“知ること”が未来を守る―子宮頸がん検診のこれから―

皆さんは、これまでに「子宮頸がん検診」を受けたことはありますか? 病院の婦人科やレディースクリニックに足を運ぶことに対して、「何となく怖い」「まだ受けなくていいかな」という理由で、受診を後回しにしている人もいるのでは? ただし、子宮頸がん(※1)は、早い段階で異常に気づければ、進行を防ぐことにつながる“予防できるがん”なのです。そのため、検診は大変に重要。今回は、昨年、がんになる前段階の「子宮頸部高度異形成」と診断され、円錐切除手術を受けたことをSNSで公表したタレントの井口綾子さんに、検診の大切さや、検査や治療を通して学んだことをお話しいただきます。
※1 子宮頸がん | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修
「子宮頸がん検診」って何? 必要なこと? まずは知ることからはじめよう!
女性の健康推進について考えるウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会主催のイベント『わたしたちのヘルシー~心とからだの話をはじめよう in Mar.2026』は、今年で10年目を迎えます。2026年は「心とからだのリズムを知る、理解する。自分らしく生きるための9つのセッション」をコンセプトに、女性の心とからだの悩みを、ゲストのリアルな声と専門家の解説とともにお届けします。
また、スペシャル動画を、2026年3月8日(日)より配信中です。
『女性の健康週間(3月1日~8日)』と『国際女性デー(3月8日)』に合わせて開催されたイベントでは、医療ヘルスケアの専門家とゲストが、各テーマに関するお悩みとその解消法について話し合いました。
今回のテーマは、『“知ること”が未来を守る―子宮頸がん検診のこれから―』です。ゲストの井口綾子さんが、東京女子医科大学 産婦人科学講座教授 講座主任の田畑務先生とともに、子宮頸がん検診とワクチン接種の必要性を発信します。
こちらより、このイベントの対談番組動画をご覧いただけます。
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“知ること”が未来を守る
―子宮頸がん検診のこれから―
定期検診の大切さ。「自分は大丈夫」と思っていても、保証はないこと
子宮頸がん検診を受けたことで、がんに進行するリスクがある「子宮頸部高度異形成」が見つかったという、井口綾子さん。まずは、どのような経緯で検診を受けたのかについて話してくださいました。

井口さん:コロナ禍の時期に生理が不順になって、それをきっかけに低用量ピルを飲み始めました。そして、処方してもらうためにレディースクリニックに通っていたところ、「子宮頸がん検診も受けてみませんか?」と先生に言われたんです。その日はたまたま時間があったので軽い気持ちで受けてみると、結果は「精密検査が必要」でした。今までとても健康で大丈夫だろうという気持ちだったので、このときに受診して本当によかったです。
その後の精密検査では「子宮頸部中等度異形成」と判定され、経過観察が必要に。そのまま正常に戻るケースが多い症状だが、井口さんの場合は1年後の検査で「高度異形成」に進行し、手術を受けることになったのだそう。
田畑先生:子宮頸がんは、前段階で発見できれば「予防できるがん」なのです。早期に治療することにより、井口さんのように子宮を残して、妊娠と出産の可能性を残すことができます。
それでは、子宮頸がんとは、そもそもどのような病気なのでしょうか?

田畑先生:子宮は「なすび」のような形をしており、入り口が頸部、奥が体部といいます。入り口にできるのが子宮頸がん、奥にできるのが子宮体がん(※2)です。井口さんのように、子宮頸がんの前段階で見つかれば、この入り口を少し削るだけで、体部を残すことができます。そして、将来、妊娠の可能性を残すことができるのです。
井口さん:手術を受けるにあたって全然知識がなかったので、最初は「子宮を取らないといけないのかな」と、悩みました。将来子どもを産みたいと思っているので、そのあたりがすごく不安でした。そのうえで先生と相談して、子宮の入り口をできるだけ浅く切除する方法を選びました。手術の際は、本当にがん化していないかについても隅々まで調べてくださいました。
※2 子宮体がん | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修

