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富士山があの場所に誕生した理由とは?「3つのプレートが重なっている」

2013年の6月にユネスコの世界文化遺産に登録された富士山。言わずと知れた日本一高い山ですね。その美しい姿から、日本人の誇りとも言える富士山ですが、一方で今もその内部で活動を続けている山でもあります。

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今回は、そんな富士山の真の姿にスポットを当ててみたいと思います。

富士山と竹取物語

富士山を語るうえで、切っても切り離せないものの1つが「竹取物語」です。

竹取物語と言えば、「今は昔、竹取の翁(おきな)といふ者ありけり…」という文章で始まる日本最古の物語とされ、あの「かぐや姫」が登場するお話として有名ですね。

この中に、天人(月からの使い)によってもたらされた不老不死の薬が登場します。かぐや姫と結ばれなかった帝は、「かぐや姫のいないこの世では永遠の命など必要ない」と言って、不老不死の薬を焼いてしまうシーンがありますが、この薬を焼いた場所こそ、天(月の都)に最も近い「不死の山」とされています。

そして、不老不死の薬を燃やしに行く際、兵士を大勢連れて不死の山に登ったことから、この山を「富士山(士に富む山)」と名付けたと書かれています。

ちなみに、かぐや姫がいたという光る竹は、一説には今の富士市内にある竹林がモデルではないかとされており、その場所は「竹採塚(たけとりづか)」として現在まで言い伝えられています。

東海道新幹線の新富士駅には「竹取物語」という名前の付いた駅弁も販売されていますので、観光などでもし立ち寄る機会があれば、ぜひ召し上がってみてはいかがでしょうか。

富士山は活きている山

不死の山とも言われた富士山ですが、今でもまさに活動を続けている山です。

宝永4年(1707年)の宝永噴火以降、これまで300年以上も噴火していないため、富士山が活火山であるという認識はあまり持っていないかもしれませんが、これはれっきとした事実であり、この先いつ噴火してもおかしくないと言われています。

特に2000年以降、富士山の周辺地域では活発なマグマの働きによると考えられる小・中規模地震がしばしば起きています。かつての宝永噴火も、宝永地震(推定マグニチュード8.4~8.7)の49日後に起きたとされていますので、うわさされている東南海地震などの大規模地震が引き金となって噴火する可能性は十分に考えられます。

もし富士山が噴火すれば、その周辺地域への直接的な被害だけではなく、ライフラインや交通機関も影響を与える可能性がある有害な火山灰は首都圏にまで降り注ぐと想定されていますから、離れているからといって油断は禁物です。まさに不死山というわけですね。

富士山は生まれるべくして生まれた?

ところで、日本一高い山である富士山があの場所にあるのは決して偶然の産物ではなく、生まれるべくして生まれたと言えるでしょう。

なぜなら、富士山はフィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北アメリカプレートという3つのプレートがぶつかり合う境界付近に位置していて、日本有数の地殻変動の激しい場所となっているからです。

プレートとは、地球の表面を覆っている岩盤のことで、私たちが住む陸地や海はすべてこのプレートの上に乗っかっています。プレートと言うと地震をイメージする人も多いと思いますが、プレートから染み出した水は地球内部のマントルを溶かして、マグマはそこから作られています。

とりわけ、フィリピン海プレートは、伊豆半島の周辺でそれぞれ違う方向に引っ張られているため、その裂け目からマグマが噴出しやすい状態となっています。それが上昇して地表に吹き出す時に火山が作られたと考えると、富士山は激しい地殻変動の賜物(たまもの)ということになります。

まとめ

竹取物語にも登場するほど日本人にはなじみ深く、まさに心のふるさととも言える富士山。

普段はとても雄大な姿をした山ですが、宝永噴火以来300年以上の眠りからいつ目を覚ましても不思議ではない状態が続いていると言われていますので、常に備えだけはしておきたいですね。

(文/TERA)

TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2013年08月27日に公開されたものです

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