「泣きたい」と思うのはなぜ? 泣くメリットと泣きたい時の対処法3つ
ストレスを感じていたり悲しいことがあったりして「思いっきり泣きたい」と感じているのに、なぜか泣けない。そんな人はいませんか? この記事では、泣きたいと思う心理や泣いた方が良い理由、泣く方法を、心理カウンセラーの大塚統子さんに解説してもらいます。
泣きたい気持ちを我慢していませんか? 本当は思いっきり泣きたいのに、考えすぎて気持ちを抑えてしまったり、泣こうとしても涙が出なかったり……。
しかし、大人だって泣きたくなったら泣いても良いんです。気持ちのままに泣いて、心をスッキリさせましょう。
そこでこの記事では、人が泣きたくなる心理と泣いた方が良い理由を解説し、思いっきり泣く方法を紹介します。
「泣きたい」と思う時の心理とは
感動した時や感激した時だと、「泣きたい」と思わなくても涙が出る人はいるでしょう。
では、人があえて「泣きたい」と思う背景には、どんな心理があるのでしょうか。主なものを3つ紹介します。
(1)つらいと感じている
人は、つらい気持ちや苦しい気持ちの時に「泣きたい」と思うようです。
例えば、以下のような場合が考えられます。
・失恋した
・大切な人を失った
・誰にも助けてもらえないと思っている
・自分のことを分かってもらえないと感じる
・孤独を感じている
・解決し難い悩みがある
なお、つらい気持ちで泣きたくなる時は、客観的に見た環境や状況がつらいかどうかではなく、本人がつらいと感じているかどうかが問題となります。
(2)怒りを感じている
「悔しい」「腹が立つ」など、自分自身や他人に怒りを感じている時にも、泣きたくなることがあるようです。
失敗したり出来が悪かったりする自分が許せない、物事が思い通りにならない、あるいは人の言動に振り回されてイライラするといった場合にも、「もう泣きたいよ」と思うことがあるでしょう。
なお心理的には、怒りの奥に「自覚したくないつらい気持ち」が隠れている場合もあります。
例えば、上司に人格を否定されて怒りを感じた時、本心では大切に扱われないことを悲しく思っているかもしれません。
あるいは、恋人が連絡をくれなくて怒りを感じたなら、そこには「愛してもらえない」という寂しさが隠れている可能性もあります。
このように、怒りの奥にある本当の感情に気づくと、より泣きたい気持ちが強くなることも多いようです。
(3)ストレスフルな状態である
ストレスフルな状態でも泣きたくなることがあるでしょう。
例えば、以下のような場合が考えられます。
・やらなければならないことが多すぎる
・我慢ばかりしている
・人からの期待が重すぎる
・うまくいかなくて焦っている
・不安なことばかり考えてしまう
・頑張りたいけれど「もうこれ以上頑張れない」と思っている
こういったストレスを解消したい時に、はっきりした理由が自覚できなくても泣きたくなることがあります。
泣きたい時に泣いた方が良い理由
泣くことに抵抗があったり、悪いイメージを持っていたりする人も少なくないでしょう。
しかし、泣きたくなるのは心が弱いからではありません。人の自然な反応です。また、泣くことにはメリットもあります。
ここからは、泣いた方が良い理由を紹介します。
(1)感情を解放できるから
泣くことは、自分の本当の気持ちに気づいて、感情を解放する方法の1つです。
泣きたいのに泣くのを我慢するのは、「こんなふうに感じてはいけない」と自分の気持ちを封印するようなもの。それでは苦しくなってしまうでしょう。
時には泣いて、自分の気持ちを大切にしてあげてくださいね。
(2)スッキリするから
泣いたらスッキリしたり、冷静になれたりすることがあるでしょう。
感情が高ぶって泣く情動の涙には、以下のような役割があるという説も存在します。
・ストレスホルモンを体外に排出する
・鎮静作用のあるホルモンを増加させて苦痛を緩和する
こういった涙の作用も、泣いたらスッキリする理由の1つだと考えられます。
(3)リラックスできるから
自律神経には、緊張している時や恐怖を感じている時に優位となる交感神経と、リラックスしている時に優位となる副交感神経があります。
交感神経が優位になっている時に泣くことで、自律神経のバランスが副交感神経優位な状態に切り替わり、リラックスできるという説もあります。
こういった作用もあり、気持ちが張り詰めている時に泣くと、緊張を緩めることができるのだと考えられます。
思いっきり泣いてストレスを解消する方法3つ
思いっきり泣くには、まず「泣いても大丈夫」と思える安全な場所を確保しましょう。例えば、誰にも遠慮しないで泣ける場所や味方になってくれる人たちがいる場所など。
その上で、次の方法を試してみてください。
(1)愛された記憶を思い出す
思いっきり泣きたい時は、自分を大切にしてくれた人のことを思い出してみましょう。
あなたに優しい言葉を掛けてくれた人、応援してくれた人、困った時に助けてくれた人、黙ってそばにいてくれた人、褒めてくれた人は誰でしょうか。
その人が、どんな時・どんなふうにあなたと関わってくれたのか思い出してみてください。
誰かから愛された記憶を思い出すと、温かい気持ちを感じるとともに、涙があふれてくるかもしれません。
(2)泣ける作品に触れる
映画やマンガ、音楽などの泣ける作品に触れるのも、思いっきり泣く方法の1つです。
映画やマンガの登場人物と自分を重ねて共感したり、作品中のセリフに心を揺さぶられたり、悲劇に号泣したり、ハッピーエンドに感動したり、登場人物たちの絆に心を打たれたり……。
あるいは、過去の悲しい出来事を思い出すような曲、勇気を与えてくれる曲、愛を感じさせてくれる曲を聞くのも良いでしょう。
そうすることで、作品に励まされて胸が熱くなったり、今感じている悲しみが増幅されたりして、泣きやすくなるかもしれません。
(3)信頼できる人に話を聞いてもらう
思いっきり泣くには、否定することなく話を聞いてくれる人に自分の気持ちを話してみるという方法もあります。
話を聞いてもらう相手としては、「泣いて良いよ」と言ってくれる友達や全部を受けとめてくれる家族、カウンセラーなどが考えられます。
本当の気持ちを話していくうちに、安心して自然と泣けてくるでしょう。
泣きたいのに泣けない時の対処法
泣くことに対して「情けない」「人に迷惑を掛ける」といったネガティブなイメージがあると、泣きたくても泣けなくなってしまうことがあります。
こういった理由で泣けない時は、まず「自分のために泣いても良い」と思ってみましょう。そして、自分の本心を認め、自分に優しくすることから始めてみるのがおすすめです。
安心して心が緩むと、泣きやすくなるでしょう。

泣きたい時に泣く方法について、詳しくはこちらで解説しています。
素直に泣いて心のデトックスを
素直に泣いて良いのは、子どもだけではありません。
泣くのを我慢している大人たちこそ、自分の気持ちを感じて泣くことで、感情の解放が必要なのではないでしょうか。
泣くことには、感情を解放できる他、スッキリする、リラックスするといったメリットもあります。
「泣きたい時は泣いて良い」と自分を許し、思いっきり涙を流して能動的に心のデトックスをしてみてくださいね。
(大塚統子)
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