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スマホのバッテリーを長持ちさせるなら「電池の温度に気をつける」

飛躍的な性能向上を続けるスマートフォン。快適に使える反面、携帯電話よりも消費電力が増えたため、バッテリー切れの心配が絶えない。

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スマホのバッテリーを長持ちさせる方法はないのだろうか? 「使わない機能をOffにする」など当たり前すぎる回答をwebで見かけたが、通話もブラウザもガンガン使う人にはまったく役に立たない。それよりも電池の温度を管理した方が、長時間使えて寿命も長持ちするようになるのだ。

電池は意外と熱血漢?

電気を身近なものに例えるなら「水」のイメージで、水の勢いが電圧、量を電流、電池は容器だと考えると分かりやすいだろう。

バケツに水を入れ、底に穴を開けると水が流れ出てくる。最初は勢いも量も多いが、水が減るにつれて弱まり、最後はしたたる程度になってしまう。電池も同様で、使い始めは電圧が高いのだが、だんだんと低下し電流も弱まる。

乾電池と豆電球の懐中電灯が、どんどん暗くなってしまうのを味わったことがあるだろう。電池を使い切るまでの時間を10とすると、明るいと呼べるのは最初の3~4ぐらいで、最後はぼんやりと光っている程度になってしまう。

対してタブレットやスマートフォンに使われているリチウムイオン電池は電圧の低下がなだらかで、残り容量10%ぐらいまでは、90%近い電圧を放電できる。そのため、安定した電力が求められるコンピューターはもちろんのこと、モーターの回転を一定に保てるので電動工具にも重宝されているのだ。

電池は化学変化によって電気を発生するので、温度によって性能が変わる。スキー場など寒冷地でクルマのエンジンがかかりにくいのも、バッテリーの性能が低下し、エンジンを回すモーターの勢いが足りなくなるのが大きな要因だ。

リチウムイオン電池も同様で、温めると電圧は高くなり、冷やすと低下する傾向がある。公称3.7Vのリチウムイオン電池の場合、これ以上放電できない状態になると2.75Vまで低下する。これは終止電圧と呼ばれ、本来は残り容量がゼロになるべきなのだが、温度によって違いが生じる。

温度と、終止電圧に達するまでに放電できる容量を比較すると、

・-20℃ … 75%

・-10℃ … 85%

・0℃ … 90%

・25℃ … 100%

・40℃ … 105%

・60℃ … 110%

となり、寒いところでは25%も残したまま打ち止めになってしまうのに対し、25℃を超えると容量以上に放電できる。つまり、残量が0%と表示されても、電池を温めれば復活する可能性があるのだ。

休ませると性能ダウン?

ただし、電池を温めると性能以上に働かせることになるので、寿命が極端に短くなってしまう。故障にもつながるので、使用範囲を超える高温は厳禁だ。くわえて、リチウムイオン電池も充放電を繰り返すとだんだんと容量が減り、減り具合は温度によって大きく左右されるので注意が必要だ。

容量が75%まで減ってしまうまでの時間と温度の関係は、45℃ならおよそ700日もつのに対し、55℃で使うと300日程度、60℃では200日ほどに短縮されてしまう。たった10℃の差でも半分に、25℃も上がると3分の1の時間で寿命がきてしまうのだ。

また、しばらく使わないだけでも容量が減るのも特徴で、電池の一部がダメになった状態となり、元には戻らない。これは容量復帰率と呼ばれ、100%ならダメージなし、90%なら10%分損することになる。充電状態と、12か月間使わなかった場合の容量復帰率の関係をみると、

・100%充電 … 90%

・40%充電 … 95%

・0%充電 … ほぼ100%

で、満タンのまま放っておくと、1年後には1割引きの電池になってしまうのだ。

まとめると、

・普段は25℃程度に冷やす

・しばらく使わないなら電池は使い切っておく

・電池切れでピンチの時は温めてみる

で、リチウムイオン電池の性能がフルに発揮できるだろう。

まとめ

リチウムイオン電池の適温は20~25℃ぐらいだから、内ポケットに入れて持ち歩くだけでも寿命が縮まってしまう。

スマホの冷却グッズを多く見かけるが、まずは電池を冷やすのが得策のようだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年01月28日に公開されたものです

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