沖縄発のヒーローショー「琉神マブヤー」に大人がもハマる理由とは?
全国各地でたくさんのご当地ヒーローが誕生していますが、そのさきがけでもある「琉神マブヤー」。その人気は着々と全国へと浸透しつつあるようです。今回は各種イベント会場で行われている「マブヤーショー」の魅力に焦点を合わせて、ご紹介します。
全国で人気拡大
ごく一般的なヒーローショーでは、あくまで子ども目線に合わせた内容を設定。アクションシーンなど「格好よさ」に主眼を置いたものになりがちのように思われます。
しかしマブヤーショーは、悪役たちのコミカルなダンスや、アドリブ満載で大爆笑の連続。中には大人にしか伝わらないであろう笑いのネタもちりばめられています。沖縄の文化や精神性を重んじ、決して殺生をしたりはせず、どこか教育性を兼ね備えたストーリーに心奪われる大人も急増中だとか。
さらに、2012年に映画版が全国公開されたことで、沖縄以外での知名度は飛躍的に上昇し、マブヤーショーの日程に合わせて会場を訪れる観光客もいるほど。TOKYO MXテレビでの放映もきっかけとなり、全国的な人気はますます高まっていると言えそうです。
この対象年齢を超越したステージに込められている思いや、意図、演出上心がけていることなどを、マブヤー関連のイベントやキャラクター商品の企画開発を行っている、マブイストーンの広報の方にお聞きしました。
沖縄の文化、価値観などの教育的要素が盛り込まれているストーリー
――ショーでは、沖縄の言葉、文化、価値観や道徳などの教育的要素を盛り込んでいるそうですね。コンセプトについて教えてください。
「ヒーローは『沖縄を守る』、悪役は『ウチナーを取り戻す』というのを共通のコンセプトにしています。そして沖縄の文化風習が込められた、大切なマブイストーンを守る、というストーリーを通じて教育できるように意識しています」
※ウチナー:うちなーぐち(沖縄の昔ながらの言葉)で“沖縄”の意味。この話の中では“古きよき沖縄”といった意味。
地元の方ですら、最近は沖縄独自の文化や風習を知る人や、沖縄の言葉を話せる人が少ないと聞きます。ショーのセリフなどから興味を持った子どもが親に質問し、親がさらにおじいさん・おばあさん世代へ質問する。こうすることによって、さらに沖縄文化への理解が深まる効果があるそう。
観光客や県外の人は、ショーを通して沖縄文化に触れることができます。その上、現代を守るヒーローと、失われつつある過去を取り戻そうとする悪役、そんなやや哲学的な対局構造までも感じ取れたら、一層大人は楽しめるでしょうね。その興味深い話やショーの魅力が口コミで広がり、世代を超えたファンをジワジワと獲得しているようです。
大人も楽しめるショーの秘密
――年間約200ステージもこなされているというマブヤーショーですが、子どもだけでなく、大人が見ても楽しめる、その人気の秘密はどのあたりにあるとお考えでしょうか?
「ショーでは広い範囲(親子)をターゲットにして、悪者たちのセリフを大人が笑えるように構成しているから……でしょうか」
――たしかに悪役が落ち込んでいる場面で「転職するなら○○電力(地元で特に安定企業のイメージが強い)がいい」とぼやくなど、大人にしか伝わらないだろう笑いも際立ちますね。そしてほかのヒーローショーとまったく違うと感じるのが、悪役のキャラクターたちの役どころといいますか、立ち位置が特徴的だと思うのですが。
「ショーの当初から、進行は悪役のハブクラーゲンを筆頭に、ほぼ悪役達が中心となっています。悪役たちに歌をうたわせたり、ダンスを踊らせたりすることで、よりエンターテインメント性を持たせたかったというところがあります」
――本当にキャラクターの個性が目立ちますね。やはり相当アドリブなどが多いのでしょうか? そしてマニアックなファンこそが楽しめるポイントなどがあれば教えてください。
「同じ台本でも、ライブショーなので言い回しやアドリブなどが違う点がポイントです」
――同じ台本でも、という点が、落語や歌舞伎にも通じるようで面白いですね。何ステージもはしごで見るおっかけの気持ちがわかる気がしました。
今後のショーの進化
――今後も進化を遂げていくであろうショーの展望などがあれば聞かせてください。
「いろんなキャラクターが、ショーの主役になれる、例えば悪役が主役だったりするようなキャラクターショーや、普段のキャラクターショーとは別の、特別ショーなどは企画しております」
この話からも、やはりマブヤーの大きな魅力は、悪役にあるような気がします。
悪が必ずしも悪ではなく、時に善のように思えたりする。いろんなテーマにも通じる、普遍性や道徳性を示唆するような教育的ストーリー。
そんなストーリーをライブで演じきる、役者さんたちのエンターテインメント意識の高さ。マブヤーショーでは、ほかのキャラクターショーにはない、悪役たちの大活躍に注目です!
「琉神マブヤー」
テレビシリーズ6作目「琉神マブヤー4(ユーチ)」琉球放送、東京MXTVで放送中。
(C)MABUYER PROJECT
(OFFICE-SANGA hiroshi funada)
※この記事は2013年11月22日に公開されたものです