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「つまるところ」の意味と使い方は? 類語や例文も紹介

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「つまるところ」の意味は「つまり」と同じですが、どちらを使うかによって言われた方が受ける印象は変わってきます。今回はライティングコーチの前田めぐるさんに、「つまるところ」の意味や使い方、類語について、例文と併せて解説してもらいます

「つまるところ、○○だということですね」

こう言われると、何となく結論を急かされていると感じる人も多いかもしれません。

しかし、「つまるところ」は「要するに」「結局」「言い換えれば」という意味で、決して負の要素だけではありません。

どんな場面でどう使えば、目的に合った使い方になるでしょうか? 意味や例文とともに紹介します。

「つまるところ」の意味

まず「つまるところ」の意味を調べてみましょう。

つまるところ【詰まる所】

いろいろな考えをまとめる意を表す。
結局。つまり。

(『広辞苑 第七版』岩波書店)

辞書にあるように、「つまるところ」とは、「いろいろな考えをまとめると」「要するに」「結局」「つまり」という意味の副詞・名詞です。

漢字表記では「詰まる所」ですが、ひらがな表記の方が一般的ですね。

「つまるところ」は、それまでの会話や文章の内容を結論づけたり、要約したり、言い換えたりする時に「結局」「要約すると」「言い換えると」と同じように使える言葉です。

「つまるところ」はどんな時に使えるのか?(例文つき)

「つまるところ」とは、具体的にはどのような場合で使えるでしょうか? 例文とともに紹介します。

結論を先に知りたい時

結論を先に知りたい場合には、以下のように表現することができます。

例文

・お尋ねしたいのは、つまるところ、これ以上海外投資を続けて問題ないのかどうか、ということです。

それまでの内容を要約したい時

話を要約する時は、以下のように表現できます。

例文

・感染者数は増加しているが、前週比での増加率は減少しており、つまるところ、ピークアウトの兆しが見えているということだ。

それまでの内容を言い換えたい時

「つまるところ」は、それまでの内容を言い換えるときにも使えます。

例文

・インバウンド頼みの観光政策ではリスクに対応できません。つまるところ、今後は内需喚起がいっそう大切になってくるわけです。

あいまいではなく、はっきりした回答を求める時

例文

つまるところ、前例がないから無理ということなのでしょうか?

「つまるところ」を使う上での注意点

「つまるところ」を使う場合、どんなことに気をつければ良いでしょうか? 以下の3つがポイントです。

偉そうな印象にならないようにする

「あなたが言いたいことは、つまるところ、対価なしの時間外労働はできないということですね」

もし長々と説明している時このように結論を求められた場合、人によっては急かされているように感じ、「偉そうだ」と思うかもしれません。

しかし、ビジネスにおいて結論を求めるのは当然のことであり、責められることではありません。そうならないために気をつけたいポイントは以下の3つです。

・相手の言いたいことをさえぎっていないか

・十分に聞いた上で、結論づけたか

・時間がない場合には、最初に手短にそのことを説明したか

これらに注意した上で「つまるところ」を使うのであれば、相手の不満は生じにくくなります。

大げさな印象にならないようにする

「つまり」と「つまるところ」の2つを音読した時の印象はどうでしょうか?

「つまり」の方がさらりと言いやすいので、「つまるところ」と言われると、重々しく、プレッシャーを感じる人もいるでしょう。

相手との関係性や場面、聞き手の感受性にもよりますが、「つまり」は接続語として受け流されやすい傾向があります。

一方、「つまるところ」はもったいぶった大げさな印象を与える可能性があります。

以上のことから、「つまるところ」は日常で使う言葉としては、やや大げさに感じられるので頻雑に使うことはおすすめできません。

逆に、大事なことをしっかり聞きたい場合には適しています。会議やディベートなどで、タイミング良く効果的に使うと良いでしょう。

話の腰を折らないようにする

「つまるところ」は「つまり」「結局」「言い換えれば」という意味を持つ副詞だということは先述しました。

「つまるところ」を使うことで、国語的に失礼になることはありません。

場面や文脈に合ってさえいれば、使う相手や場面を選ばない言葉であり、目上の人相手やビジネスの場面でも使えます

もしも悩ましい状況があるとしたら、「話の長い上司に対して使う場合」などが考えられます。

気持ち良く自説を述べているような上司に「つまるところ、こういうことですね」などと結論を先に言ってしまうと、「そんなに話が退屈なのか」と思われ、話の腰を折ることになります。

また、なかなか自分の言いたいことをまとめられず困っている上司に対して、部下の方から、「つまるところ、こういうお考えですか?」と助け舟を出せると喜ばれるでしょう。

「つまるところ」を使うことの是非よりも、「使うことでその後どのような展開になるか」「より良い結論やまとめ方、言い換え方に導くことができるか」を考えることが大切です。

「つまるところ」の類語(例文つき)

「つまるところ」と似たような意味を持つ言葉を紹介します。

「つまり」

「最後に行き着くところ」という意味。「つまるところ」と同じ意味で、結論を述べる時に使います。

例文

つまり、あなたが言いたいのはこういうことでしょう?

「結局」

「ついに」「あげくのはて」の意。ニュアンスは「つまるところ」と同じです。

「結局のところ」という言い方もできます。

例文

結局、経済力のある男性を彼女は夫として選んだ。

「結論から言えば」

「結局」「つまるところ」と同じ意味で、結論を示したい時に使います。

例文

結論から言えば、この店は続けることに決定しました。

「すなわち」

前に述べたことを言い直したり、言い換えたりする時に使います。

例文

・求められるのは補償付きの休業要請、すなわち、最低限の救済措置ということだ。

「要するに」

「要約すると」という意味。それまでの内容を要約する時に使います。

例文

要するに、言葉は受け止める側の問題が大きいということです。

「言い換えれば」

同じ言葉を別の言葉で言う時に使います。

例文

・昇級が認められたということは、言い換えれば、あなたの努力が実ったということです。

「換言すると」

「言い換えれば」「つまるところ」と同様、同じ言葉を別の言葉で言う時に使います。

例文

・投手としても打者としても一流。換言すると、彼は稀に見る天才です。

「とどのつまり」

「最後のところ」という意味。

例文

とどのつまり、そのドラマのふたりは結婚してハッピーエンドだった。

「帰するところ」

「行き着く所。結局」という意味。

例文

帰するところ、あなたのおっしゃりたいことも私が申し上げていることも、目的は同じというわけですね。

「結句」

「けっく」と読みます。意味は「結局。あげくのはて」。「つまるところ」と同じ意味ですが古風な表現です。

例文

結句、その2人は離婚したそうです。

「詮ずる所」

読みは「せんずるところ」。「つまり」「つまるところ」という意味。

例文

・彼は出て行ったが、詮ずるところ、彼が一体何を望んでいたのか、私には分からなかった。

「畢竟」

読みは「ひっきょう」。「つまるところ」という意味。

例文

畢竟するに、この交渉は決裂ということだ。

展開を想定した言葉使いを

結論から言う人、順序立てて話す人。人にはそれぞれ話し方の癖があります。

特に、順序立てて話すタイプの人が、相手から「つまるところ、どういうことだね?」と聞かれると困ってしまうことは十分に考えられます。

しかし、ビジネスでは時にそうしたプレッシャーも必要なことがあるでしょう。

つまるところ、どんな展開を想定して使うかが大切だということ。

相手や周囲にメリットのある使い方ができる人は、言葉だけでなく、コミュニケーションの上級者だといえます。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

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