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CMになると、音が大きくなるのはなぜ?「現在は音量が規制され、どの番組も同じになっている」

CMになると音が大きくなるなんて言われているが、現在は音量が規制され、どの番組も同じになっていることは、あまり知られていないようだ。

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2013年から、人間が聞こえやすい音の高さを測る「ラウドネス値」が導入され、基準を超えたものはCMでも番組でも放送できない。薬のCMのチャイムや国民保護サイレンなど、音に関するルールが多く存在するのだ。

音量よりも「聞こえやすさ」が重要

人間の耳は音の高さによって聞こえかたが異なり、極端に高い/低い音は小さく感じやすい。逆に2,000~4,000Hz(ヘルツ)の音は聞き取りやすく、同じ音量でもうるさく感じる。音の高さを例えると、

・125Hz … ブー

・1,000Hz … ピー

・4,000Hz … キーン

といったところで、会話や赤ちゃんの泣き声、女性の悲鳴がこの範囲に含まれる。危険を察知するのに使われる高さなので、聞こえやすい構造になっているのだ。

対してテレビやラジオの音量は電気信号の強さで管理され、VUメーターと呼ばれる装置で測定されていた。つまり、聞こえにくい低/高音も、聞き取りやすい1,000~4,000Hzも同じように扱われていたので「うるさい」と感じる場面が多々あった。

そこで2013年4月からは、信号の強さに加え、聞こえやすさを考慮した「ラウドネス値」で管理する「T032」ルールが導入され、

・最大 … -23.0LKFS

・平均 … -24.0LKFS

・最小 … -28.0LKFS

と定められている。単位の説明は省略するが、値が大きくなるほど大音量を意味し、最大値を超える番組やCMは事実上「放送禁止」扱いとなっている。

平均音量が同じなら、なぜCMのほうが大音量に感じるのか? これは短時間で注意を引くために「密度」が高いからだ。例えば1時間のバラエティやドラマなら、盛り上がる/静かなときの強弱があり、最後まで同じ音量が続くことは、まず有り得ない。

対してCMの場合は短時間に凝縮されているため、最初から最後までハイテンション気味のものが多い。そのため同じラウドネス値でも耳に残り、好みに合わない場合は「うるさい」と感じるのだ。

有事の際にはサイレンが鳴る?

薬のCMで「ピンポーン」と鳴るのも、テレビならではのルールだ。

日本OTC医薬品協会が定める「OTC医薬品等の適正広告ガイドライン」から抜粋すると、

・静止した文字で「使用上の注意」と1秒(解熱剤などは2秒)以上表示する

・視聴者の注意をひく音声を併用する

・第一類医薬品は「薬剤師からの説明を受け」と記載

・第二類は「薬剤師、登録販売者に相談のうえ」と記載

がルールづけされている。チャイムは演出ではなく、自主規制による音なのだ。どの製薬会社でも同じようなチャイム音が使われているものの、ガイドラインでは「音声」と記されているだけなので、奇抜なCMが登場するのを期待しよう。

テレビで聞きたくない音として、国民保護サイレンが存在する。有事サイレンとも呼ばれ、武力攻撃が「予測」されたり、発生した「事態」になると放送される。これは2003年6月に施行された武力攻撃事態対処法に基づくもので、国民の安全が脅かされるときのみに、首相官邸の指示によって放送される仕組みだ。

もちろん、これが流れるような事態は起きないでほしいが、あまりにもレアな存在だけに、突然鳴っても意味がわからないと対処に困る。内閣官房・国民ポータルサイトで試聴できるので、いざというときに備えて一度聞いておくのも良いだろう。

まとめ

・昨年2013年から、CMやテレビ番組の音量規制が強化された

・電気エネルギーの強弱だけでなく、聞こえやすさが考慮されている

・CMもテレビ番組も、平均音量は同じ

・薬のCMのチャイムは、注意喚起のため

・あまりお世話になりたくない「国民保護サイレン」も存在する

うるささは、音量よりも、そう感じるかがポイントのようだから、電車やレストランなど、公共の場では「声は小さめ」が良いようだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年06月28日に公開されたものです

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