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健康的な生活を望んで転職。でも年収が下がって苦しい……再度転職する? このままがんばる?

#令和のマネーハック

トイアンナ

働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、トイアンナさん。

今回のお悩み「健康的な生活を望んで転職。でも、年収が下がって苦しい」

新卒から務めていた会社から転職しました。理由は激務に疲れたから。「これからはワークライフバランスを重視したい! そのためには多少、収入が落ちても体を壊すよりはマシ」と意気込んで転職し、実際に今までの生活よりは時間にゆとりが持てるようになりました。でも、転職してから少し経ってみて、やっぱり給与が下がったのは苦しいかも……と思うように。転職先でもこれまでの激務スタイルがうまく抜けず、物足りなさを感じることがあります。短期離職になりますが、転職すべきでしょうか?(25歳/コンサル)

こんにちは、トイアンナです。新卒で激務な場所に入ってしまうと「次の会社ではワークライフバランスがほしい!」と、ホワイト業界への転職を考えますよね。私もまさにそのタイプで、2社目では定時帰りを基本とした会社へ入りました。

ただ、ワークライフバランスを重視すると、前職より年収が下がってしまい「暇だけどお金が無い」という、物悲しい境遇を味わいがち……なのですが。

そもそも、ワークライフバランスを重視した転職だと、年収は下がるのが当然なのか? という前提のお話からさせていただきます。

年収は能力ではなく業界で決まる

年収を決める最も重要な要素は「どこ業界に勤めるか」です。無能だろうが優秀だろうが、例えば介護施設に勤める方は、金融業界で働く方より賃金が少ないことが多い。これはもう、良い悪い以前に事実です。

ですから、「ワークライフバランスを求めるために、年収を下げてでも転職しよう」と思ったこと自体が、トラブルの始まりだったのだと思われます。なぜなら、「ワークライフバランスを重視しながら、年収を上げる転職をしよう」と思ったら、もっと年収が高い業界へ行けたはずだからです。

新卒から激務の人は、「激務=高給」だと誤解しがち

新卒で激務高給企業に入った方は「自分が高給なのは、激務だからだ」と思い込みがち。しかし、実際には「激務ゆえに高給」とは限らないのです

たとえば、外資系コンサルティング企業は、出世すると激務になりがちです。年収1,000万円超えを狙うなら、激務は覚悟しなければならないでしょう。

一方、ある投資銀行で働く年収1,000万円超えの方は、朝こそ7時出社と早いものの、18時には退社していました。これなら「たしかに労働時間は長いけれど、夜もやりたいことができる」といえます。

他にも、「大学職員として年収900万で定時退社、大学所有の保養所で夏休みはまったり気分な暮らし」とか、「BtoBの化学メーカーでいつも仲良しの取引先とだけ打ち合わせしてストレスフリーの年収700万」など、高年収でありながらワークライフバランスを維持する方法はいろいろあるわけです。

おそらく相談者さんはまた転職すると思いますので、そのときは年収が高い業界を中心に見ていただいて、そのうえでワークライフバランスを基準に、応募する会社を絞っていただければと思います。

激務でも高収入な会社に向いているのは「仕事が好きでたまらない人」

そもそも、激務かつ高収入なお仕事に向いているのは、仕事が好きでたまらない人です。

<当てはまるなら激務高収入な仕事に向いているかも! あなたのお仕事好き度診断>

・デート中でも、仕事のメールが入ったら社用スマホで返信したくなる
・仕事がうまく進んだときに、「やったー!」と快感を抱く
・恋人から「仕事と自分、どっちが大事?」と言われたら、その恋人を振ると思う
・健康や美容に気を使う理由が「仕事で有利になるため」や「長く働くため」
・仕事が詰まっているときは最悪シャワーに入れなくても仕方ない

逆にこのリストを見て「うわっ……」と思ってしまった方は、激務高収入なお仕事に向いていないのでやめておきましょう。人間、向いていないことをしても不幸になるだけです。ワークライフバランスを重視しつつ、年収アップを狙いましょう。

ホワイトでそこそこな収入の会社に向いているのは「やりがいを求めない」人

逆に、ホワイトでそこそこな収入を目指すべき方は、以下に当てはまる方です。

<該当したらそこそこ収入ホワイト業界へ行こう! あなたのワークライフバランス度判定>

・月の残業時間を自分で数えて「今月はこんなに働いてしまった」と思う
・求人で「やりがい」と書いてあると搾取されそうな気がする
・あらかじめ申請した休みが無くなるなんてありえない
・出世のために家庭を犠牲にする人を見ると引いてしまう
・仕事で不快なことを減らすのは大事だが、幸せを追い求める必要は無い

激務が好きな方は、このリストを見ると「物足りない……」と感じるはずです。もし、この診断を見てしっくりこないなと思ったら、働く時間は長いけれど、しっかり待遇の良い会社を探してみましょう。

激務からホワイト企業へは行けるが、逆はかなり難しい

そして、転職において激務企業からホワイト企業への転職は簡単ですが、逆はとても難しいのです。これは、「内定しづらい」のではなく「入社後に、メンタルが耐えられるかどうか」という観点のお話です。

もともと激務で鍛えられた人は、仮にまた激務企業へ戻っても「元通り」と感じるだけで耐えられます。しかし、ホワイト企業出身者は、激務へ行ったときに予想以上の負荷を感じ、折れてしまうケースが多いのです。

また、周りの激務文化である「デートより仕事を優先する」「子どもと妻・夫なんて生きていることがわかればそれでいい」といった仕事至上主義の生き様に引いてしまい、短期離職へ繋がりかねません。

そのため、もし一度でも激務の環境で鍛えられたいと思うなら、20代のうちに経験しておいて、30代でホワイト企業へ行くのか、それとも激務を続けるかを決めると良いでしょう。

20代で離職してもマイナスにはなりづらい

最後に、20代で離職してもいいのか、という問いに答えておきます。

20代での離職を気にする方もいますが、最近はキャリア採用(中途採用)も増え、転職者への偏見はほとんど無くなりました。もちろん、20代で8社以上……といった短期離職だらけの職歴になれば話は別ですが、3社くらいでは相手も驚かない文化になりつつあると思ってください。

もし読者さんの中で1回目の転職にもかかわらず「短期離職でもいいのだろうか」と悩む方がいたら、安心してください。むしろ就職2年以内なら、第二新卒で挑む方法もあります。選択肢は多数ありますから、できれば離職前にいろいろ模索してみましょう。

令和のマネーハック103

「高収入か、ワークライフバランスか」ではなく、「高収入でワークライフバランスも重視」は実現可能。最近はキャリア採用も増えているので、20代の短期離職でも臆せずに選択肢を模索してみよう。

(文:トイアンナ、イラスト:itabamoe)

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