「生理痛は誰にでもあるし」「薬を飲めば少しは楽になるから……」と、毎月の生理の痛みをガマンしていませんか？でも、もし生理痛が病気のサインだったとしたら……？生理痛に悩むマイナビウーマン読者3人に、ドクターからアドバイスをいただきました。
聖順会 ジュノ・ヴェスタクリニック八田 院長。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本マタニティフィットネス協会認定インストラクター。思春期保健相談から一般不妊治療、妊婦健診、更年期相談、ホルモン治療など女性の一生にわたる広い領域の診療を行っている。
- まず、みなさんの月経痛や月経の状態について教えてください。
- 生理2日目が痛みのピークで。生理休暇を使って、毎月会社を休んでいます。それから、眠気や吐き気、カラダがむくむという症状もあります。
- 私は1日目がひどくて、出血量も多いんです。薬を飲むのは1日2錠までと決めているんですけれど、たまに、朝起きたら痛みで立ち上がれない時もあるほどです。
- 生理周期が遅れてしまった時は特に痛みが強くて、1日中寝込むくらい。まわりの友人は、「痛かったらすぐ薬を飲んだ方がいい」と言っていたけれど、飲み続けると効かなくなるという噂も聞いたことがあって……。
- 就職してから、ストレスや生活習慣の乱れなどで痛みがひどくなる女性も増えています。月経痛の原因は、"プロスタグランジン"という痛み物質がでてきて子宮を収縮するからなんですね。ですから、痛くなる前に薬を飲むのがポイントで、薬が効かなくなったり、くせになったりすることはないんですよ。
- そうなんですね！
- では、女性のライフスタイルの変化と月経の関係から理解していきましょう。
女性ホルモンの作用でふかふかのベッドのようになった子宮内膜が、妊娠せずにはがれ落ち、体外へと流れ出ることを月経と言います。子宮内膜がはがれる過程で、痛み物質であるプロスタグランジンが産生され、月経血を体外へ押し出すために子宮の筋肉の収縮を促します。このプロスタグランジンの量が多いと、過度に子宮筋が収縮し、痛みが強くなるのです。
晩婚化や少子化、高齢出産など、女性のライフスタイルの変化に伴い、生涯の月経回数も変化しています。戦前の女性は10代で結婚し、子どもを7、8人産む方も多く、生涯における月経回数は50回程度でした。
現代女性は初経の年齢が少し早まり、子どもを産む人数も少ないため、生涯の月経回数は450～500回と戦前の女性の約10倍に増えているんです。実にこの回数分、ふかふかのベッドがつくられ、はがれ落ちて出血を繰り返しています。このため、月経困難症や子宮内膜症などといった月経に関連するトラブル・疾患が増えてきているんですよ。
- みなさんは、以前と比べて痛みがひどくなってきたと思いますか？
- 社会人になって「休めない」と思うと、より痛みが強くなった気がします。
- 私も仕事で外出している時は、緊張からか痛みがひどくなるような……。
- 以前ものすごい痛みがあった時に、産婦人科の先生に相談したのですが、「大丈夫」と言われて。もしかしたら痛みの程度をきちんと伝えられてなかったのかも。
- だんだん痛みが増してきたり、比較的重い月経痛のある方は「月経困難症」であることが多く、痛みのある方の多くが 当てはまると言われています。ただの月経痛や排卵痛だと思っていたら月経困難症であったり、そのまま放っておいたら実は子宮内膜症だったということもあるんですよ。
- 子宮内膜症って聞いたことはあるけれど、ちゃんと理解できていないかも。
- 子宮内膜症の痛みの特徴は、月経期間だけではなく、月経前後の痛みや排卵痛、人には言いづらい排便痛、性交痛なども伴います。みなさん、月経期間以外の痛みもありますか？
- 私、起き上がれないほどの痛みがあるのは生理が始まる前日が多いです。
- 私は排卵期に子宮がきゅっと痛くなります。
- 実は、妊娠しにくい方の約半数が子宮内膜症にかかっているとも言われています。ただの痛みかと思われがちですが、月経痛は病気や不妊にも関係があるんですね。
子宮内膜症とは、子宮の内側にある内膜と似た組織が、子宮以外の場所にできてしまう病気です。お腹の壁である腹膜や子宮と直腸の間にあるくぼみ（ダグラス窩）、卵巣などに発生しやすく、この子宮内膜に似た組織も月経の周期に合わせて増えたり、はがれ落ちたりします。
