社会人の飲み会マナーとは? 席・乾杯・お酌の基本を解説
社会人の飲み会マナーとは? 席次や乾杯、お酌のルールをマナー講師の松本繁美さんが解説。女性が知っておきたい「海外のレディ・ファースト」など、お酒の席での豆知識も紹介しています。
社会人のとっての飲み会は、上司や同僚とコミュニケーションを深めることができる場面。会社という場所を通して行われるからこそ、会話を楽しみながらも、節度やマナーはしっかり守りたいものですよね。飲み会での振る舞いひとつであなたの評価が変わるかもしれません。
そこで今回は、マナー講師の松本繁美さんに「社会人が知っておきたい飲み会マナー」についてくわしく解説してもらいました。
飲み会の基本! 3つのマナーを確認
まずは、飲み会での基本的な3つのマナーを確認しておきましょう。
最近は、上司や先輩から飲み会のマナーをきちんと教えてもらえない場合も多いそうです。基本のマナーだけでも覚えておくと安心ですよね。
ポイント1:飲み会の席次、正しい順番は?
飲み会の席次には「上座」と「下座」というルールがあります。上座は上司など上の立場の人が座る場所であり、下座は新人や年少者など下の立場の人が座る場所のことです。
和室も洋室も、出入口に一番近い席が下座とされています。
なぜなら、人の出入りが激しく落ち着かない席だからです。また、和室では、床の間の床柱を背にした席が一番の上座とされています。
ポイント2:上司との乾杯、グラスを上げる高さは?
目上の人と乾杯するときは、相手のグラスよりやや低めにグラスを上げて乾杯します。
同じ高さにすると、敬意の気持ちを表わすことができないためです。また、ビールジョッキのようなカジュアルなグラスであっても、大きすぎる音を立てて乾杯するのは考えもの。ふさわしい音量に抑えましょう。
ポイント3:上司からのお酌、正しい受け方は?
まずひと口飲むのがマナー
上司など目上の人に限らず、お酌をしてもらったら、まずひと口飲むのがマナーです。「ありがとうございます。頂戴いたします」とお礼を述べてから口に運べば問題ありません。
頭をほんの少し下げれば、恐縮している気持ちも表せます。一気に飲み干さず、ひと口飲んだらテーブルに置きましょう。
お酒がダメな場合は伝えてOK
まったくアルコールが飲めない体質の人は、「申し訳ありません。アルコールに弱い体質で、残念ですが…」と正直に辞退します。
常識のある上司であれば、ジュースやウーロン茶などを新たに注いでくれるはずです。
お酌のタイミングと注ぎ方
続いて、飲み会で「しっかりした人だな」と思われるマナーや気遣いのコツをご紹介しましょう。
まずは近くの上司や先輩から
乾杯が終わったら、両隣や手が届く範囲の上司、先輩のグラスにお酒を注ぎましょう。お酒の量がさほど減っていなくても、「どうぞ」と声をかけてお酌をします。
相手がグラスを置くまでお酌を待つ
このとき、相手は「ありがとう」などと答えて、中身を少し飲んでからグラスやおちょこを差し出すはずです。急かさずに、相手がグラスを置くのを待ってからお酌をするのがよいでしょう。
落ち着いたら離れた席の上司や先輩のもとへ
話が途切れたタイミングや、おのおの談笑がはじまったら、離れた席に座る上司のもとにも足を運んでお酌をしましょう。
ビールのラベルは上、下座から注ぐと◎
テーブルの配置や席次にもよりますが、お酌をするときは、相手から見て下座の位置からお酒を注ぐのがベストです。
ビールはラベルを上にして利き手で持ち、もう一方の手を下に添えます。お銚子も同様で、両手でお酌します。
豆知識! 海外のレディ・ファースト
欧米では、女性はどんな場合もお酌をしません。
このマナーを知っている上司は、新入社員や部下であっても女性にお酌をさせないかもしれません。しかし、日本では「宴会マナー」ということで、レディ・ファーストより、上下関係が優先されるのが現状のようです。
「郷に入っては郷に従え」ということわざのとおり、その企業の常識に合わせて振る舞うのがいいですね。仕事も男性に負けないくらいがんばるのですから、宴会でも男女関係ないスタンスで応対しましょう。
ただし、ワインやシャンパンなどを自分たちで注ぐ場合は、男性に任せると◎。「お願いできますか?」などと、上手に頼めばOKです。注いでもらう際に、グラスを持ち上げるのはNGです。つい持ち上げてしまいがちですので注意しましょう。
飲み会での会話やお礼の仕方
最後に飲み会に適した会話内容は、飲み会後のお礼マナーを学びましょう。
会話のポイント
飲み会での会話のネタは、一般的に、スポーツ、テレビ番組、食べ物など、誰にでも受け入れやすいものがよいとされています。
しかし、無理にネタを提供する必要はありません。近くの人が話している内容にあいづちを打ったり、質問をしたりすれば十分です。無理に自分の持ちネタで話を進めなくても、まわりの人の話に参加をすれば盛り上がります。
目配せで話の輪を広げるとGOOD
また、ひとつの話題で話しはじめると、ずっと同じ相手とばかり話し続ける状況が生まれることがあります。こんなときは、黙っている近くの人にもアイ・コンタクトをとりながら話すといいでしょう。
たとえば、5人のテーブルで3人だけ話し込んでいたとしても、あとの2人にも目配せしながら話すのが、スムーズに会話を進めるコツです。
ネガティブな話題はNG
なお、個人攻撃や噂話などはNGです。つい語調が強くなったり口が軽くなったりして、失敗につながりかねません。
お酒に酔っているときは気が大きくなりがちなので、意識して避けるよう気を付けましょう。
締めくくりの挨拶のコツ
同席した上司や幹事には「本日はありがとうございました。とても楽しかったです」「ご馳走様でした。お料理、とてもおいしかったです」「お世話になりました。ありがとうございました」などと挨拶をしましょう。
また、飲み会の翌日に改めてお礼のメールを出すことで、よい印象を与えることができるでしょう。内容としては「昨晩はありがとうございました」とお礼を述べてから、「とても楽しかったです」「とても勉強になりました」など自分の感想を簡潔に伝えるようにします。
素直に感謝を伝え、ネガティブなことを書かなければ問題ありません。
「誰かに見られている」ことを意識して参加しよう
学生時代は許容されていた無礼も、大人、それも会社の飲み会となればよく思わない人はきっといます。社会人の飲み会では、さまざまな年齢や立場の人と同席することが多く、常識力や気遣いの仕方が試される場でもあるのです。
あなたのちょっとした振る舞いも、誰かに見られているということを意識して参加しましょう。
「この場合はどうするんだっけ?」と飲み会でのマナーに迷ったときは、この記事を読み返してみてくださいね。
(文:松本繁美、構成:佐藤由衣)
※画像はイメージです