ボイスニュータイプ編集長に聞いた!声優業界のトレンド「20代の声優が続々登場」「リアルイベント激増」
声優さんは今やすっかり人気職業になっているようで、声優志望の人がずいぶん増えているとか。最近の声優業界について、株式会社角川書店より刊行されている『ボイスニュータイプ』の編集長 水野寛さんにお話を伺いました。水野さんは、アニメ雑誌『ニュータイプ』(同社刊)の編集長も兼任されています。
【あの声優さんとこの声優さんは声が似ている!?「かないみかさん/こおろぎさとみさん」】
声優さん志望者は増加! しかし狭き門!
――声優さん志望の若い人が増えているという話は本当でしょうか?
水野編集長 はい。声優になりたいという人は増加傾向にあると思います。実際に声優になって活躍できるか、という点では非常に狭き門だとは思うのですが……。希望する人は多いですね。
――実際に声優さんになるのはやはり難しいのでしょうか。
水野編集長 例えば、ここ10年ほど、その時々で波はあるにせよ、製作されるアニメ作品の本数はほとんど変わっていません。倍になったとかの話は聞きませんし、ということは、声優さんが声を当てる役の数が増加しているわけではないのです。そこに声優さんが増えても、役に巡り合うのが難しくなりますよね。
――役に巡り合うのは難しいのですか?
水野編集長 厳しい話かもしれませんが、新人さんの場合は特にそうでしょう。やはり実力がないと難しいのではないでしょうか。その一方で、一人で何役もこなしておられる実力ある声優さんがいらっしゃるわけです。
実力ある20歳代の声優さんが登場!
――最近の声優業界をご覧になって、何かトレンドがあれば教えてください。
水野編集長 そうですね。ここ数年、男性、女性とも、20歳代の若手声優さんで実力のある人が続々登場しているように思います。面白いのは、同じ作品の中で、その人たちを脇で支える30歳代の声優さんが「兄貴分」や「ライバル」「ラスボス」役として登場したりすることです。
若手とベテランの対比が生かされた作品といいますか、そういった作品も増えているように思います。
――若手の台頭は、声優業界にとってはうれしいことですね。
水野編集長 はい。人気、実力ともにある声優さんが増えてきています。そういう人を見て、声優になりたいという人がまた増えるのだと思います。
――現在、最も人気のある声優さんというと、どなたになるのでしょうか。
水野編集長 難しいご質問ですが……。そうですね、男性では、神谷浩史さん、宮野真守さん、女性では、沢城みゆきさん、豊崎愛生さんといった方々はファンからの支持が厚いと思います。
リアルイベントは激増している!
――他に何か業界的なトピックはあるでしょうか?
水野編集長 声優さんのリアルイベントが増えているのはトピックでしょうね。コンサート、ライブ、作品発表会など、観客を動員して行うイベントが本当に増えています。声優さんも大忙しです。
例えば、人気のある声優さんですと、日本武道館、さいたまスーパーアリーナクラスの会場などでコンサートを行います。観客動員数も巨大で、運営する人も大変です。
――ボイスニュータイプさんも取材が大変ですね。
水野編集長 実は、私たちボイスニュータイプも声優さんと一緒に「読者限定ライブなど」のイベントを行ったりしています(笑)。雑誌なのですが、プロモーター的な仕事もしているのです。
重鎮の声優さんの訃報について
――先日、内海賢二さんが亡くなりました。業界の重鎮の訃報が続いているように思いますが……。
水野編集長 悲しいことですね。昔、声優さんに伺ったことがあるのですが、ベテランの方々は、現場で若い声優さんに「演技」や「所作」などを身を持って教えてくれるそうです。「若い声優さんは、ベテランの方々の現場での振る舞いを見て育っていく」と。内海さんのような方が亡くなるのは声優業界にとって大きな痛手です。
ボイスニュータイプは女性向け雑誌
――編集長のボイスニュータイプについて教えてください。
水野編集長 私たちは、現在女性の声優さんファンに向けて雑誌を作っています。ですから、登場するのは男性声優さんがメインです。そのため、スタッフは私以外全て女性なんです。
――そうなんですか! 誌面の特徴を教えてください。
水野編集長 声優さんの個性を引き出すグラビアに力を入れています。写真集として見てもらってもいいようなきれいな誌面作りを心掛けています。ぜひ一度手に取ってみてください。
(高橋モータース@dcp)