お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

筆跡鑑定人に迫る!文字にどこまで人柄が出るのか!?「モテる字は、小さくて丸い字」

冤罪事件のときには、しばしば筆跡鑑定が話題になります。そこまでいかなくても、契約書やクレジットカード決済で重要になるのが署名。とはいえ、文字って本当に真似できないのでしょうか? ウェブサイトにサインを公開していたりするのを見ると、「え? 大丈夫なの!?」と心配になります。

そこで、川窪万年筆店のオーナー、川窪克実さんに筆跡について教えてもらいました。日本随一の万年筆職人である川窪さんは、冤罪事件の筆跡鑑定にも参画されていた経験があります。

●科学的に調べば真実はわかる

――文字を真似することは本当にできないのですか?

「難しいと思います。確かに、文字の形は練習をすれば、真似できるようになるかもしれません。けれども、全体的な筆圧、文字を書くときの力を入れるポイントと抜くポイント、筆記具と紙が接する角度は、まず真似できないでしょう。

書くスピードや筆圧、そして角度によって、ボールペンやマジックが紙に付着する量は異なります。文字を書く人の呼吸と筋肉の使い方が出るのです。たとえ肉眼を誤魔化せたとしても、拡大してチェックすれば必ずわかることです」

――サインを真似したり、上からなぞったりするのは、バレると言うことなのですね?

「はい。トレーシングペーパーでなぞれば、本物そっくりに見えるサイン書けるでしょう。けれども、ぱっと見た感じが同じでも、調べればわかります。

また、よくクレジットカードの偽サインを心配される方がいますが、あれは、カードを使用するときにお店の人の目の前でサインをしなくてはならないですよね。その状況で、ほかの人のサインを真似するのは相当困難だと思います。また、万が一、偽造されてしまったとしても、科学的に調べればわかります」

●文字の癖は、性格が変わっても残る

――呼吸や筋肉の使い方ということは、性格もかなり関係していると思います。何か大きな事件があって、性格が別人になってしまったら、文字も大きく変わるということなのでしょうか?

「一般的な意味では充分あるでしょう。ただし、『筆跡鑑定』という意味では、同じ人が書いた文字だというのが、わかると思います。全体的な筆圧や角度が変わったとしても、個々の文字のクセは残るものなのです。

曲線の多いひらがな『の』『す』『む』などは特に特徴的です。自分も筆跡鑑定をするときは、漢字よりもひらがなをチェックすることが多いです」

――「右手で書く文字」と「左手で書く文字」は別人の文字に見えます。筆跡鑑定では、どうなのでしょうか?

「同じ人物の文字だとわかります。文字の形は違えども、文字の癖は同じですし、文字の書き出し方・終わり方、力の抜き具合などは同じになるのです」

●モテる字は、小さくて丸い字

――男字・女字というものはあるのですか?

「あります。個人差はあるのですが、男性は角ばった印象の文字、女性は丸い文字を書きます。これは日本語に限ったことではなく、英語などほかの言語の文字を見ていても、そういう印象を持ちます。また、当然、筆圧は男性のほうが強いです」

――男性にモテる字や、仕事で有利な文字はあるのですか?

「仕事上では、楷書が圧倒的に有利です。ですので、ビジネスという意味においては、文字は漢字の大きさやバランスなど、読みやすい文字をある程度訓練して身につけるべきだと考えます。

モテる字は、個人差があると思うのですが、やはり、小さくて丸い文字だと、男性は何かと幻想や妄想を抱くのではないかな、と思います」

すっかりメールの世の中になってしまいましたが、やはり文字は重要なのですね。楷書と?丸くて小さい字?を練習してみようと思います。川窪さん、どうもありがとうございました。

取材協力:川窪万年筆店 文京区技能名匠者 川窪克実さん
http://kawakubofp.com/

(OFFICE-SANGA 臼村さおり)

※この記事は2013年06月05日に公開されたものです

SHARE