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毎年もらう「住民税決定通知書」。どこに何が書いてある?

#令和のマネーハック

高橋千里

丸山晴美

働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、丸山晴美さん。

今回のお悩み「毎年もらう住民税決定通知書。見方がよく分からない!」

毎年5月~6月に住民税決定通知書をもらいますが、正直なところ、見方がよく分かりません。どこをどう確認したら良いのですか?(20代/企画職)

住民税決定通知書に書かれていること

住民税(個人住民税)は昨年度の所得で決まる「所得割」と、定額で課税される「均等割」があります。所得には、会社からもらうお給料の他、不動産を貸している方は不動産所得、退職により勤務先から受ける退職手当といった退職所得などが含まれます。

住民税決定通知書のフォーマットは自治体によって異なりますが、書かれている内容は概ね共通しています。自分がどれだけ所得があり、どれだけ住民税を納めているのか、どんな控除を受けているのか、ということが分かります。

納付額

納付額は所得割と均等割を合算した金額です。前年の所得に応じて算出され、翌年の6月から1年間で納付する金額が書かれています。この6月頃に来た住民税決定通知書は、昨年の1月から12月までの所得(収入)が反映されたものです。

所得

前年のすべての所得金額の合計がまとめて記載されています。

所得控除

所得に対して認められている「所得控除」がまとめられており、基礎控除や配偶者控除、扶養控除などの人的控除と、社会保険料控除や医療費控除、寄附金控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除や地震保険などの物的控除の金額が書かれています。

摘要

ふるさと納税を含む寄附金税額控除の金額が記載されている場合もあります。

「控除」って何が引かれているの?

所得控除欄には、前年の所得から控除された各種所得控除とその控除金額が記載されています。

会社員の方であれば年末近くになると、年末調整の書類を複数枚記入したものを経理等へ提出しますよね。その書類から毎月の給与や賞与から差し引かれた、源泉徴収額と本来納めるべき所得税の差分を清算した「年末調整」が行われます。

その際、会社は年末調整の作業とあわせて、税務署に提出する「源泉徴収票」と従業員が1月1日時点で居住している市町村に提出する「給与支払報告書」を作成しています。この内容をもとに、各市町村は、住民税額の計算を行って、「特別徴収税額通知書」を発行します。

所得控除にもいろんな種類があります。年末調整で所得控除されるものは、基礎控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除、勤労学生控除、です。

主なものを簡単に解説!

基礎控除は、誰でも一律で48万円の控除が受けられるものです。生命保険料控除は、払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額が契約者(保険料負担者)のその年の所得から差し引かれます。また、地震保険料控除は、支払った地震保険部分の保険料に応じて、一定の金額の所得控除を受けられます。

配偶者控除は、配偶者の所得が48万円以下の場合、配偶者控除として納税者本人の所得が控除されます。配偶者特別控除は、配偶者の年間の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合に適用されます。

扶養控除は、扶養控除対象となる親族がいる場合、一定額の控除が受けられるもの。社会保険料控除は、自己または自己と生計を一にする配偶者や、その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができるというもの。

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済法に規定された共済契約にもとづく掛金として支出したものは、所得税・住民税の申告の際、所得からその支払った金額を差し引いて課税所得を計算できる制度です。iDeCoの掛金がこれにあたります。

また、医療費控除、寄附金控除(納付先の自治体が6カ所以上の場合)、雑損控除、住宅ローン控除(1年目)、もしくは年末調整の書類提出が間に合わなかった場合は、別途確定申告が必要となります。

税額控除

税額控除は、計算された税額から一定の金額を差し引くものです。住民税の税額控除には、調整控除・配当控除・住宅借入金等特別税額控除・寄附金税額控除・外国税額控除・配当割額又は株式等譲渡所得割額の控除があります。

非課税世帯以外に誰でもかかってくるのが均等割で、東京都の場合、個人都民税の税額は1,000円、個人区市町村民税の税額は3,000円です。そして、令和6年度より、森林環境税が一人年額1,000円課税され、合計5,000円です。

個人住民税の所得割の計算方法は、
所得割額=(前年中の所得金額-所得控除額)×税率-調整控除-税額控除
です。

詳しい控除額や税率は、住民税決定通知書の裏に書いてあり、計算をしていくと今年徴収される金額が出てきます。

会社員の方は会社が自動的に給与から差し引かれています。昨年に収入が無かった新卒などの方は、この1年間は課税が無く、来年から住民税が上乗せされ、手取りが少なくなることがあるため注意してくださいね。

会社員がチェックすべきポイント

会社員の方は、「所得控除」の欄をチェックしましょう。生命保険料控除の申請をした方や医療費控除の確定申告をした方は、きちんと控除が反映されているのか確認するのがポイントです。

また、ふるさと納税をした方は「税額控除額」の金額をチェック。その中に「寄附金税額控除」という項目があります。その反映される額が、ワンストップ特例制度で控除を受けた場合と、確定申告で控除を受けた場合で異なります。

ワンストップ特例制度を利用した場合は、ふるさと納税の寄附金額から2,000円を引いた額になります。(上限あり)

確定申告をした場合は、所得税からの控除額 = (ふるさと納税額-2,000円) ×「所得税の税率」×1.021(復興特別所得税)となります。

どちらの方法を利用しても、結果的にはほとんど変わらない控除額になります。

おかしいな? というところがあれば、一度経理や総務に聞いてみましょう。また、区役所や市役所にある税務課に連絡してみてください。

令和のマネーハック101

まずは「所得控除」をチェック! 医療費控除やふるさと納税など、自分が申請した控除が反映されているかを確認しましょう。

(監修:丸山晴美、取材・文:高橋千里、イラスト:itabamoe)

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