「親しき仲にも礼儀あり」の意味は? 使い方や類語を解説
「親しき仲にも礼儀あり」ということわざの正しい意味や語源を知っていますか? また、友達や家族、職場の人などに対して、どう使えば良いのでしょうか? ビジネスコミュニケーション指導に従事する大部美知子さんに、例文とともに使い方を解説してもらいます。
「親しき仲にも礼儀あり」ということわざがありますが、意味や正しい使い方を知っていますか?
ここでは、自信を持って「親しき仲にも礼儀あり」を使えるように、言葉の意味やどのように使うかついて確認してみましょう。
「親しき仲にも礼儀あり」とは
まずは「親しき中にも礼儀あり」の意味と、言葉の由来を確認しましょう。
「親しき仲にも礼儀あり」の意味
「親しき仲にも礼儀あり」を辞書で調べてみると、下記のような記載があります。
親しき仲にも礼儀あり(したしきなかにもれいぎあり)
親密過ぎて節度を失うのは不和のもとだから、親密な中にも礼儀を守るようにせよ。近しき仲に礼儀あり。「親しき仲に垣(かき)をせよ」も同義。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
つまり、「親しい関係になると相手に対する緊張感がなくなり、遠慮のない言動で仲が悪くなる可能性があるから、良い関係を保つために相手への配慮が大切である」という意味です。
この「親しい仲」には友人・恋人・家族だけでなく、職場の上司、先輩など目上の立場の人も含みます。
また、「親しき仲」は「親しき中」とも書きます。
「仲」は「人と人の間柄」を意味するのに対して、「中」は「ある範囲の内側、モノとモノの間」を意味し、「仲」より広範囲で使うことができます。
「親しき仲にも礼儀あり」の由来
言葉の正確な由来は不明ですが、古代中国の思想家である孔子と弟の言行を記録した『論語』に礼儀の大切さを説いた教えがあり、これを起源とする説があります。
「親しき仲にも礼儀あり」の英語表現
また、英語にも「A hedge between keeps friendship green(間に垣根があることが友情を新鮮に保つ)」という同じ意味を持つことわざがあります。
「親しき仲にも礼儀あり」は、時代や国を超えて伝わっている人生訓ともいえます。
「親しき仲にも礼儀あり」はどんな時に使えるのか?(例文つき)
「親しき仲にも礼儀あり」の使い方を、状況別に例文で見ていきましょう。
自分の意思を表現する時
「親しき仲にも礼儀あり」は、人間関係を良好に保つために、「良い関係でも度をすぎて礼儀を欠くようなことをしないようにする」という自分の意思を表現する時に使えます。
例文
例えば、仲の良い職場の先輩からあいさつの仕方の指摘を受けて、反省の気持ちを伝える場面では、以下のように用いることができます。
今後は、ご指摘いただいた「親しき仲にも礼儀あり」という言葉を忘れないよう、自分からきちんとあいさつをするように気をつけます。
例文
学生時代の恩師に、謙虚な気持ちを込めて結婚報告をする時は、下記のように使えます。
親しき仲にも礼儀ありという気持ちを大切に、良いパートナーシップを築いていきたいと思います。
相手に注意をする時
「親しき仲にも礼儀あり」は、親しいからといって礼儀を欠いている人への注意の言葉としても使用できます。
例文
無断で私物を使用した妹へ、不快であることを伝える時には下記のように表現できます。
いくら姉妹でも「親しき仲にも礼儀あり」というでしょう? 無断で私の物を使わないでくれる?
例文
内密にしていた個人情報を第三者に暴露した親友に、失望した気持ちを伝える時は下記のように用います。
○○さんを信頼していたのに残念。「親しき仲にも礼儀あり」とはこういうことを
言うんだと思う。
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