今回のお悩み「毎月、生理にお金がかかりすぎな気がする」
最近ナプキンを買う時にふと感じたのですが、ナプキンにかかるお金も“ちりつも”で結構な費用になっていそうじゃないですか? ナプキンだけではなく、鎮痛剤も度々購入するので、そういった生理に関するコストを抑えるにはどうしたら良いでしょうか。(30代前半/マーケティング)
■生理に関する費用は増加傾向
はじめまして、フェムケアコンシェルジュの木川誠子です。ご質問をありがとうございます! まさに、生理に関する費用は“ちりつも”だと思います。そして、毎月発生しているくらい日常的だからこそ、意外と具体的な数字を把握していない場合もあるのではないでしょうか。
現代の女性は、働くのが当たり前になり、晩婚化・少子化と言われていることもあって、生涯の生理回数が約50回だったとされる約50年前に比べると10倍近い400~450回に増えています。さらに、近年では平均50歳と言われていた閉経年齢が1~2年延びているというデータも出てきているため、生理にかかる生涯費用は増加傾向。税率に関しても、生理用品は生活必需品ではあるものの、軽減税率の対象外となっており10%が課税されています。
日本産婦人科学会の『生理用品のあれこれ』の動画(※1)によると、生理に関連する生涯費用は下記のように算出されています。
生理に関連する費用
・生涯の生理期間を12歳~50歳の38年間と仮定
・毎月かかる使い捨てタイプの生理用品(ナプキン・タンポン)費用を1,000円と想定
12カ月×38年=456カ月
456カ月×1000円=45万6000円
サニタリーショーツや鎮痛剤など、生理用品以外の項目も考慮して約50~80万となっています。
■繰り返し使えるアイテムは減価償却
次に、日本におけるフェムテック元年である2020年以降、注目を集めている吸水ショーツや月経カップなど、洗って繰り返し使えるアイテムの費用感を見てみましょう。
吸水ショーツは2,000~6,000円、月経カップは2,000~7,000円、月経ディスクは4,000~7,000円が相場となっています。
額面からは「高い!」と感じるかもしれませんが、洗って繰り返し使えますので、いわゆる減価償却で考える必要があります。吸水ショーツの場合、平均価格を4,000円とし、使用寿命は洗い方・保管の仕方で異なってきますが平均2年とされています。4,000円÷24カ月となり、1カ月あたりは167円です。
そして、洗って繰り返し使えるアイテムは、きちんと汚れを落とすことで品質の維持につながりますので、専用の洗剤を用いるのがベター。経血用洗剤は400円~1,000円と振り幅はありますが、200g入り1,000円のものを用いた場合、1回の洗濯につき5gを消費すると考えると1回の洗濯あたり25円。1カ月の生理期間に2回洗濯をすると、1カ月あたり50円となります。
使い捨てタイプは毎月計上されることからランニングコスト、洗って繰り返し使えるタイプは初期費用がかかる分、減価償却していく考え方です。このようにアイテムによって費用の性質が異なるものの、取り入れ方や買い方などを工夫することで、現状よりコストダウンする可能性はおおいにあります。
■3つの取り入れ方で費用比較
ここで具体的な取り入れ方を考えてみましょう。毎月の生理期間を5日間とし、吸水ショーツの使用寿命である2年間(24カ月)で計算します。
アイテム・単価
使い捨てナプキン 日中用&夜用が合計1,000円/1カ月
吸水ショーツ 4,000円/1枚
取り入れ方(1)使い捨てナプキンのみで過ごす場合
1,000円×24カ月=2万4000円
取り入れ方(2)吸水ショーツのみで過ごす場合
4,000円×3枚=1万2000円
取り入れ方(3)使い捨てナプキンと吸水ショーツを併用した場合
※使い捨てナプキンは併用によって1,000円分を2カ月で消費
※吸水ショーツは1枚購入
使い捨てナプキン 1,000円×12カ月=1万2000円
吸水ショーツ 4,000円×1枚=4,000円
合計1万6000円
取り入れ方(2)は初期費用がもっとも高いですが、たとえ経血用洗剤代が加わったとしても一番コストが抑えられている方法と言えます。もっとも高い取り入れ方になっている(1)は、安売りをしている時にまとめ買いをしておく、ポイントがつくところで購入するなど、買い方を工夫することでもう少し費用は抑えられる可能性はあります。
■医療機関との連携もコストダウンにつながる
生理に関連する費用を考える際、もうひとつの重要な視点は医療機関の活用です。例えば、毎回生理痛がある場合、市販の鎮痛剤を取り入れることで500円前後の出費に。さらには、PMS(生理前症候群)の症状でいつも以上に食欲が増すという場合は、食費がかさむことも考えられます。
生理にまつわる症状は、医療機関で診てもらうことで適切な処置が可能になります。例えば、生理痛やPMSの症状がひどい場合は、保険診療で低用量ピルの処方が可能となり、約800円~の費用感で気になる症状が治まり、鎮痛剤の費用カットになる他、生理が数カ月に1回になるため、生理用品の費用も抑えられます。自由診療でのピル処方の場合は、約2,000円~が相場になっています。
近年知られるようになってきたミレーナも、ピルと同じような役割で取り入れることが可能です。保険適用の場合は約1万3000円、自由診療の場合は約4万円となりますが、一度装着すると最長5年間は有効。ピルはランニングコスト、ミレーナは減価償却として考えるのがいいと思います。
また、過多月経や子宮内膜症などと診断された時など、治療や経過観察目的で生理用品の使用が必要な場合や医師による指示のもと診断書がある場合は、治療の一環としての使用に限り、生理用品が医療費控除の対象になる可能性があります。「経血量が多いと感じている」「1時間ごとにナプキンを変えないとモレる」などの場合は、婦人科を受診して相談してみるのもいいと思います。
生理に関連する費用は、自分の生理状態や性格、ライフスタイルに合わせて生理用品を選ぶことでコストダウンの可能性があります。そして、婦人科検診などで医療機関を定期的に受診することは、婦人科系疾患の疑いをいち早く発見することにもつながります。
結果、医療費負担を抑えることにもなりますので、健康管理のみならず、節約の視点からも定期的な婦人科検診は有効と考えられます。長らく婦人科にかかっていないという方は、自分のからだの状態をチェックする意味も込めてぜひ検診を受けてみてはいかがでしょうか。
令和のマネーハック124
生理状態やライフスタイルは一人ひとり違う。自分にあった生理用品、取り入れ方を意識することで、コストダウンが叶う!
(文:木川誠子、イラスト:itabamoe)
※1 日本産科婦人科学会の「生理の貧困」に関する動画 ~生理のウソ・ホント?~
(以下、参考データ)
自治医科大学 玉田太朗氏らによる研究論文/玉田太朗,岩崎寛和:本邦女性の閉経年齢,日本産科婦人学会雜誌,47 (9), 947-952, 1995
徳島大学 安井敏之氏らによる研究論文/Toshiyuki Yasui, Kunihiko Hayashi, Hideki Mizunuma, Toshiro Kubota, Takeshi Aso,Yasuhiro Matsumura, Jung-Su Leef, Shosuke Suzuki :Factors associated with premature ovarian failure, early menopause and earlier onset of menopause in Japanese women,Maturitas, 72, 249–255, 2012