妊娠 妊娠
2021年10月11日 16:46 更新

【医師監修】妊娠中期に起こる流産とは?安定期の流産、症状と原因・確率

俗に「安定期」と呼ばれる妊娠中期に入ると、流産の危険性は低くなっていきます。しかし、流産や早産のリスクがゼロになるということではありません。ここでは、妊娠4ヶ月の後半、そして妊娠5ヶ月〜6ヶ月前半に起こる「妊娠中期の流産」について解説します。

妊娠中期に起こる流産とは?

妊娠中期の流産
Lazy dummy

流産とは、妊娠22週未満で妊娠が終わり、赤ちゃんが子宮の外に出てしまうことをいいます。この頃の胎児は子宮外では生き続けることができません。
妊娠中期にあたる期間は妊娠14~27週なので、中期の中でも22週を境目に、流産と早産※に分けられることになります。
関連記事 ▶︎流産の症状 | 流産しやすい原因と予防法

※早産:妊娠22週以降37週未満の分娩。妊娠22週以降は、必要な処置を受ければ赤ちゃんは子宮外でも生き続けられるようになってきます(早産の中でも37週以降42週未満の正期産に近づくにつれ、赤ちゃんの生存率は上がり、合併症のリスクは下がる)。
関連記事 ▶︎切迫早産とは?なりやすい人の原因と症状

注)この記事では自然流産(人工流産以外)について述べます。

妊娠中期の流産は「後期流産」

流産は発生時期によって、妊娠12週未満の「早期流産」、妊娠12週以降の「後期流産」に分けられます。妊娠4ヶ月後半〜5ヶ月〜6ヶ月前半の妊娠中期の流産は後期流産にあたります。

後期流産の発生率は1.6%
流産※は妊娠と診断された女性の14.9%に起こりますが、大部分(13.3%)は早期流産です[*1]。一方、「後期流産」は妊娠した女性の1.6%に起こります。

妊娠中期の流産の原因は、性器異常・全身疾患・感染など

後期流産の原因としては、母体の性器の異常(子宮発育不全や子宮奇形、子宮筋腫、子宮内の癒着、頸管無力症など)や全身疾患(高血圧、糖尿病など)が考えられます。また、絨毛膜羊膜炎など、細菌などの感染が原因となることもあります。

流産の症状と、その後の治療は?

流産の分類によって症状が異なり、ぞれぞれに応じた治療が行われます。

進行流産|陣痛のような下腹部痛が起こる

多量の出血や陣痛のような下腹部痛があり、いま現在流産が起こっている状態のことを「進行流産」と言います。進行流産が進行した結果は、以下の2つに分けられます。

■完全流産/かんぜんりゅうざん
完全流産は、流産した結果、子宮内容物がすべて体の外に排出された状態です。それまであったおなかの痛み(下腹部痛)や出血の症状が軽くなっているか、感じなくなっています。
この場合、特に治療は行われず、自然に子宮収縮が起こって復古が進みます。

■不全流産/ふぜんりゅうざん
不全流産は胎児(胎芽)などの子宮内容物の排出がはじまったものの、一部はまだ子宮の中に残っている状態のことです。症状としては出血や下腹部痛が続きます。
その後の治療としては、内容物が自然に排出されるのを待ったり、残ったものを取り除く子宮内容除去手術が必要になることもあります。

稽留流産|無症状のことが多く、本人が気づかないことも

子宮内ですでに胎児は死亡しているのに、腹痛や出血といった流産の症状が現れていない状態のことを稽留流産(けいりゅうりゅうざん)といいます。自覚症状がないことが多く、超音波検査で胎嚢の成長が見られない、胎児の心拍が検出できないなど医療機関での診察によって、稽留流産と確認されます。
胎児や胎盤などは自然排出されるのを待つ場合もありますが、子宮内容除去手術で取り除くこともあります。

関連記事 ▶︎稽留流産って何?予防法はあるの?流産の種類とその原因
関連記事 ▶︎妊娠初期につわりが急になくなる理由は? 流産? 受診すべき?

切迫流産|流産の危険性がある状況(流産ではない)

進行流産・稽留流産と異なり、切迫流産はあくまでも「流産の危険性のある状態」であって、流産ではありません。切迫流産の場合、少量の性器出血、軽度の下腹部痛、下腹部の緊満感、腰痛といった症状がみられますが、子宮の中で赤ちゃんは生きていています。
切迫流産の段階であれば妊娠を継続できる可能性がありますので、診断された場合は医師の指示に従いましょう。

まとめ

妊娠中期におきる後期流産には、「進行流産」「稽留流産」があります。流産の主な症状は性器からの出血と下腹部痛ですが、こうした自覚症状がないまま、流産が進行する場合もあります。もしも何度も後期流産を繰り返している場合は、医療機関での検査によって原因がわかれば、適切な治療で流産を未然に防ぐことができるケースもあります。婦人科医に相談してみましょう。

(文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]「病気がみえるvol.10 産科」(メディックメディア) p.91

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-