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北海道札幌市のカリスマ焼きそば店が放つ3kgメニュー その名も「信じられねぇ」

開店前からポツポツ待ち人がいる日も珍しくない

ラーメンが支配する札幌において、30年の長きに渡り地元民を魅了し続ける焼きそば店がある。ここに集いし常連客たちの誰もが憧れ、そして恐れる伝説のテラメニュー「信じられねぇ」。札幌っ子に広く浸透しているこの伝説に出会うべく取材班は足を運んだ。

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札幌大通の地下にある店の名は、まさに直球勝負の「やきそば屋」。入り口に券売機が用意されており、好みのサイズの焼きそばや、およそ20種類あるトッピングを選んで購入する。

サイズは多様だ。最小の並=麺1玉から始まり、大盛→スーパージャンボ→ミラクルジャンボ→ウルトラジャンボ→これでもくらえと、食欲と自己の適量に応じたサイズを選ぶことができる。

この店の最大の特徴は、味付けを全て自分で行うところにある。5種類のソースと2種類のしょう油、そのほかラー油やマヨネーズなど9種類の味の基を駆使し、自分好みの味に仕上げていくのである。量も味も完全自己責任型なのだ。

薬味やマヨネーズなども用意されている

さて例のメニューだが、券売機には見当たらない。エキスパートにしか許されない最大サイズ「信じられねえ」と、その舎弟的存在の「死んでもしらねえ」の二大メニューは興味本位のお気軽な注文を避けるため、口頭でのみオーダーを受け付けるのである。

その際「あなたは本気で食べようとしているのですか?」という意志確認もされるわけである。そして量についても「死んでもしらねえ」で9玉、「信じられねえ」に至っては12玉の麺(重量3kg相当)が使用されていることを説明した上で、思いとどまるなら今のうち、という最後の説得が試みられるのだ。

店から少し離れた場所にあるディスプレイは量を目視できるので重宝する

以前はチャレンジメニューとして、このウルトラを30分以内に完食すれば賞金が出るシステムがあった。このチャレンジメニューはおよそ10年続けられ、完食した人の名前が貼り出されるスペースが店の壁にあった。

10年の間にチャレンジに成功した人はおよそ200人。残念がる声は多かったが、麺の仕入れが大変だったためご主人としても断念せざるを得なかったらしい。

「うちの焼きそば、シンプルなようで結構奥が深いんです」とご主人

その代りとして、ウルトラの上をいく「これでもくらえ(6玉)」が登場。続けざまに「死んでもしらねぇ」、そして究極の「信じられねぇ」が登場し、現在に至っている。近年だと「信じられねぇ」は、年間20皿程度オーダーが入るとのことだ。

取材班が「信じられねぇ」をクリアできるかははなはだ疑問、というよりもほぼ不可能であることは明白だった。なにせ12玉である。しかし背中は見せられない。玉砕覚悟で挑んでみかかった。

うず高さだけでなく、手にした際の重量感に戦慄が走る

決して大盛りが売りの店ではなく、適量サイズと好みの味付けができるところがこの店の大いなる魅力だ。ちなみに自分なりの完璧な味付けにたどり着くまでは長い年月がかかる。通い続けている人は自分なりの味付けを持っている。

居合わせた常連さんの「ソース(ノーマル)4:ラー油3:ゴマ酢しょう油3」という黄金比を参考にさせていただきつつ、わしわしと食い進んだ。

製麺会社に特注している麺は腰が十分。常連さん直伝の味付けはややうすい。大量にかけたラー油の辛さが若干心配だったが、心地よいコクとなってゆっくりと口に広がる。食べ進むほど食欲が引き立てられるという、絶妙なバランスのこの味は、まさに常連でなければ成し得ないことが理解できた。

ちなみにほとんどの調味料はメーカーと共同で考案したオリジナルなのだという。

時折別皿を用意していただき、別の味付けも楽しみながら食べていくが、純粋に楽しんだのは何分ぐらいのことだろう。時間がたつに連れ「楽しみ」は「おびえ」に変わっていった。だっていくら別皿に移しながら食べても、本体はまったく減らないのである。

そして腹だけが満たされていくのである。時の流れが止まったかのような錯覚に陥った。

戦うこと約30分。半分弱まで食べ終えたところで無念のギブアップとなった。それでも推定5玉=約1kg強は食べただろう。この努力だけでも認めたいただければ、ただただうれしい。

究極の「信じられねぇ」に挑むには味付けも重要な要素になるだろう。クリアを目指すにはまず、何度か通ってあらゆる味付けを試してみるのがいいかもしれない。あなたの勇気ある挑戦に期待したい。

≪やきそば屋 大通店≫
住所:札幌市中央区大通西4丁目 新大通りビルB1F
交通:市営地下鉄東西線大通駅3番出口より直結
営業時間:11:00-20:30(土日祝~19:30)
駐車場:無
創業:1982年

※この記事は2013年12月30日に公開されたものです

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