しかし、腟から排出される子宮内膜とは異なり、子宮内膜に似た組織には出口がなく体内にとどまって、炎症を起こしたり、血が固まってまわりの組織と癒着したりすることが多いのです。中でも卵巣にできたものは「卵巣チョコレートのう胞」と呼ばれています。
月経が繰り返されるたびに、痛みがだんだんと強くなるのが子宮内膜症の特徴の一つでもあります。そのため、以前より痛みがひどくなっている場合は、子宮内膜症の可能性も考えましょう。
また、卵子についてお話しすると、女性の卵子はお母さんのお腹にいた時から増えません。産まれた時におよそ200万個だった卵子は、思春期に20～30万個になり、20代だと10万個程度、35歳を過ぎると6～7万個に減少します。その中の質の良い卵子から排卵されていくのですが、子宮内膜症になると卵子の質や状態が悪くなってしまうのです。
- そういえばみなさん、婦人科のかかりつけ医はいますか？
- 総合病院の産婦人科に通っています。
- 加藤さんは一度、月経痛で医師に相談したことがあるとのことでしたが、他のお二人は？
- 平日に通うのが難しいので、不正出血などがあって不安な時は日曜診療の産婦人科に行くようにしています。でも、痛みで相談したことはないです。
- 何かあれば、地元で評判のよいところへ行こうと決めています。生理の痛みやつらさだけで婦人科に行くのはためらいがあります。痛みがあるのは普通だと思っていましたし、鎮痛薬を飲むと痛みを一時的にはしのげるので…。
- みなさんかかりつけ医がいるようで、優秀ですね。とはいえ、月経痛で相談に来る方はまだ少ないんです。日本人は痛みに強いのでガマンしてしまう人も多いのですが、仕事に支障が出る、薬を飲むくらいのガマンできない痛みがある時は婦人科に相談してみましょう。
- 痛みで相談してもいいんですね！
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もちろんです！それからみなさんは、"妊活"という 単語を聞いたことはありますか？不妊には、排卵がうまくいかない場合、卵管の通りが悪い場合、子宮の状態が悪い場合、男性側に原因がある場合などさまざまな因子が絡み合っているのですが、原因不明の不妊の場合、子宮内膜症が存在しているケースも多いんです。禁煙、バランスの良い食事、定期的な有酸素運動といった妊活も大切ですが、若いうちから月経痛に対処することも妊活の第一歩とも言えるんですよ。
子宮内膜症の診断は難しく、厳密にはお腹に小さな穴をあけ腹腔鏡で診断したりするのですが、臨床的子宮内膜症といって問診や内診、超音波検査などから総合して診断するのが一般的です。
口コミやインターネットなどから情報を得ながらも、ご自身の不安や悩みをきちんと伝えられる、相性の良いドクターが見つかるまでは、病院をわたり歩いても良いと思います。また、漢方薬やアロマテラピー、低用量ピルやホルモン療法など、月経の痛みやつらさを楽にできるさまざまな方法があるので、ご自身に合ったものを活用してもらいたいですね。
婦人科は「自分のからだの状態をチェックするところ」でしょうか。月経痛や不正出血などの気になる症状があるひとはもちろん、何もなくても、将来に備えて、定期的に婦人科を受診しカラダの状態を確認しましょう。
- 先生のお話を聞くまでは、痛みが妊娠にそんなに影響があるとは思っていませんでした。
- いつかは出産したいと思っているのであれば、生理痛は放っておいたらダメなんですね。
- 子宮内膜症などのメカニズムをわかりやすく教えてくださったので、疑問が晴れていきました、ありがとうございました！
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女性のつらい月経痛による社会的な経済損失は、仕事を休んだりする労働損失額、医療費・薬剤費などを合わせると年間およそ1兆円とも言われています。
長い年月を共にする月経だからこそ、女性は月経に振り回されるよりも、痛みを我慢しないで、できるだけ月経をコントロールして上手に付き合っていきたいですよね。
毎月の生理痛、一人で悩んでいませんか？持田製薬の子宮内膜症の情報サイトでは、痛みの症状のセルフチェックや子宮内膜症に関するＱ＆Ａ、病院・医院の検索サービスなど、女性の悩みや不安の解消につながるヒントがたくさん。また、月経期間や月経量、月経痛をはじめ、排便痛や性交痛などの症状を記録できる「痛みノート」を使うと、医療機関での問診に正確に答えやすくなるので、ぜひチェックしてみて！
提供：持田製薬株式会社
