ちまたではセックスレスが叫ばれることもあるなか、付き合い始めや一緒に住み始めて間もないカップルの中には、毎日のようにセックスをしている人たちもいるのでは?
「セックスの回数が多いのは仲が良い証拠」などといわれるものの、さすがに毎日となると、当の本人たちは「本当に大丈夫なの?」と心配になるかもしれません。
毎日セックスすることには、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。また一般的なセックスの頻度はどれくらいなのでしょうか。もろもろ探ってみました。
■セックスを毎日するカップルの特徴
毎日セックスをするカップルには、どんな特徴があるのでしょう。考えられるものをいくつかあげてみました。
◇(1)性欲が強い
婦人科などに寄せられるセックスの悩み相談を聞くと、とくに男性側の性欲が強く、毎日のように求められているというカップルが少なくないようです。男性が毎日セックスを求めてくるので、それに応じながらも「毎日して大丈夫なのかな」と不安に感じる女性が、医師や専門家に相談するケースがあるのだとか。
性欲については、お互いのバランスがとれていればよいのですが、アンバランスな状態が続くと、片方がつらくなることがあるかもしれません。
◇(2)お互いが気持ちのいいことが好き
お互いにセックスに興味があり、気持ちのいいことが好きだから、セックスが毎日続いているというケースもあるでしょう。どんなことでも、義務のように毎日続けるのは難しいものです。毎日続いているのは、「気持ちいいことが好き」というお互いの気持ちが合致していることの現れかもしれません。
◇(3)体の相性が良い
お互いにそこまでセックスが好きだったわけではないのに、パートナーが自分の気持ちいい場所を刺激してくれたり、愛撫の強さがちょうどよかったりなど、いわゆる「体の相性が良い」場合、その快感を毎日でも味わいたいという気持ちが生まれて、ついセックスをしてしまうということもあるでしょう。
◇(4)付き合いたて、または同棲し始め
カップルの付き合い始めというのは、お互いに相手を求め合い、相手とのつながりを深める時期といえます。そのため、お互いを知る意味もあり、毎日相手を求めてしまうことがあるのでは。一緒に住み始めて間もないカップルにも、同じことがいえます。毎日しても、まだセックスが新鮮に感じられるほど、気持ちが高まっているのかもしれません。
◇(5)年齢が若い
お互いに年齢が若い場合、セックスへの興味が強く、体力もあるため、毎日したい気持ちになることがあるかもしれません。また年齢差のあるカップルの場合も、年齢の若いほうに引っ張られて、セックスの回数が増える可能性があります。
■セックスは毎日しても大丈夫?
どんなに気持ちが良いセックスでも、毎日続くと「このまま毎日していても、本当に問題ないのかな……?」と、不安になる人もいるようです。セックスの頻度が高くても問題はないのでしょうか。
◇日常生活に悪影響がなければOK
結論から言うと、自分がしたくてしているのであれば、毎日セックスをしても健康上の問題はないと考えられます。相手に合わせて無理をしていたり、セックスにのめり込み過ぎて生活リズムが大きく崩れたり、体調を崩したりするようなことがなければ、毎日セックスをしても問題はないでしょう。
もしも妊活中であれば、頻繁にセックスをすることは非常に有効です。妊活においては、セックスの頻度が高いカップルのほうが妊娠しやすい傾向にあります。毎日セックスをすることで互いの仲が深まることにもつながり、さまざまな面でプラスの効果を得られるでしょう。
◇毎日しても大丈夫だけれど、しなくても大丈夫
ただし、セックスはしてもしなくても、健康上のプラスやマイナスにはならないといわれています。毎日しても問題がない一方で、セックスしない日が続いたからといって問題があるわけではありません。美容や健康目的で、無理にセックスをする必要はないですよ。
■一般的なセックスの頻度
ところで世の20~30代女性は、一般的にどれくらいの頻度でセックスをしているのでしょうか。いくつかの調査から、一般的なセックスの頻度を見てみましょう。
◇20~30代女性の一般的なセックス頻度は「月に数回」
成人男女を対象としたセックスに関する大規模な調査『ジェクス ジャパン・セックスサーベイ2020』によると、日本の20代と30代男女の、1年以内のセックス回数でもっとも多かった頻度は、「月に2~3日」または「月に1日」でした[*1]。詳しい数値は以下の通りです。
☆男女別、「1年以内のおよそのセックス回数」で最も多く選ばれた選択肢
〈20代〉男性=月1日(19.5%)/女性=月2~3日(21.5%)
〈30代〉男性=月2~3日(23.8%)/女性=月2~3日(19.0%)
なお、なかには「毎日」と答えた人もいました。その割合は、以下の通りでした。
☆男女別、「過去1年間、毎日セックスした」と答えた人の割合
〈20代〉男性=3.6%/女性=0.2%
〈30代〉男性=2.2%/女性=0.4%
男女別に見ると、男性のほうが毎日セックスする人が多い傾向にあるようです。
◇日本のセックス頻度は世界でも突出して低い
ちなみに世界的に見ると、日本のセックスの頻度は突出して低いことがわかります。
