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共依存の親子とは? 特徴や原因、精神的に自立するための方法

秋カヲリ

共依存とは、恋人や親など特定の人に合わせて自分の言動を変えてしまい、互いに依存し合う関係のこと。今回は心理カウンセラーの秋カヲリさんに、「共依存の親子」について、特徴や原因、精神的に自立して親子の共依存関係を断ち切る方法を教えてもらいました。

共依存の親子は意外と多く、親に縛られて自由に生きられない息苦しさを感じている人は少なくありません。

「親の圧力が強い」「命令される」といった状況も、共依存の一歩手前です。

共依存かもしれない、共依存から抜け出したいと考えている方に向けて、共依存の親子の特徴や原因、抜け出す方法をお伝えします。

「共依存の親子」とはどういう状態?

「共依存」とは、恋人や親など特定の人の言動に合わせて自分の行動を変えてしまうこと。

相手に依存し「自分の意志よりも相手の意志を優先しなければ」という強迫観念にとらわれている状態です。

共依存の厄介なところは、お互いに依存するところ。

子どもだけが親に依存するのではなく、親もまた子どもに依存し、自分から逃れられないようにコントロールしています。

共依存している親子の特徴

共依存状態になっている親子には、どんな特徴があるのでしょうか。代表的な3つの特徴を紹介します。

(1)親が過保護

子どもに対して異常に過保護な親は、愛情が深いというより「自分がいないと子どもは何もできない」と思い込んでいます。

子どもを一人の人間として信頼したり尊重したりせず、支配しようとするのです。

子どもは「親がいなければ何もできない自分」を無意識に演じるようになり、いつまでも自立しません。自分の意志を持たず、親の言うまま受動的に行動する大人になってしまいます。

(2)「家族愛」で縛られる

「家族愛」を盾に子どもをコントロールする親もいて、子どもの意見が自分の意向と合わなければ「家族の言うことは聞きなさい」「家族なんだから○○してちょうだい」「家族なのに見捨てるの?」とさげすんだり悲しんだりして脅すのです。

こうした脅しに利用される「家族愛」は本当の愛情ではなく、相手を従わせるためのツールでしかありません。

(3)愛されるために従う

子どもが家族愛欲しさに共依存関係に陥ることもあります。

「言う通りにしないと愛してくれない」「従えば優しくしてくれる」というように、服従が家族愛の条件になっているケースです。

子どもにとって保護者である親は絶対的な存在であり、見捨てられる恐怖は計り知れません。たとえ理不尽なことをされても、見捨てられないために必死で努力してすがってしまいます。

幼少期からそれを繰り返していると当たり前になり、大人になっても共依存関係を続けがちです。

親子で共依存してしまう原因

それでは、なぜ共依存してしまうのでしょうか。親子で共依存する3つの原因を解説します。

(1)親が依存するように刷り込んでいるから

健全な親子は子どもが親から自立していくものですが、共依存状態の親子は子どもがいつまでも親の支配下にいます。

多くの場合、親が子どもに依存されていないと安心できず「あんたは一人じゃ何もできないんだから」「お前は黙って親の言うことを聞いていればいい」といった否定的な言葉を投げ掛け、自分に依存するように仕向けます。

子どもも日常的に否定的な言葉をぶつけられると、自尊心が傷つき自己肯定感が下がっていきます。

その結果、自分一人で決断する自信がなくなったり、怒られないように従う癖が付いたりして、共依存から抜け出せなくなるのです。

(2)「親は間違ってない」と思って安心したいから

共依存状態の親子の多くは、親が虐待やネグレクトなどネガティブなコミュニケーションをしていて、子どもは「自分が悪い」と考えて親に従います。

なぜ子どもはそこから逃げ出さずに耐えているのかというと、子どもにとって親は自分を守る存在で、その親に問題があると認めるのはとても怖いことだからです。

だから「親は立派な人間だ」と理想化して「親がこんなことをするのは、自分が悪いからなんだ」「自分が言う通りにいい子にしていれば、こんなことはしないはず。いつかやめてくれるはず」と信じることで、現実から目を背けます。

