無くなる都道府県が出てくるって本当?「30年後全国の自治体が半減すると予想」

少子化に歯止めがかからない日本。このまま続くと2040~50年には1億人を下回り、全国の自治体が半減すると予測されている。
カギとなるのは女性の人数で、現在の半分になると、その市区町村は機能しなくなって消滅する。女性の働きやすさや子育て支援が対策にうたわれているものの、より住みやすい町を求めて流出が続けば、都道府県が消滅する可能性もあるのだ。
町の存続は女性次第!
少子化は総人口の減少を引き起こし、過疎化する地域が生まれるのは避けられない。この際にカギとなるのが20~39歳の女性で、この世代が減少すると「家庭」が減り、税収も見込めず、少子化により学校の運営も困難になる。
つまり、自治体として存続できるかは、女性の人数次第なのだ。
対して、多くの女性が働いているいま、住みやすい場所を求めて別の町に引っ越す場合もある。ひとり暮らしならなおさらで、やりたい仕事が見つからなければ、その町に住み続ける理由も薄れ、多くの会社がある都市部に引っ越すだろう。
女性にとって魅力のない町は、将来的に消滅する可能性が高いのだ。
日本創生会議の資料によると、20~39歳の女性の合計特殊出生率(TFR)は現在1.41とされ、これは単純に考えると、両親2人に対し1.41人の子となるので、世代を重ねるごとに人口が減ることを意味している。
これをもとに30~40年後の女性の人口をシミュレーションすると、
・全員が同じ町に住み続ける … 30%減少
・30%がほかの町に移り住む … 50%減少
と予測され、女性がよそへ引っ越してしまうと、その町は加速度的に人口が減ってしまう。いまの半分になってしまうと自治体として存続できない「消滅可能性都市」とされ、なんと49.8%にあたる896の市区町村が消滅すると考えられているのだ。
もし、いまのペースでほかの町に女性が流出した場合、消滅する可能性の高い都道府県と、そのなかの市区町村がなくなる率は、
・1位 … 秋田県(約95%)
・2位 … 青森県(約90%)
・3位 … 島根県(約85%)
で、20~10分の1の規模に縮小してしまう。市区町村どころか「県」として存在し続けるのも困難なのだ。東京/神奈川/愛知などは20%以下に収まっているものの、池袋のある豊島区、温泉で知られる神奈川県・箱根町もリストに名を連ねているので、都市部といえども安心できないのだ。
産めよ増やせよ地に満ちよ
もっとも簡単な解決策は、子供を増やすことで、政府は2025年を目標に1.8、2035年には2.1を「希望出生率」として掲げているが、気楽に言われても困る。仕事やお金の問題がからむからだ。
そこで、
・結婚/妊娠/出産支援
・子育て支援
・多子世帯支援
・女性登用(企業に対して目標設定)
を検討しているようだが、逆効果にならないかが気になる。働きたい会社の有無、市区町村によって受けられるサービスが異なれば、より住みやすい町への流出を後押しすることになるからだ。
以前紹介した「産後入院」を例にとると、本来であれば任意=全額負担でありながらも、費用を補助する自治体もある。サービスに差が生まれれば、魅力的な町への集中が起きるのは当然の結果といえよう。同様に、働きやすい環境が用意されたとしても、働きたい会社がない町に住み続けるかも疑問だ。
まとめ
・2050年には、日本の市区町村は半分に減る
・女性が少ない町ほど、消滅する可能性が高い
・女性にとって魅力的な町づくりが、消滅を防ぐ手段
・少子化対策と女性の働きやすさが、両立するか疑問
企業数や娯楽の意味からも、東京は魅力的な町かもしれないが、出生率は全国で最低となる1.09%(2012年データ)しかない。つまり、20~39歳の若者が東京に集まるほどに、この問題は深刻になる。
めぐり巡って「引っ越し禁止」なんて話にならないことを祈ろう。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年05月23日に公開されたものです