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雑学 節約・貯金

謎多き職業「デイトレーダー」の一日

安倍政権の経済政策「アベノミクス」が大きな話題となる昨今、株式やFXといった投資の世界が活気を取り戻している。2012年度末の日経平均株価は1万2397円91銭で前年度末に比べ約2314円、約23%上昇し、年度末としては5年ぶりの高値を記録した。

書店には株式投資の本が目立って陳列されるようになり、コンビニ置きの週刊誌にも「バブル再来」の見出しが躍っている。

そんな現在だからこそ、投資で生計を立てている人物についてレポートすべく、ひとりのデイトレーダーを密着取材した。

今回、協力いただいたのは37歳独身男性の奥山さん(仮名)。都内の大学を卒業後、IT関連企業に就職した。30歳となった2006年、希望退職者募集に申し込み、会社を辞めた。数ヶ月間バックパッカーとして東南アジアを巡った後に帰国し、退職金を元手に株式投資を始め、現在に至る。

彼は凄腕デイトレーダーとして、メディアにも度々登場している。独学で投資を開始した当初は株取引だけだったが、「時期的に株で勝ちづらくなった」との理由で、2008年からはFXも始めた。現在は株とFXを合わせ毎月平均して200万円の利益を出しているという。

奥山さんの朝は早い。

毎日決まって6時に起床し、7時に近所の喫茶店まで赴きモーニングを食べる。この時が一日で最も集中できる勉強時間だという。タブレットで「日本経済新聞」の電子版を読み、ノートパソコンで株式とFXに関するブログを多数チェックし、市場の動向を探る。この喫茶店で二時間情報を収集して、一日のトレードに臨むのだ。

デイトレーダーとして生活を送るようになって8年。奥山さんはデイトレーダーという職業について「元手が無くなり市場から退場さえしなければ大丈夫」と語る。リーマン・ショックの際には一千万円近い損失を出したが、それも乗り越えて順調に資産を増やしている。月に平均して200万円の収入がありながらも「大事な元手を守るために」贅沢は一切しないという。

彼は、自らを自嘲(じちょう)的に「出不精のデイトレ廃人」だと語る。普段の行動範囲は、ほぼ自宅マンションと喫茶店を往復するのみで、あとは書店に立ち寄るのみ。

お酒は一切飲まないという奥山さんだが、食事も至ってシンプル。朝、喫茶店で食べるモーニング以外は、自宅マンションの一階に入るコンビニエンスストアで買う弁当である。

また服装にもまったくこだわりがなく、普段、着る服もユニクロ、ジーユー、しまむらといった量販店で買っているようだ。

一体、投資を生業として生きていく秘訣はどこにあるのだろうか?

奥山さんは言う。

「生活のリズムをきっちり守る事は欠かせません。株と違ってFXは24時間取引可能なのですが、見ないと決めた時間は見ない。そして、寝るときはしっかりと寝る」。

この日も、午前9時から午後3時まで株とFXを、その後6時までFXの売買を繰り返した。勤務時間だけ見れば、会社員と変わらない。

そして何より重要と語ったのが「勉強」と「情報」。トレーダーが集う情報交換の場には「デイトレ廃人」を自称する彼も、積極的に行くようにしているという。取材当日も夜の7時から情報収集のための会があるとの事、奥山さんに案内してもらい、赴いたのは大手町。

予想していた会議室のような場所とは違い、バーカウンターもあるおしゃれなカフェ。入るやいなや奥山さんも顔見知りらしき人達に声をかけられている。

この日、大手町で開催されていたのはFXプライム主催の「雇用統計ナイト」。なにやら難しい名前の会合だが、多くの個人投資家が集まり情報を交わす、はや9回目を数えるイベントであるとの事。

モニターにはチャートが映し出され、投資のプロによるレクチャーや「2013年前半の為替展望をテクニカル分析で語ろう」といったトークセッションが繰り広げられた。トレーダー同士の情報交換の場として機能しているようだ。中でも奥山さんは、多くの参加者に囲まれ、トレードについて熱心に意見を交わしていた。

謎多きデイトレーダーという職業の取材を終え、彼らの孤独だけでなく、飽くなき情報収集への意欲を見せつけられたのだった。

(取材・文/オフィス本折)

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