立秋はいつ? 立秋の意味や旬の食べ物
カレンダーなどで目にする「立秋」という言葉。その意味を正しく理解できていますか? 今回は立秋の意味、この時期に行われる行事や旬の食べ物などについて紹介します。
「秋が立つ」と書いて立秋(りっしゅう)と読みますが、そもそも立秋の詳しい意味を知っていますか?
今回は立秋の意味を解説するとともに、この時期の旬の食べ物や花、行事をあわせて紹介します。
立秋について知ることで、きっと季節の移り変わりが楽しく感じられるようになりますよ。本記事を参考に、ぜひ立秋についての知識を深めてみましょう。
立秋とは?
立秋とは二十四節気の1つ。毎年8月8日ごろ、および処暑までの時期を立秋といいます。
2021年は8月7日が立秋です。一般的に、この辺りから立冬の前日までを「秋」と定めています。
「朝夕は涼しくなり秋の気配が感じられる頃」という意味合いがありますが、「暦の上で秋ですが、まだまだ暑い日が続きます」などのあいさつも聞かれるように、実際は夏真っ盛り。
立秋後は、お盆や夏祭り、花火大会などの行事も多くなります。
手紙の上では、立秋を境にして、「暑中見舞い」から「残暑見舞い」になります。
「二十四節気」における立秋
先述した「二十四節気」とは、古代中国から伝わる季節の区分法です。1年を24等分して、季節の移り変わりを具体的に表しています。
私たちの生活になじみはないものの、農家では作業の目安とされているのが特徴です。
7月23日頃に「大暑」、8月8日頃に「立秋」、8月23日頃に「処暑」といったように、15日間隔で次の二十四節気に移ります。
小寒や大寒の他、立夏、立冬、夏至や冬至など、聞きなじみのあるこれらも二十四節気の1つです。
「七十二候」における立秋
二十四節気をさらに3分割したものもあります。24×3=72あるので、七十二候(しちじゅうにこう)と呼ばれます。
1つの候に「初候(しょこう)」「次候(じこう)」「末候(まっこう)」があり、その時期の動植物の様子を短い言葉で表しています。
涼風至
「すずかぜいたる」と読みます。立秋の初候で、期間は8月7日から8月11日ごろです。
文字が示す通り、太陽の暑さが和らぎ、涼しい秋の風が吹き始める頃といわれています。
夕方を過ぎると秋の虫たちの音色も聞こえてくるようになります。
寒蝉鳴
「ひぐらしなく」と読みます。立秋の次候で、8月12日から8月16日のお盆の時期です。
日の出前や日没後によく見られるヒグラシの活動が盛んになります。
夏の終わりを惜しむようなヒグラシの鳴き声が由来とされています。
蒙霧升降
「ふかききりまとう」と読みます。立秋の末候で、期間は8月17日から8月22日ごろです。
朝や夕方のひんやりとした空気が過ごしやすく感じられるようになります。雨が降った翌朝の森や水辺に、真っ白い霧が立ち込める様子が浮かんでくるような響きです。
夏と秋の境目を感じられる幻想的な風景を想像してみましょう。
立秋の時期が旬の食べ物は?
一般的に知られているように、食べ物にはそれぞれ「旬」と呼ばれる食べ頃があります。
もちろん、通年食べられる食材もありますが、一番おいしい「旬」に食べるのがおすすめです。
ここでは、立秋の時期に旬を迎える食べ物の特徴を解説します。
ところてん
夏の気配が残る時期にさっぱりと食べられるところてん。三杯酢をかけて食べるのが一般的ですが、関西では黒蜜をかけるのが主流で、スイーツ感覚で親しまれています。
ところてんは平安時代に中国から伝わったもの。最初は貴族など一部の人しか食べられない高級食材でした。
江戸時代頃から庶民にも浸透するようになり、今では食物繊維を含み「腸を整える」美容食品としても有名です。
なす
立秋の時期に旬を迎える代表格の食材です。
「賀茂茄子」「長茄子」「水茄子」など地域の特産品も豊富。水分がたっぷり含まれており、体の熱を冷ます作用が期待できることから、暑気払いにも用いられます。
「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざが有名ですが、「憎たらしい嫁に旬の秋茄子を食べさせるのはもったいない」という意地悪な意味と、「茄子は体に冷やすから良くない」といった嫁を思いやる意味の2通りがあります。
にがうり
家庭菜園でもおなじみのにがうりは、「ゴーヤー」とも呼ばれる沖縄の特産品です。独特の苦みから苦手な人も多いですが、立秋の時期にはさっぱりと食べられます。
例えば、野菜たっぷりのゴーヤーチャンプルーにするのが特におすすめです。夏バテで失われた体の栄養を補えます。
食欲がなければ、薄くスライスして水にさらしたにがうりをサラダにあえるのも良いでしょう。さっぱりしているので、暑さで食欲がなくても箸が進むようになります。
とうもろこし
6月から9月頃に収穫されるとうもろこしは、立秋の時期に旬を迎えます。実の1粒1粒が甘く、子供から大人まで人気の食材です。
立秋の時期はそのまま塩ゆででさっぱり食べるか、夏祭りの屋台にあるような焼きとうもろこしにするのも良いでしょう。
ただし、とうもろこしは鮮度が落ちるのが早いため、長期の保存には不向きな点だけ注意が必要です。
スイカ
7月から8月が最もおいしく食べられる時期のスイカ。家族が集まるお盆の団らんにもよく用いられます。
日本では明治末期から本格的な栽培が始まったといわれているので、その歴史はまだまだ浅い方といえるでしょう。
冷やすと甘みが増しておいしくなります。また、水分が多いので、体の水分が不足しがちな立秋の時期に最適です。
桃
7月から9月にかけて旬を迎える桃。ジューシーな果肉で、人気が高い食材です。
桃の花は3月の「啓蟄」の時期に咲き、8月の「立秋」に食べ頃を迎えます。お盆のお供え物としても使われています。
枝豆
枝豆は7月から8月が旬で、家庭菜園でも作りやすい野菜の1つです。成熟前の大豆を収穫したもので栄養が豊富なため、夏バテの体の栄養補給にも最適といわれています。
立秋の時期は塩ゆでが主流ですが、東北地方の郷土料理「ずんだ」にして食べるのもおすすめ。ペースト状にした枝豆と砂糖を合わせたもので、餅と絡めると鮮やかな見た目を楽しめます。
食欲がない場合は、アイスやかき氷のトッピングにして食べるのも良いかもしれません。
立秋の時期が見頃の花は?
