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ダイヤモンドにまつわる誤解「モース硬度は10だが瞬間的な衝撃や熱には弱い」「ダイヤモンドでできた星がある」

自然界において最も硬い鉱物として知られるダイヤモンドは、はるか昔からその輝きで多くの人々を魅了してきました。

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今回はそんなダイヤモンドにまつわるお話を紹介したいと思います。

ダイヤモンドはどうやって作られる?

早速ですが、ダイヤモンドは何からできているでしょう。
ご存知の人も多いと思いますが、ダイヤモンドは炭と同じ「炭素(元素記号:C)」からできています。つまり科学的に見れば、鉛筆の芯の主成分である黒鉛(グラファイト)の同素体であると言うことができます。

にもかかわらず、その性質が黒鉛と大きく異なるのは、ダイヤモンドができた場所に秘密があります。
ダイヤモンドは地下100kmという深い地中で、高温・高圧の力によって作られたために結合が強くなり、また綺麗な結晶となったことからあのような透明で美しい姿になったのです。

ちなみに余談ですが、ダイヤモンドといえば「婚約指輪は給料の3か月分」というフレーズを聞いたことがあると思いますが、これはもともと1970年代にデビアス社の広告で使われたキャッチコピーなんだそうです。40年近くも前に作られたコピーがいまだに定着しているなんてスゴイですね。

ダイヤモンドは意外ともろかった…

きっと皆さんの中には、ダイヤモンドは地球上で一番硬いと聞いた方が多いと思います。
たしかに、鉱物の硬さを示す尺度の1つである「モース硬度」で表せば、硬度10となりますので、地球上の鉱物の中ではもっとも硬いと言えるでしょう。

ただし、このモース硬度というのは、鉱物をひっかいたときの傷の付きにくさを10段階で表しているものであって、衝撃に対する硬さを示しているわけではありません。

実際、ダイヤモンドは瞬間的な衝撃には弱いため、金づちで叩くと、いとも簡単に粉々に砕けてしまいます。さらに、もともと炭素ですので、火をつければあっという間に燃えて炭になります。勇気がある方はぜひ試してみてください…。

夜空に見られるダイヤモンド

さて、本物のダイヤモンドを見る機会はなかなか無い…という人も多いと思います。
そんなときは、夜空に浮かぶダイヤモンドを眺めてみてはいかがでしょうか。

1月から2月にかけての南の空から天頂付近にかけては、「冬のダイヤモンド」と呼ばれる美しい六角形を見ることができます。

おおいぬ座の「シリウス」、オリオン座の「リゲル」、おうし座の「アルデバラン」、ぎょしゃ座の「カペラ」、ふたご座の「ポルックス」、こいぬ座の「プロキオン」という6つの1等星を結んでできるダイヤモンドは、まさに夜空に浮かぶ宝石と言えるでしょう。

さらに南半球に行けば、今度は「ダイヤモンド・クロス」と呼ばれる十字架も見ることができます。それほど明るい星ではありませんが、綺麗な形をしていて、これもまた魅力的です。

…もっとも、南半球まで行くお金があれば、本物のダイヤモンドが買えるかもしれませんけどね。

ダイヤモンドでできた星

かに座にある惑星「55番星e」は、地球のおよそ2倍の大きさで8倍の質量を持った天体です。
この天体は、炭素を多く含んだ惑星であり、地表は黒鉛が覆っていますが、その内部はダイヤモンドで構成されていると考えられています。しかもダイヤモンドが占めている質量は惑星全体の3分の1と言いますから、ざっと見積もっても地球3つ分という膨大な量です。

地球からわずか40光年という比較的近いところに、このように地球の常識をはるかに超越した天体が存在しているなんて、夢のあるお話ですね。

まとめ

地球上でもっとも硬い鉱物だと言われているダイヤモンド。
しかし実際のところ、ひっかき傷には強いものの、瞬間的な衝撃や熱には弱い鉱物…というのが真の姿でした。

それでも、美しさやその希少価値から人々を魅了してやまないという意味では、やはり地球上で最強の鉱物と言えるかもしれませんね。

(文/TERA)

●著者プロフィール
TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2015年01月02日に公開されたものです

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