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覚えておけば安心。あらゆる場面の上座・下座「寿司屋のカウンター→奥の席または板長の前」

目上の人が座るのは上座、目下の人が下座へ。それは誰もがわかっていると思うのですが、それではどこが上座で、どこが下座なのか? どんな場面でも正しく判断できる自信がありますか? 心許ない人も多いのではないでしょうか。

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そこで今回は、プライベートでも仕事でも役立つ、上座・下座の知識をご紹介したいと思います。マナー講師・平松幹夫先生に、お話をうかがいました。

上座・下座の基本

「その場において、最も上位の人に座っていただくところが『上座』、下の人が座るところが『下座』です。和室では、床の間を背にした場所が上座となり、洋室の場合には暖炉に一番近い場所、または出入り口から一番遠い場所が上座となります。

まずこの基本を覚えておきましょう」

和室の上座と下座

「和室では床の間に一番近い席が上座となり、その次に上座となる場所は床脇棚に近い場所です。床脇棚とは床の間の脇に設けられた棚のことで、両脇に脇棚があるものが正式ですが、片側だけの場合もあります。

もし床の間のない和室なら、入り口から遠いか、近いかで上座・下座を判断します。また、床の間は神聖な場所とされていますので、手荷物などは置かないようにしましょう。和室では、手荷物は床の間からできるだけ遠い場所に置きます」

洋室の場合

「洋室には床の間がありませんので、暖炉が基準となります。暖炉に一番近い場所が上座。暖炉がなければ、入り口から最も遠い席が上座です。

また、洋室の場合に迷うのがソファではないでしょうか。長さの違うソファが並べられている場合には、長いソファが上座となります。ただし、長いソファが出入り口付近にある場合は、この限りではありません」

玄関にも上座・下座がある

「実は、玄関にも上座と下座があります。他家や他社を訪問したときには、自分の脱いだ靴は下座に置いてください。

玄関では、基本的に下駄箱がある方が下座になります。ただし、迎えてくれる主人がいる側が上座になるという捉え方もありますので、荷物や靴を置く際の参考にしてください。また、入り口に近い方も下座となります」

会議テーブルの場合は?

「会議の席では、議長が座る席が基本となります。従って、部屋の出入り口から遠い場所に議長席を準備するのが一般的で、そこが一番良い席ということになります。そして、そこから近い席が二番目、離れるにつれて、三番目、四番目となります」

円卓で会議を行うときは?

「会議で円卓を使用する場合、『不必要に上座や下座を設けず、参加者全員が自由に発言できること』を狙っていると言えるでしょう。そのため、それほど上座・下座にこだわる必要はありません。どうしても気になる場合は、出入り口から遠い席を上座と考えれば良いでしょう」

タクシーではどう座るのが正解?

「車の上座・下座は、タクシーか自家用車かで変化します。タクシー、または運転手つき自家用車の場合には、後部座席の右側を最も良い席だと考えるのが一般的です。その隣、後部座席の左側が二番目となり、助手席が三番目です。

ただし、車の持ち主が運転する自家用車の場合には、助手席を上座と考えることもあります」

エレベーター内での考え方

「エレベーターの中では、扉の奥側が上座になり、操作ボタンの前が下座です。ただし、混み具合などによって臨機応変に対応してください」

回転卓のある中華レストランでは?

「回転卓のついた丸いテーブルは、上座や下座があまり関係なさそうですが、上座・下座はしっかりあります。出入り口から最も遠い席が上座で、その両隣が次に良い席ということになります。入り口に近い席が下座で、ホストが座ります」

寿司屋のカウンターなら?

「寿司屋のカウンターでは、基本的には出入り口から一番遠い、奧の席が上座となります。ただし、板長の前を上座とするケースもあります」

もしも、上座を勧められてしまったら

「公私にわたり、お宅や職場を訪問したときに上座を勧められ、対応に困った経験はありませんか? ここで問題となるのは、素直に座るべきか、一旦遠慮すべきか。もしその場が『洋』の雰囲気なら、素直に受けましょう。

会議や立食パーティーなどでも、いつまでも立っていては場が混乱する可能性が高いですので、勧められた席に速やかに座ることをお勧めします。

しかし、和室の場合は一旦辞退し、ほかの人に勧めた方が良いでしょう。『謙譲の美徳』という、日本人ならではの美しい文化です。一旦遠慮して、それでも勧められたらお言葉に甘えます」

まとめ

あらためて考えると、意外と奧が深い上座と下座。全て頭に入れておくのは難しいかもしれませんが、基本的なルールは覚えておいた方が良いでしょう。そうすれば、お客さまをエスコートするときだけではなく、エスコートされるときにも役立ちそうです。

(OFFICE-SANGA 森川ほしの)

※この記事は2014年09月20日に公開されたものです

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