育児 育児
2022年12月16日 15:13 更新

【医師監修】赤ちゃんの手足が冷たいのは何のサイン?新生児は?受診の目安と適切な対処法

新生児など赤ちゃんの手足を触ってみたら、冷たくなっていたことはありませんか? そんなときは、寒かったり体調が悪かったりしないかと心配になるでしょう。そこで今回は、赤ちゃんの手足が冷たくなる原因と対応、注意すべき場合などをまとめました。

赤ちゃんの手足が冷たくなる原因は?

手足が冷たい赤ちゃん
Lazy dummy

「赤ちゃんの手足は温かい」というイメージがあるかもしれませんが、実は赤ちゃんの手足は冷たくなりやすいのです。手足が冷たくなる原因はいくつかあります。

【1】皮下脂肪が少なく、保温しにくいから

赤ちゃんの体は、大人よりも体重当たりの体表面積が大きいです。これは熱しやすい一方で「冷めやすい」特性もあるということ。それは新生児も一緒です。

そのうえ、体温を維持する役割のある「皮下脂肪」が赤ちゃんは大人よりも少なめです。そのため、皮膚から熱が逃げやすく保温しにくいので、衣服でおおわれていない手足はすぐに冷たくなりやすいのです。

【2】外気温の影響を受けやすいから

外気温など環境の気温が変化すると、私たちの体は一定の体温を維持するために、熱を作ったり反対に熱を外に放出しようとしたりする反応が起こります。

暑い時には体温が上がり過ぎないように、皮膚の毛細血管が拡張して熱を放出し、寒い時は毛細血管を収縮させて熱が逃げないようにします。

ただし、赤ちゃんは月齢が低いほど体温調節の機能が未熟なので、外気温や室温などの環境に影響されて、体温が上がったり下がったりしやすいのです。そのため、寒い時期や冷房の効いた室内などで気温や室温が低いと、体や手足が冷たくなってしまいます。

赤ちゃんの手足が冷たいときの対応は?

手足が冷たい=寒い? 見分ける方法

赤ちゃんの手足が冷たいと、まず寒いのではないかと思いがちですが、そうではありません。赤ちゃんの全身をさわって確かめ、背中やおなかなど露出していない部分が温かければ、手足が冷たいのは体温調節をしているのですから心配いりません。

ただし、赤ちゃんの機嫌が悪いうえに体全体も冷たいようなときには、寒いということなので温めてあげましょう。

赤ちゃんの機嫌がよくていつもと変わらなくても、手足が冷たいうえに体全体も冷えているときには、着せるものや室温などを調節します。

① 衣服を調節

体全体が冷たいときは、まず着せるもので調節しましょう。ベストやカーディガンなどなら、上からサッと着せられて、暑そうになったら脱がせやすいので便利ですね。

② 環境、室温を調節

赤ちゃんの体温は環境に左右されやすいので、冷房や暖房をうまく使って室温を調節することも大切です。

東京都福祉保健局の「健康・快適居住環境の指針(平成28年度改訂版)」では、乳幼児の過ごす部屋の室温は、夏は外気より4~5℃低いくらい、冬は20~25℃くらいがよい[*1]としています。これを目安に、調節しましょう。

ただし「温め過ぎ」には要注意!

赤ちゃんは体温調節機能が未熟で、手足で体温を調節しているので、手足が冷たいからと言ってむやみに温めればいいというわけではありません。すでに説明したとおり、全身をさわってみて、背中やおなかなどが温かければ、手足で体温調節をしているということなので心配いりません。

手足が冷たいからといって、室温を上げ過ぎたり着せ過ぎたりすると、今度は熱がこもって体が熱くなってしまうことがあります。また、手足をおおってしまうと赤ちゃんは体温調節をうまくできなくなる可能性があるので、寒い時期の夜でも室内でねんねしている時には手袋をつけたり靴下をはかせたりするのはやめたほうが良いでしょう。

なお、くわしい理由はよくわかっていませんが、睡眠中の着せ過ぎ・温め過ぎは乳児突然死症候群(SIDS)の誘因の一つになると考えられています。手足が冷たいからといって、睡眠中に厚着させたり温め過ぎたりしないよう、十分に注意してくださいね。

赤ちゃんの手足が冷たい時、気をつけたい病気は?

赤ちゃんの手足が冷たい時、気をつけたい病気は?
Lazy dummy

赤ちゃんの手足が冷たくなっていて、具合も悪そうなときには、何らかの病気が原因のこともあります。

発熱の途中で手足が冷たくなることも

赤ちゃんの機嫌が悪くていつもと様子が違い、手足も冷たくなっているときは、感染症にかかっているのかもしれないので熱を測ってみましょう。ウイルスなどに感染すると、人間の体は体温を上げて病源体を退治しようとするために熱が高くなります。そのとき、体内の熱が放出されないように毛細血管が収縮するので、手足も冷たくなるのです。

とくに重症の感染症では高熱なのに手足が冷たいことも

赤ちゃんの機嫌が悪く、高熱を出しているのに手足が冷たい場合には、まれですが重症の感染症が原因のこともあります。

ただし、こうした場合は「手足が冷たい」だけでなく、ぐったりしていたり発熱もあるはずです。「ヒブワクチン」や「肺炎球菌ワクチン」が定期接種となり、赤ちゃんの髄膜炎はかなり減りました。ワクチンは病気の発症や重症化を防ぎ、赤ちゃんの命を守ってくれるものです。予防接種はかならず受けましょう。

病院に連れて行った方がいい目安

赤ちゃんの「手足が冷たい」ことに気付いて、病院に連れて行ったほうが良いのは、発熱など、ほかにも気になる症状があるときです。下記を目安に、いつもとなんだか違うと思ったらできるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう[*2]。

「手足が冷たい」以外にこんな症状もあったら

<時間外でもすぐに受診!>
・生後3ヶ月未満で38℃以上の発熱がある
・初めてけいれんした
・たびたび吐いている
・呼びかけに対する反応が悪い、眠ってばかりいる
・母乳やミルクを飲まない
・顔色が悪い(白っぽい、青っぽい、まだら)
・元気がない。泣き声が弱々しい、大声で泣けない
・泣いたり泣き止んだりを繰り返す(腸重積の疑い)
・半日以上おしっこが出ていない

<診療時間内に受診>
・元気だが37.5℃以上の熱が3、4日続いている

まとめ

子供が生まれると、知らないことばかりでママやパパは迷うことが多いでしょう。赤ちゃんの手足が冷たいと、「寒いの?」「体が冷えている?」と心配になるかもしれませんね。でも、赤ちゃんは手足で体温調節をしているので、多少冷たくなっていても心配いりません。

ただし、発熱が原因で手足が冷たくなることもあるので、日ごろから体温を測り平熱を知っておくといいですね。また、普段から赤ちゃんの様子をよく観察しておき、手足が冷たいことに加えて熱があったりいつもと様子が違うときには、念のため受診すると安心です。

(文:村田弥生/監修:丘 逸宏先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-