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日本に飛来する黄砂の量や飛来のピークっていつ?国立環境研究所に聞いてみた!

日本に飛来する黄砂。ピーク時には空が黄色く濁って見えたりしますよね。皆さんはこの黄砂、どこの砂がどうやって飛んできているのか、またいつが飛来のピークなのかご存じですか? 環境問題などの研究を行っている、国立環境研究所に黄砂について聞いてみました。

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これからの時期は黄砂のピーク

――まず「黄砂」がどんなものなのか教えてください。

タクラマカン砂漠やゴビ砂漠、黄土高原といったアジア内陸部の乾燥地域で、毎秒十数メートルという強風が吹いた際に、微小な砂粒が巻き上げられることがあります。それが西風によって下流域(中国東部・韓国・日本・太平洋など)へ運ばれる現象のことを言います。

気象庁では、そのような粒子によって視程(水平方向の見通し)が10キロ以下となる場合を黄砂としています。

――黄砂は一年中日本に飛来しているものなのでしょうか?

日本では例年、2月から5月ごろに一番多く黄砂が観測されています。しかし、梅雨期や太平洋高気圧に覆われる夏を除き、秋や冬にも黄砂が観測されることがあります。例えば2010年11月には大規模な黄砂が西日本から東日本にかけて観測されました。

※気象庁の黄砂観測日数表:http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/kosahp/kosa_table_1.html

――ではこれからの季節が黄砂のピークなのですね。飛来する黄砂は年間どれくらいの量になるのでしょうか?

黄砂の一部は日本上空へ到達してもそのままさらに東へ流れていき、一部が乾いたまま地面に落ちたり、雨と一緒に地面に落ちるなどします。日本上空を通過する量としては、2002年の3-4月で6Tg(600万トン)とする数値モデル計算の結果があります(高度1km以下を通過した量)。

一方、地面に落ちる量については、日本では1年間で1平方メートル当たり1から10グラムといわれています。

――実際に地面に落下している量については、そこまで多くはないのですね。日本国内では、どういった地域に最も多くの黄砂が飛来しているのでしょうか?

西日本が多く、特に九州や中国地方で多く観測されています。
参考:http://www.env.go.jp/air/dss/torikumi/chosa/rep3/03.pdf

――黄砂にはどんな物質が含まれているのでしょうか? 単純に砂だけですか?

黄砂粒子は土壌由来なので、元素組成で言えば珪素(けいそ)、アルミ、鉄などで構成されています。ただし、大気中を浮遊して人口密集地帯などを通過すると、人為起源の硫黄酸化物や窒素酸化物と結合することがあります。

さらに、黄砂表面に微生物(細菌など)が付着している場合があることも最近の研究では明らかになっています。

――微生物などが付着している場合もあるのですね。そう聞くとあまり吸い込んだりしたくないものですが、マスクなどを着用することで黄砂を吸い込まないように予防できたりしますか?

PM2.5に効果があるマスクであれば、黄砂の大部分はPM2.5と呼ばれる粒子よりも大きなサイズなので効き目はあると考えられます。

――マスクは効果的なのですね。吸い込んだりしたくないという人は、飛来のピークの時期にはマスクを着用するようにするといいですね。

地面に落ちる量はそこまで多くありませんが、600万トンもの量の黄砂が上空を通過しているのはすごいですよね。黄砂の飛来はまさにこれからがピークとのことですので、黄砂に関する気象予報が出た日は、マスクなどを着用するようにするといいかもしれませんよ。

(貫井康徳@dcp)

※この記事は2014年03月13日に公開されたものです

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