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国産オートバイが今年5月に登録され快挙!「立体商標」ってどんなもの?

今年5月、国産のオートバイが立体商標として登録された。日本の乗り物では初の快挙だが、「立体商標ってなに?」というひとも多いだろう。

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会社/製品名の「商標」、デザインや形状の「意匠(いしょう)」に対して、立体商標はどちらも兼ね備えたような存在だ。ひとめ見ただけで、だれもが「あぁ、あれだね!」とわかるような、信頼と実績のある製品だけしか登録されない、ハードルの高い商標なのだ。

商標+意匠=立体商標?

「登録商標」「意匠登録」などの言葉を耳にしたことがあると思うが、これらは知的財産法と呼ばれる、持ち主や作ったひとを保護するための法律用語だ。どちらも登録すると、マネやコピー商品を排除することができるようになる。

特徴をかいつまんで挙げると、

・商標 … 会社/ブランド/製品名などの「文字」
・意匠 … デザインや形状の「独自性」

で、意匠は「新しいもの」に限られ、既存のデザインや似たようなものは登録できない。対して商標はOKなので、すでに販売している製品名を、ヒットしてから登録することも可能だし、奇抜なブランド名でなくても商標登録できる。

立体商標は、商標と意匠が合体したような存在で、それぞれの特徴を兼ね備えていないと登録できない。身近な例としては、

・お菓子屋さんの、ベロを出した女の子の「人形」
・フライドチキン屋さんの、メガネのおじさん「人形」
・黒い炭酸飲料の「ビン」
・一気飲みできそうなサイズの、乳酸菌飲料の「容器」
などだ。

とくに重要なのは、

・その商品自体の形、またはなかの商品がすぐにわかる「意匠」
・他の商品とは「別物」だと識別できる「性能」

の2点で、パッケージや包装紙のデザインだけでは成り立たず、商品の性能も大きく関与する。

例えばレストランのキャラクター人形なら、デザインはもちろんのこと、「ほかでは食べられない」「独特の味」など、製品自体が高性能でないと登録されない。

つまり立体商標は、狭き門を通り抜けた製品だけに送られる、名誉ある称号なのだ。
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立体商標は信頼のあかし!

今回登録されたオートバイは、出前や配達でよく見かけるタイプで、メーカー発表の資料では、

・累計生産台数 … 8,700万台
・販売国 … 160か国以上

で、世界でもっとも売れたバイクとされている。国によっては、製品名ではなく会社名で呼ばれるほどポピュラーな存在になったのも、信頼性/耐久性があってこそだ。1958年の生産開始から、デザインを大きく変えなかったのも、今回の登録認可にひと役買っている。

つまりは、
・高性能な製品
・しっかりした販売実績

の両方があり、多くのひとが、ひとめ見ただけで製品名がわかり、製品名だけで性能の良さや独自性が伝わらないと、立体商標はとれないのだ。

立体商標=信頼できる製品の構図となるのだが、日本ではまだ発展途上の感があり、認可が下りなかったケースが多い。

先の例では炭酸飲料のビンや乳酸菌飲料の容器は、一度はダメ出しを食らっている。今回のオートバイも2013年1月に拒絶審査、つまりNGを出されたが、最終的には登録を勝ち得た。

メーカーの粘りもさることながら、信頼と実績ある製品の「性能」が決め手になったといえるだろう。

まとめ

・商標は文字、意匠はデザイン
・登録すれば、マネやコピー商品を排除できる
・立体商標は、商標+意匠の意味
・登録されるためには、性能と実績が必要

大げさにいえば、立体商標は「人間国宝」のようなものだから、しきいが高いのも当然だ。このさきも、立体商標にふさわしい製品が登場することを期待しよう。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年07月05日に公開されたものです

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