少し古いデータですが、コンドームメーカーのDurex社が2005年に行った調査によると、日本の1年間のセックスの頻度は45回と、調査対象の41カ国中、最下位でした[*2]。最下位から2番目のシンガポールでも73回と、日本よりも約30回多いことを鑑みると、日本のセックス頻度の突出した低さがわかるのではないでしょうか。
なお、セックス頻度の1位はギリシャで138回でした。3日に1回以上はセックスをしている計算になります。
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■セックスを毎日するメリット
「とくに悪い影響がなければ、毎日セックスしても問題ない」というものの、本当にそうなのかどうか、心配になる人がいるかもしれません。
頻繁にセックスをすることの身体的・心理的メリットについて、もう少し細かく見ていきましょう。
◇(1)気分がリラックスする
女性がセックスをすると、おもにPEA(フェニルエチルアミン)、ドーパミン、オキシトシンという3つのホルモンが分泌されるといわれています。このうちオキシトシンには、気分をリラックスさせる作用があるという研究結果があります[*3]。
◇(2)安眠を得やすくなる
これもオキシトシンの作用といわれていますが、オキシトシンには鎮静作用のような効果があり[*3]、セックスの後は眠りにつきやすいとされています。セックスの頻度が増えると、その効果を得られる頻度も高くなると考えられます。
◇(3)ダイエット効果が望める
国立健康・栄養研究所の「身体活動のメッツ(METs)表」によると、キスや抱擁などの性行動は1.3メッツ、全般的なセックスは1.8メッツで、積極的なセックスは2.8メッツとあります。これを消費カロリーに換算すると、体重50kgの女性が30分間、一生懸命セックスを頑張った場合、約74kcalとなります。
仮に毎日したとすると、1週間で約518kcal、1ヶ月(30日)で約2,220kcalです。約2,220kcalというと週2回、30分程度のランニングをするのと同等の運動量(4時間40分相当)です。多少ですが、ダイエット(シェイプアップ)効果が期待できるのではないでしょうか。
■セックスを毎日するデメリット
特筆するようなことは見当たりませんが、あえてデメリットをあげるならば、時間帯によってはセックスをすることで就寝時間が遅くなり、寝不足になることがあるかもしれません。
また、さほど大きな負担ではないかもしれませんが、コンドームを使うのであれば毎日消費するため購入する手間とお金はかかることになります。
人によっては、セックスへの高揚感が薄れ、マンネリ化を感じることもあるのでは。毎日したい人は体位を工夫する、シチュエーションを変えるなど、刺激を与えてみるとよいかもしれません。
■毎日or高頻度でセックスする時の注意点
デメリットとまではいえないものの、毎日、もしくは高頻度でセックスをするうえで、注意しておいたほうがよいことを紹介します。
◇(1)妊娠の可能性が高まる
「毎日セックスしても大丈夫?」のところでも説明したように、セックスの頻度は妊娠の可能性と大きく関わってきます。妊娠可能な女性の場合、セックスする頻度が上がると、妊娠の可能性も高くなります。妊娠を望んでいない場合は、そのことを考慮し、女性もピルを服用したり、IUSを装着したりなど、積極的な避妊を心掛けましょう。
◇(2)カップル間に愛情のずれが生じることも
最初のうちはお互いに「毎日セックスしても飽きない!」と思っていたとしても、同じ状態がずっと続くとは限りません。たとえば男性側は「まだまだ毎日したい」と思っていたとしても、女性側はホルモンバランスの変化などの影響で、「今日は休みたいな」と思うことがあるかもしれません。
そのような気持ちのずれが生じる可能性は、どんなに仲の良いカップルであっても大いにあると考えられます。セックスをするときは「相手も自分と同じ気持ちだろう」という思い込みを捨てて、互いの気持ちを思いやることを忘れないようにしましょう。
■無理せず、楽しいセックスを
セックスを毎日しても基本的には問題ありませんが、まずは2人がそれを楽しむことが何よりも大切です。また楽しいからといって、のめり込み過ぎて無理をするのもNG。また望まない妊娠の可能性も高まります。
注意点なども理解しながら、無理なく、セックスを楽しんでください。
(監修:宋美玄、文・構成:山本尚恵)
※画像はイメージです
【参考文献】
[*1] ジェクス ジャパンセックスサーベイ2020 調査結果報告書 p14
https://www.jfpa.or.jp/pdf/sexservey2020/report.pdf
[*2] The Face of Global Sex 2005|Durex p19
http://www.durexnetwork.org/SiteCollectionDocuments/Research%20-%20Face%20Of%20Global%20Sex%202005.pdf
[*3] 公益財団法人 母子健康協会 第37回シンポジウム「タッチケアで絆を育む」…安らぎの物質オキシトシン
https://jp.glico.com/boshi/futaba/no81/con02_05.html