐々にその使用が広まっていきました。
例えば、イギリスが渋々グレゴリオ暦を導入したのは1752年のことです。グレゴリウス13世が制定してからなんと170年もたってからです(笑)。
その4:大の月・小の月、元は交互だった!
31日のある月を「大の月」、30日のある月を「小の月」といいますが、この大・小は交互になっていたのをご存じでしょうか?
ローマの、かの有名なシーザー(ガイウス・ユリウス・カエサル)の時代の話です。カレンダーは、1年12カ月で下のように大・小は交互になっていました。
1月 大の月
2月 小の月
3月 大の月
4月 小の月
5月 大の月
6月 小の月
7月 大の月
8月 小の月
9月 大の月
10月 小の月
11月 大の月
12月 小の月
これですと、
31日 × 6カ月 = 186日
30日 × 6カ月 = 180日
で計366日。365日にしないといけないので、2月の30日から1日引いて、ここだけ29日にして、大・小の繰り返し。4年に一度はうるう年にする、と。分かりやすいですよね。
これはシーザーの名前を取って「ユリウス歴」と呼ばれました。
ところが!
後にローマ皇帝になった「アウグストゥス」がわがままを言います。「俺の生まれた8月は大の月じゃないと……」。で、どうしたかというと、足りない1日を2月から取ってきたのです。この結果、2月は28日になり、8月は大の月、31日になりました。
また、現在の8月を意味する「August」は、彼の名前「Augustus」にちなんで変更されたものなのです。ちなみに、7月を意味する「July」は、シーザーの「Julius」からきています。偉い人は自分の誕生月を知ってほしいみたいですね(笑)。
※……ただし「ユリウス暦」から2月は28日だったという異説あり。
その5:世界の終わりじゃないよ!マヤ暦
「2012年の12月21日(23日説あり)に世界が終わる!」なんていわれたことがありました。このバカな話の元になったのが「マヤ暦」で、そのマヤ暦が(グレゴリオ暦でいう)「2012年の12月21日」で終わっているから、でした。
マヤ文明はユカタン半島で4-15世紀にわたって栄えた文明とされています。マヤの人たちは、確かに高度な天文観測技術を駆使した、極めて正確な暦を持っていました。
ただし、巷間いわれるような「滅びのカレンダー」ではありません。
マヤ人は3種類の暦を用いていたらしく、そのうちの「長期暦」と呼ばれるものが終末論に利用されました。この暦は、紀元前3114年のある日を開始日として、延々と続くものです。もちろんその終わりの日に意味はありません。
次のサイクルが始まるだけです。
ちなみに、米ボストン大学の研究チームによると、現在からだいたい6000年先までを計算しているそうです。さすがにそのくらい未来になると、人類は滅亡しているかもしれませんね(笑)。
(高橋モータース@dcp)
※この記事は2015年01月13日に公開されたものです