食べ物だけではなく、立秋の時期に見頃を迎える花も多数あります。
味覚だけではなく視覚や嗅覚でも立秋の気配を楽しみましょう。
ひまわり
夏の風物詩といえばひまわりは、7月上旬から9月上旬が見頃のピークを迎えます。太陽の方を向いてすくすくと育ち、大きいものだと2メートルを超えることも。
世界中で「太陽の花」として親しまれていて、日本でも市町村の花として指定しているところが多いのも特徴です。
さるすべり
7月から9月に見頃を迎える花で、漢字では「百日紅」と書きます。開花している期間が長いことから「百日」の字が入っているのが特徴です。
枝や幹が滑らかで、木登りの得意なサルでも滑ってしまうので、この名前がつけられたといわれています。
あさがお
夏休みの宿題で観察日記によく用いられることからも想像できるように、立秋の時期に見頃を迎えます。
日本では「秋の訪れを迎える花」としても親しまれており、あさがおは秋の季語です。
品種改良を重ねた結果、今では10月に見頃を迎えるあさがおもあります。
ききょう
6月から8月が旬の花で「秋の七草」の1つにされています。漢字では「桔梗」と書きます。
「春の七草」は1年の始めに無病息災を願って食べるものに対し、「秋の七草」は見た目を楽しむものとされています。
秋の七草はききょう以外に「萩(はぎ)」「葛(くず)」「尾花(すすき)」「撫子(なでしこ)」「藤袴(ふじばかま)」「女郎花(おみなえし)」があります。
立秋の時期に行われる行事は?
立秋はお盆と重なっていることから、家族皆で参加できる行事が各地で開催されています。
ここでは立秋の時期に行われる全国的に有名な行事を2つ解説します。
五山送り火(京都)
8月16日に京都で行われる「精霊送り」の伝統行事です。
東山浄土寺には大の字が、松ヶ崎西山・東山には妙法、金閣寺大北山には左大文字、北佐賀曼荼羅山は鳥居形、西賀茂船山は船形と、京都市街を囲む5つの山に送り火がたかれます。
エイサー(沖縄)
沖縄でお盆の時期に行われるエイサー。青年の男女がエイサーを踊りながら地域を練り歩き、無病息災を願ってきた行事です。
今では地域ごとにそれぞれの特長を活かしたエイサーがお披露目されています。
エイサーの起源は文献が少なくはっきりと解明されていません。400年前から500年前の間に伝わったという説がいくつか存在しています。
立秋の時期の空模様は?
立秋の時期になると、いわし雲やひつじ雲、うろこ雲など細かい雲が見えるようになります。
「いわし雲」はいわしのような細長い雲。「ひつじ雲」はひつじの群れのようなモコモコした雲。「うろこ雲」は魚のうろこのような小さな円形の雲の集まりです。
これらの雲は通年見られるものの、空が澄んで高くなる立秋の頃によく見えるので秋の季語にも用いられています。
その一方で、低気圧が迫っている時に見られるので雨が近いサインともいわれています。秋の空を見上げた時に、これらの雲が見られたら注意しましょう。
また、いわし雲が早い時期に見られると「いわしが豊漁になる」という言い伝えも漁師の間では有名です。
立秋は秋の気配を感じてみよう
今回は立秋がいつなのか、立秋の意味や旬の食べ物、花、行事などを幅広く紹介しました。
立秋の意味が分かると、秋の訪れが一層楽しみになるはず。立秋以外の二十四節気や七十二候を調べてみるのも良いかもしれません。
立秋の時期が近付いたら、外へ出て秋の気配を感じてみましょう。
(律)
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