田畑先生:子宮頸がんの原因を説明しますと、ほとんどの場合、HPV(ヒトパピローマウイルス)によるものです。性的な接触によって感染し、がんを発生します。ほとんどの感染は自然消滅するのですが、そのなかの一部が長い間感染し、時間をかけてがんになる場合があるのです。なかでもハイリスクなHPVに感染していると、がんになりやすいことがわかっています。ちなみに、女性の8割は一生に一度はHPVに感染するといわれていますから、これはありふれていることなのだと感じていただけるといいと思います。
井口さん:私は手術についてSNSで発表することで、偏見の目で見られるかもしれないとも思いました。ですが、そのリスクよりも、同じ女性の励みになればと思い公開しました。そうしたところ、「同じ高度異形成でしたが、子どもを3人産みました。定期的な検診は本当に大切ですよね」というコメントをいただいたりして、公表してよかったと思っています。
田畑先生:井口さんの発信は本当にありがたいです。これで皆さんが注目して、検診に足を運んでくださることが大事なのですから。
誰でもかかる可能性があるからこそ、定期的な「子宮頸がん検診」が大切

女性特有のがんのなかで、子宮頸がんの罹患率は、乳がんに次いで第2位。毎年、国内で約1万人が子宮頸がんにかかっています。そして、1年間に約3,000人の女性が子宮頸がんで亡くなり、20代や30代は年間100人ほどの方が亡くなっているというデータも。このように多くの女性を悩ませる病気なのですが、初期症状は無症状という問題点が。そのため発見されないまま何年も経過し、がん化するという事態を引き起こすというのです。だからこそ、「定期的な子宮頸がん検診を受けることは大切」と、田畑先生はおっしゃいます。
田畑先生:がんになると、異常なおりものや月経以外の不正出血、性行為の際の出血や痛みなどが現れます。国の方針では、2年に1回検診を受けなさいとなっていますが、何らかの症状があったときにはなるべく早く行きましょう。ただ、日本の子宮頸がん受診率は、およそ43%と非常に低くなっています。皆さん、検診を受けるのは「痛い」、産婦人科に行くのは「恥ずかしい」、または、時間を作って病院に行くのが面倒などの声が聞かれますけれど、それは非常に怖いことです。

井口さん:心理的ストレスもあると思いますが、行かないと手遅れになることがあると思うので、ぜひ受診してほしいですね。
子宮頸がん検診の基礎知識――細胞診とHPV検査
子宮頸がん検診は、主に「細胞診」と「HPV検査」で行われます。それぞれの特徴と流れを、田畑先生に教えていただきます。
田畑先生:子宮頸がん検診は、産婦人科のある病院やクリニックなどでは主に「細胞診」という方法で行われます。検査ではまず子宮の入り口を目で見て確認し、柔らかいブラシなどでこすって細胞をとります。痛みはほとんどなく、1分ほどで終了します。その後、腟に指を入れて内診を行って子宮の大きさや硬さなどを確認します。
井口さん:クリニックで受けた最初の検診は、綿棒のようなもので子宮頸部を軽く拭うだけでまったく痛くなくて、今まで婦人科で受けた検診のなかで一番あっという間に終わりました。
そして今、日本で新たに注目されているのが「HPV検査」。子宮頸がんの原因であるHPVに感染しているか否かを調べる検査です。
田畑先生:細胞診と同様に、柔らかいブラシなどでこすって細胞をとり、採取した細胞を調べます。HPV検査で陽性の場合は、細胞診などの精査につなげて確認します。海外では導入が進み、日本でも検診の選択肢として広がりつつあります。
井口さん:予防としては、子宮頸がんにはワクチン接種もありますよね?

