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秋の夜空を駆けるペガサスの物語

秋と言えば、「食欲の秋」・「スポーツの秋」・「読書の秋」…など、様々な「○○の秋」がありますね。

いろんなことに意欲的になれる秋ですが、この時期の夜空を見上げると、天を駆けていく美しい「ペガサス」の姿を見ることができます。

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天を駆ける馬「ペガサス」とは…

ギリシア神話に登場する伝説の生物「ペガサス」は、背中に生えた翼によって空を飛ぶことができる白い馬で、神話の中では勇者ペルセウスが怪物メドゥーサを倒して首を切った際に、その切り口または血から生まれたとされています。

ペガサスに乗ったペルセウスは、故郷へ帰る途中で、海獣(お化けクジラ)への生け贄として捕らわれていたエチオピアの王女アンドロメダを助け出し、これがきっかけで二人はめでたく結ばれるのでした。

その後、ペガサスは英雄ベレロフォンの手に渡ります。ペガサスを手に入れた彼は、リュキア(現在のトルコ南沿岸地域)の野を荒らしていた怪物キマイラ(ライオンの頭にヤギの胴体、ヘビの尻尾を持つ怪物)を退治するなど、数々の活躍を見せます。

けれども、ベレロフォンは調子に乗って神々の世界である天上に昇ろうとしたため、ついに大神ゼウスの怒りに触れてしまいます。怒ったゼウスは一匹の虻を送り込み、ペガサスの鼻を一刺しさせます。すると、痛みで暴れ狂ったペガサスの背中から、彼はとうとう振り落とされてしまいました。

こうしてベレロフォンは墜落死してしまいましたが、ペガサスはそのまま天上へ昇って星座になったとされています。

秋の主役「ペガスス座」

このような神話に基づいて誕生した「ペガスス座」こそ、秋の夜空を代表する星座です。

ペガスス座には、ペガススの胴体部分にあたる4つの星で構成されている「ペガススの大四辺形(秋の大四辺形)」と呼ばれるものがあり、この大四辺形は10月中旬の22時頃、もしくは11月中旬の20時頃に南の空の高いところに見ることができます。

この大四辺形は2等星と3等星で構成されているため、それほど明るいわけではありませんが、周りに明るい星が少ないため、比較的簡単に見つけることができるでしょう。

ちなみに、「ペガススの大四辺形」というにも関わらず、それらを構成している4つの星のうち、南中時の左上(北東側)にあたる星「アルフェラッツ」は、お隣の「アンドロメダ座」に属している星です。

というのも、かつてこの星はペガスス座とアンドロメダ座の両方に属している星でしたが、1928年の国際天文学連合(IAU)の総会で、アンドロメダ座のみに属するものとすると決定されました。そのため、現在はこのようないびつな状況になっています。

どうして「ペガスス座」なの?

ところで、先ほどから「ペガサス座」ではなく「ペガスス座」と書いていることにお気づきでしょうか。

「ペガサス」というのは英語での表記方法、「ペガスス」というのはラテン語での表記方法ですが、星座名として表す場合にはラテン語の「ペガスス」を用いることが一般的となっています。
また、ギリシア語では「ペーガソス」となり、日本語では「天馬」と訳される場合もあります。

秋の夜空の道しるべ

ペガススの大四辺形はいろいろな星座を探す目印としても役立ちます。

たとえば、左側(東側)の辺を上に伸ばしていくと、「カシオペア座」のW型を通過した後で「北極星」にぶつかります。また、右側(西側)の辺を下に伸ばしていくと、秋の夜空に輝く唯一の1等星である「フォーマルハウト」(みなみのうお座)にたどり着きます。

秋の夜空には、明るい星が少ないため、このようにペガススの大四辺形を目安にして明るい星を見つけると探しやすくなるでしょう。

まとめ

ギリシア神話に登場する伝説の生物「ペガサス(ペーガソス)」。その活躍が認められて、現在に至るまで「ペガスス座」として名を残しています。

日本の秋を代表する星座であり、有名な「ペガススの大四辺形」も見えますので、「読書の秋」の合間に「星座の秋」として、夜長を楽しんでみてはいかがでしょうか。

(文/TERA)

●著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2014年09月23日に公開されたものです

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