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北極星のように南極星ってあるの?―「無いこともない。ただし……」

北の空を見上げると、いつも同じ1つの星が明るく輝いています。そう、おなじみの「北極星」ですね。

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では、これに対抗して、同じように真南を示す「南極星」というのもあるのでしょうか。

南半球で見える星空

オーストラリアやニュージーランドなど南半球に行くと、日本からは決して見ることができない星座たちが出迎えてくれます。

中でも有名なのは「みなみじゅうじ座」です。「南十字星(サザン・クロス)」とも呼ばれて親しまれてきたこの星座は、その名の通り4つの星がそれぞれ交差して十字を形作っています。

実は、現在「国際天文学連合(IAU)」によって制定されている88種類の星座の中でもっとも小さい星座なのですが、1等星の「アクルックス」と「ベクルックス」、2等星「ガクルックス」、さらに3等星1つから構成されていて明るいため、南半球の空でひときわ目に付きます。

基本的には南半球で見られる星座として広く認知されていますが、日本国内でも春から夏にかけて沖縄地方で見ることができます。もし、沖縄に行くことがあったら一度探してみてはいかがでしょうか。

ニセモノにはくれぐれもご注意を…

ただし、南十字星には2つのニセモノが存在します。

1つ目は、その名も「ニセ十字」と呼ばれるもので、南十字星のすぐ近くにあります。「りゅうこつ座」と「ほ座」の2等星それぞれ2つずつから構成されていて、本物と同じぐらい(もしくはそれ以上に)目立っています。

そして2つ目は、南十字星とニセ十字の間にある「ダイヤモンド・クロス」です。こちらはりゅうこつ座の4つの星で構成されていますが、やはり大きくて本物と間違えやすいため注意が必要です。

…それでは、本物の南十字星を探すにはどうしたらよいのでしょうか。

南十字星を正しく見分けるには、通称「ポインター」と呼ばれている2つの明るい星を見つけるのが一番の早道になります。ポインターとは、南十字星のすぐ近くに並んで輝くケンタウルス座の2つの1等星のことで、これらを結んだ線を2~3倍ほど延長したところにあるのが南十字星です。

また、本物は2等星の「ガクルックス」が赤い色をしているため、それを見つけるというのも1つの手です。

南極星っていうのもあるの?

北極星は、北極の真上に位置することため、南半球からは見ることができません。

同じように、北半球にある日本から南極星を見ることはできません。それでは、南半球に行けば「南極星」が見られるのでしょうか…。

歯切れが悪いですが、この質問に対しては「無いこともない」というのが答えです。一応、南極星にあたる星というのも在存します。ただし、北極星のように肉眼でハッキリ見えるほど明るい星ではありません。現在の南極星にあたるのは、「はちぶんぎ座」に属している星「ポラリス・アウストラリス」ですが、その明るさは5.47等級と暗いため、これを南極星として認めてよいのか?という意見もあります。

ただし、北極星について、地球の地軸がコマのようにブレている影響(歳差運動)によって、南極星となる星も長い年月をかけて移り変わっていきます。

今は目立たない南極星ですが、12,000年後にはりゅうこつ座の1等星「カノープス」がその座に就きます。この星は、おおいぬ座の「シリウス」に次いで全天で2番目に明るい恒星ですから、就任した暁には立派な南極星だと言えるでしょう。

まとめ

日頃、日本にいると見られない星たちが南半球に行けば見られます。

南十字星や南極星は日本から見ることはできませんが、どちらも南半球では1年を通じていつでも見られる星ですので、もしも行く機会があれば頑張って探してみてはいかがでしょうか。きっといい思い出になるはずですよ。

(文/TERA)

著者プロフィール

小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2014年02月25日に公開されたものです

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