そうやって目の前の苦しみに耐える方が「親に問題がある」という現実を受け入れるより楽なのです。

(3)愛ではなく利益を求めているから

家族であっても、愛ではなく利益を求める人がいます。こうした人は家族に金銭を要求するなど、「家族愛」をキーワードに家族を利用しようとします。そして「自分の方が上に立っている」という優越感に浸るのです。

たちが悪いのは感情を利用して依存関係を作るところです。「家族なのに助けてくれないのか」「自分を見捨てるのか」と脅し、相手に罪悪感を植え付けようとします。

こうした親にどれだけ尽くしても見返りはなく、一方的に奪われるだけでしょう。

親子での共依存関係によって生じるデメリット

親子が共依存関係になると、デメリットや危険性が生じます。気を付けてほしいデメリットを3つ解説します。

(1)自分が嫌いになる

親子が共依存関係に陥ると、子どもは親に否定される度に「自分が悪いんだ」と自己否定する習慣が付いてしまい、どんどんネガティブになって自分が嫌いになります。

自分には価値がない、自分には決める権利がない、自分が悪いといった思い込みが生きる気力を奪い、人生に絶望してしまう人も少なくありません。

(2)パートナーとも共依存関係になる

共依存関係にある親子は、正しい愛し方・愛され方が分かりません。子どもは親に愛されている自信がないため、親の意見に従うことで愛されようとします。

そうやって育つと、誰に対しても「従わないと嫌われる」と考えるようになり、健全な人間関係をなかなか築けません。

結果的にパートナーとも共依存関係になり、ずっと苦しい思いをする人もいます。

(3)パートナーを攻撃する

親子関係は良くも悪くもその人のスタンダードになるので、共依存状態でいることが当たり前になります。

これまで親に服従していた人が、今度はパートナーを服従させるようになることもあります。

パートナーにかつての自分が言われたような攻撃的な言葉をぶつけて支配することで、親への復讐を果たそうとするのです。

親子の共依存関係から抜け出す方法

お互いのために、一刻も早く共依存関係から抜け出しましょう。精神的に自立し、親子の共依存関係を断ち切る方法を紹介します。

(1)「完璧な親などいない」と考える

「親は正しい」と理想化すると思考がゆがんでしまいます。

親だって一人の人間で、完璧な親などどこにもいません。当然、苦しい思いをまったくせずに育ってきた子どももいません。

無理に今の親子関係を肯定しなくていいのです。自分と親を現実的な目で捉え、受け入れましょう。

「私の親はひどい」と言うなど、自分の感情を開放してください。自分の気持ちを素直に認識するだけでも、心が少し楽になります。

(2)親と完全に分かり合おうとしない

たとえ親子であっても違う人間同士ですから、お互い完全には理解できません。

たとえ親に「理解しろ」と強要されても、それは無理な話です。親だってあなたのことを100%分かっているわけではないでしょう。

日々のコミュニケーションで少しずつ理解していけばいいので、全部理解しようとしなくて大丈夫です。一緒にいるのがつらければ、理解を放棄して離れた方がいいでしょう。

(3)親を救おうとしない

親がなんらかの課題を抱えている場合、子どもが「親を支えなくちゃ」と強い義務感を持ち、それゆえに自分を苦しめてしまう……ということがよくあります。

特にひとり親に育てられた子どもは「一人で育ててくれた親への恩返しをしなきゃダメだ」と強迫観念を持ってしまいがちです。

こういった強迫観念にとらわれると、どんなに頑張っても「まだまだ足りない」と感じてしまうので、親を救おうとするのはやめましょう。親もあなたから自立すべきなのです。

できる範囲でサポートするのに留め、親の人生まで背負い込まないようにしてください。

あなたはありのままで愛される

親子が共依存関係にあると、子どもは自己肯定感が下がり「自分には価値がない」とありのままの自分を愛せなくなりがちですが、あなたはありのままで愛される存在であり、堂々としていていいのです。

今までの関係を壊すのは勇気が要りますが、あなたには苦しい関係を抜け出して幸せになる権利があります。

勇気を出して、自分だけで歩いてみましょう。

(秋カヲリ)

※画像はイメージです

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