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トイレのフタってなんであるの?「ふたを閉めないで水を流すと、汚水をまき散らすことになる」

洋式トイレのふたは、なんのためにあるのか? いつも開けっ放しだし、掃除のジャマと感じているひとは少なくないだろう。

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取扱説明書には「座らないでください」と書かれているが、本来は椅子として使うためのパーツだ。節電に役立つとも言われているが、汚水が飛び散らないように「洗浄時に閉める」のが、一番良い使いかたなのだ。

洋式トイレはおとなの「おまる」?

5年ごとにおこなわれる総務省統計局の住宅・土地統計調査(平成20年)によると、住宅のトイレの水洗率は90.7%、洋式トイレの普及率は89.6%にもおよぶ。日本は、水洗トイレの歴史は古く、3,000年以上前の縄文時代にすでに使われていたと推測されている。

ただし、はりだした板の上から川にそのまま流す構造なので、衛生的なのかキタナいのか微妙だ。厠(かわや)と言われるのも、この原始的なトイレが川の小屋、つまり川屋(かわや)が語源とする説が強い。

対して洋式トイレは水洗とは真逆の存在で、便をためておく容器として誕生した。赤ちゃん用の「おまる」と同じで、しかも室内に置いていたから強烈だ。においはもちろん、便が見えてしまうのも望ましくない。そこで登場したのが「ふた」だ。

水洗になってもふたが残っているのはなぜか? これはユニットバスで便利だからだ。省スペース設計が多いので、便器に物を落とすのを防ぐ、ふたを閉めてタオルなどを置くスペースとして使うためだ。

さらにさかのぼると、ひとが座るいすの役目もあったのだ。英語でstool(スツール)を調べると「背もたれのないいす」と同時に、便/便器の意味も持つ。ただし、現行製品の取扱説明書には「座るな」「重いものをのせるな」的に記されているので、バス/トイレ別物件なら無用の長物としか思えない。

生まれて、すみません。

水を流すと、汚水が飛び散る?

それでは、トイレのふたはどう使えば良いのか? もっとも知られているのは節電で、閉めておくと便座ヒーターの保温性が高まり電気代が安くなる。

それを上回る効果があるのは「衛生面」で、ふたをしないで水を流すと、目に見えない汚水をまき散らしてしまうのだ。

まずは洗浄水の飛び散りにより、便器の汚れを洗い流すために、勢いよく流れる仕組みになっている。そのため汚物が混ざった水しぶきが、広範囲に飛び散ってしまうのだ。

病院環境管理研究会の試験によると、洋式トイレの洗浄時には、1m以上離れた床、高さ1m以上の壁部分にまで汚水が飛び散ったというデータがある。同様に「優良住宅部品性能試験方法書」には、便座とふたに2mm以上の水滴が25個以上飛び散ってはいけない、と定められているほどで、ふたをしないで水を流すとトイレを汚してしまうのだ。

さらに怖いのはエアロゾルだ。スプレー缶と同じ原理で、菌やウィルスを含んだ水が拡散してしまうのだ。

正式名称・煙霧体(えんむたい)のエアロゾルは、熱によって蒸発しなくても、水を勢いよく流すだけでも発生する。フタを閉めずに水を流すと、

・便座の25cm上でエアロゾルを検知

・8分の1に減るまで60分

・24分の1に減るまで150分

かかるというデータもあり、バイ菌を含んだ水が、長時間空中をただようのだ。この冬に猛威を振るったノロウィルスも、トイレを中継して感染が広まったぐらいだから、ふたを閉めずに水を流すのは、危険すぎる行為なのだ。

まとめ

・洋式トイレの原点は「おまる」

・においやビジュアル面を補うのが、ふたの役目

・本来は椅子の役目だが、なぜか現在は「座らないでください」

・ふたを閉めないで水を流すと、汚水をまき散らすことになる

飾りだと思っていたが、重要な役割をしていることがわかった。個人的には開けっ放し派だが、これからはふたを閉めてから水を流すよう、努力したい。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年04月10日に公開されたものです

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