田畑先生:はい。HPV感染防止に有効なHPVワクチン(※3)の接種があり、接種することで大きな感染予防効果が期待できます。日本では現在、小学校6年生から高校1年生の女子を対象に定期接種が行われており、対象者は公費でHPVワクチンの接種を受けられます。ただ、ワクチンを接種した方でも子宮頸がんを100%予防できるわけではないので、ワクチンとともに定期的に検診を受診することが大切です。
※3 子宮頸がん予防接種(HPVワクチン)【小学6年~高校1年の方向け】 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修

井口さん:私が若いときはワクチン接種が始まったばかりの頃で、打たない選択をしたのですが、ワクチンを打つことがひとつの安心材料になりますよね。子宮頸がんになって子宮を取るところまでいくと、将来子どもを望まれる場合は、その道が途絶えてしまいます。自分の体と未来を守るためにも、できるだけ多くの女性に検診を受けていただきたいと心から思います。
田畑先生:子宮頸がんは、予防できるがんです。重要なことは、若い頃にHPVワクチンを打って、大人になったら子宮頸がん検診を受けるというのが、子宮頸がんから身を守る正しい方法です。ぜひ、周りの人にも勧めていただきたいです。
自分の未来を守るためにできること。まずは定期的な「子宮頸がん検診」を。
子宮頸がんは、早い段階で異常に気づくことができれば、治療につながりやすい“防げるがん”です。ただ、その変化は自分では気づきにくいことも多いもの。だからこそ、自分の未来を守るために、定期的な子宮頸がん検診を意識して受けることがとても大切です。この小さな意識が、長い人生を支える大きな安心につながります。
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“知ること”が未来を守る
―子宮頸がん検診のこれから―

- 田畑務先生
東京女子医科大学 産婦人科学講座教授 講座主任
三重大学医学部を卒業後、さまざまな臨床現場で研鑽を積み、婦人科腫瘍治療の分野で第一人者として活躍。現在は東京女子医科大学産婦人科学講座教授・講座主任を務め、日本を代表する産婦人科医に。特に子宮頸がん検査の領域において中心的な役割を担い、学会活動や後進の育成にも尽力している。

- 井口綾子さん タレント。『ミス青山コンテスト2017』準グランプリに選ばれる。リケジョでかわいい女子大生タレントとして注目され、芸能活動を続け、ラジオやバラエティー番組などで活躍。さらに、美容室『EXCEL(エクセル)』の経営を行っており、芸能活動と会社経営を両立させている。子宮頸がんの検査をきっかけに子宮頸部高度異形成が見つかり、円錐切除術を受けたことを、「この投稿が、誰かが自分の体を大切にするきっかけに少しでもなれたら嬉しいです」と、Instagramで公表。
パートナー企業

子宮頸がんは予防できるがんです。
当事者である女性自身だけではなく、大切な人を思うすべての人のために、子宮頸がん、予防、検査について、わかりやすい情報を提供していきます。
~ 自分、家族、友人のために ~
大切な人のために学ぶ 子宮頸がん情報サイト
ウィメンズ・ヘルス・アクションとは?

今年、10年目を迎えるウィメンズ・ヘルス・アクション実行委員会では、国や自治体、医療・教育の現場や職場・家庭・地域などが連携し、現代日本における女性の健康推進の必要性とその課題について考えるための取組みを行っています。
女性は、思春期、妊娠・出産期、更年期、老年期と生涯を通じて、ホルモンバランスが大きく変動し、また、結婚や育児などのライフステージによっても、心と体に男性とは異なる様々な変化が現れます。女性ホルモンの変動に伴い、月経不順や月経痛、月経前症候群(PMS)、不眠やうつなどQOL(生活の質)の低下を伴う心身の失調を起こしやすい特徴があります。女性の健康リスクを低減させることは、人生各期における女性の自己実現と社会参加を促進し、日本全体の経済発展と活力増進を促す力となります。今、様々な場所で思春期や妊娠・出産期、更年期などのライフステージに応じた女性の健康推進サポート強化の動きが生まれています。
毎年3月1日~3月8日は「女性の健康週間」です。女性が生涯を通じて健康で明るく、充実した日々を自立して過ごす社会を実現するためには、家庭・地域・職域・学校などを通じて女性の健康問題を総合的に支援することが重要です。毎年、全国各地で「女性の健康づくり」を国民運動として展開しています。
毎年3月8日は国連が定めた「国際女性デー」です。女性への差別撤廃や地位向上などを目指し、世界各地で啓発イベントや記念行事が行われています。 日本国内でも様々な働きかけが行われており、その輪は国連機関から政府や自治体、NGO、メディア、一般企業等にも広がっています。
URL: https://whasympo.com/

