【10月11日は爪休みの日】 爪の変色、変形……それって爪水虫かも!? 爪を休めるには?
10月11日は、何の日か知っていますか? 答えは「爪休めの日」です。足の爪は両足で10あることと、足の指は英語で「toe(トゥ)」なので10月。そして、足爪にいい(11)で11日に、足爪を休めてしっかりとケアしてもらうことを目的に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。
この夏、素足にサンダル&ペディキュアで、思いっきり夏を満喫した人も多いはず。「爪休めの日」は、夏に受けた足指へのダメージをしっかりケアすることを目的に制定されました。爪を休めて、ケアすることは大事なことです。これを機会に、じっくり足の爪を観察して労わってみてください。もし何か変化があったら、病気のサインかもしれません。
今回は、年齢や性別に関係なく誰もがかかる可能性のある爪の感染症「爪水虫」についてご紹介します。
高山 かおる先生:
埼玉県済生会川口総合病院 皮膚科 主任部長。
本記事の監修者。
爪に入った白い筋や変色……もしかしたら「爪水虫」かも⁉
夏の間、塗りっぱなしだったペディキュアやジェルネイルを落とし、ふと足の爪を見て「あれ?」と思ったことはありませんか? 次に挙げるチェックリストにあてはまるものがあった人は、「爪水虫」の可能性があります。チェックはこちらから!
Chek Point
爪が白や黄色っぽく濁っている
爪が分厚くなっている
爪がボロボロと欠ける
昔、足の水虫にかかったことがある、もしくは今かかっている
「水虫」と聞くと、足の指と指の間に発症する水虫のことを連想する人が多いかもしれませんが、実は爪の水虫もあるんです。「爪水虫」(爪白癬)は、白癬菌というカビの一種が爪に侵入して起こる感染症です。感染すると爪が白や黄色に濁ったり、分厚くなってボロボロと欠けたりします。ただ、水虫特有のかゆみや痛みがないため自覚しづらく、治療せずにそのまま放置しがち。症状が進行してしまうと、爪が変形したり、皮膚に食い込んで痛みが生じることも。また家族へうつしてしまうリスクもあるので、爪水虫かも⁉ と疑わしいときは、すぐに専門医に相談しましょう。そして、早く爪の異変に気づくためにも、ペディキュアやジェルネイルの塗りっぱなしは禁物です。たまにはネイルをオフして、爪を休ませてあげましょう。
日本人の10人に1人が感染!「爪水虫」は他人事じゃない
驚くことに、10人に1人が爪水虫に感染していると言われています。人口に換算すると、なんと1200万人もの爪水虫患者がいる計算に!
男女ともに30~40歳代から徐々に増えはじめ、年齢が高くになるにつれて増加していきます。人数は少ないものの、20歳以下の子供や若者もかかります(※1)。性別で見ると6:4(※2)で、やや男性の方が多いようですが、子どもからお年寄りまで年齢や性別にかかわらず誰でも感染する可能性があるので、他人事ではありません。
※1:参照元(清 佳浩. Med Mycol J. 60(3); 75-82, 2019.)
※2:参照元(仲 弥ほか. 日臨皮会誌. 26(1); 27-36, 2009.)
「爪水虫」にならないために日常生活で気をつけることは?
「爪水虫」は、白癬菌が爪に入ることで感染します。不特定多数の人が裸足で利用するスパ、ジム、プール、旅館の浴場などは感染リスクが高まります。白癬菌は足から爪、爪から足へと広がるため、「足水虫」と「爪水虫」を併発することが多く、足と爪を一緒に治療する必要があります。
まず感染しないために、日常生活でできることはあるのでしょうか?
感染しないためにできること
- 毎日、足の指の間まで丁寧に洗って清潔に保つこと
- 軽石や硬いタオルでゴシゴシ強くこすると足に傷がつくので、やさしく洗うこと
- 毎日同じ靴を履かないこと。靴を乾燥させましょう。
白癬菌は、家庭内感染しやすいと言われています。大切な家族にうつさないためにも、床をこまめに拭き掃除したり、自分専用のバスマットやスリッパを使うことも有効です。
爪が痛んでしまっている人は、定期的に爪を休めて、自分の爪の状態をチェックすることを心がけましょう。
皮膚科に早期受診を!塗り薬or飲み薬で治療できる
もし「なんだか爪がおかしいな?」と感じたら、まずは皮膚科医に相談しましょう。医療機関では爪を採取し、顕微鏡で白癬菌がいるかどうかを調べて診断します。治療は、原因となる白癬菌等を死滅させる抗真菌薬による薬物治療が行われます。
近年、治療法がどんどん進化しており、今まで主流だった飲み薬に加え、塗り薬が仲間入り。比較的軽症であれば、1日1回、直接爪に塗るだけで治癒を目指すことができます。飲み薬だと、他の薬との飲み合わせなどで飲めない患者さんがいましたが、塗り薬が登場したことで選択肢が増えました。どちらの薬も医師の処方が必要なので、なるべく早く皮膚科を受診しましょう。
爪水虫の完治は長期戦!根気よく、治療を続けて
治療薬の効果が現れると、白癬菌に感染していないきれいな爪が少しずつ伸びてきます。足の爪が生え変わるには、通常1年から1年半かかると言われています。根気よく、気長に治療を続ける必要があります。見た目がきれいになっても、白癬菌がまだ爪に残っている場合もあるので、自己判断で治療を中断せず医師の指示に従って完治を目指しましょう。
いかがでしたか? 足の爪は、夏は素足やペディキュアによるダメージ、冬は乾燥やブーツによる蒸れなど、意外と酷使されています。それなのに手の爪に比べて、ケア意識が薄くおざなりになりがち。爪水虫などの病気を早期発見するためにも、足の爪を定期的に休めてチェック&ケアする習慣をつけることが大事です。毎日を健康的に過ごせるよう、たまには自分の足元を見直してみませんか?
「爪水虫」は自分一人の問題ではありません。大切な家族を守るためにも、自分が感染源にならないよう、変化を感じたら迷わず皮膚科を受診しましょう。
提供:科研製薬株式会社