妊娠中期に起こる流産とは?
流産とは、妊娠したにもかかわらず、妊娠22週よりも前に妊娠が終わり、赤ちゃんが子宮の外に出てしまうことをいいます。この頃の胎児は子宮外では生き続けることができません。
妊娠中期にあたる期間は妊娠14~27週なので、中期の中でも22週を境目に、流産と早産※に分けられることになります。
※早産:妊娠22週以降37週未満の分娩。妊娠22週以降は、必要な処置を受ければ赤ちゃんは子宮外でも生き続けられるようになってきます(早産の中でも37週以降42週未満の正期産に近づくにつれ、赤ちゃんの生存率は上がり、合併症のリスクは下がる)。
妊娠中期の流産の原因は?
流産は発生時期によって、妊娠12週未満の「早期流産」、妊娠12週以降の「後期流産」に分けられます。
流産※は妊娠と診断された女性の14.9%に起こりますが、大部分(13.3%)は早期流産です[*1]。一方、「後期流産」は妊娠した女性の1.6%に起こります。妊娠中期の流産は後期流産にあたります。
後期流産の原因としては、母体の性器の異常(子宮発育不全や子宮奇形、子宮筋腫、子宮内の癒着、頸管無力症など)や全身疾患(高血圧、糖尿病など)が考えられます。また、絨毛膜羊膜炎など、細菌などの感染が原因となることもあります。
※ここでは自然流産(人工流産以外)について述べます。
流産の症状、その後の治療は?
流産は絶対におきてほしくないことですが、万が一ということがあるため、事前にどんな症状があるか知っておきたい人も多いでしょう。下記に流産の分類や症状をまとめます。
進行流産
多量の出血や陣痛のような下腹部痛があり、いま現在流産が起こっている状態のことを「進行流産」と言います。進行流産が進行した結果は、以下の2つに分けられます。
不全流産(ふぜんりゅうざん)
不全流産は胎児(胎芽)などの子宮内容物の排出がはじまったものの、一部はまだ子宮の中に残っている状態のことです。症状としては出血や下腹部痛が続きます。
その後の治療としては、内容物が自然に排出されるのを待ったり、残ったものを取り除く子宮内容除去手術が必要になることもあります。
完全流産(かんぜんりゅうざん)
完全流産は、流産した結果、子宮内容物がすべて体の外に排出された状態です。それまであった下腹部痛や出血の症状が軽くなっているか、感じなくなっています。
稽留流産
子宮内ですでに胎児は死亡しているのに、腹痛や出血といった流産の症状が現れていない状態のことを稽留流産(けいりゅうりゅうざん)といいます。
自覚症状がないことが多く、超音波検査で胎嚢の成長が見られない、胎児の心拍が検出できないなど医療機関での診察によって、稽留流産と確認されます。胎児や胎盤などは自然排出されるのを待つ場合もありますが、子宮内容除去手術で取り除くこともあります。

【医師監修】稽留流産って何?予防法はあるの?流産の種類とその原因
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/7165妊娠を待ち望んでいた人なら、妊娠検査薬で陽性反応が出たら、飛び上がるほどうれしい気持ちになることでしょう。しかし、妊娠初期は流産の可能性が高く、まだまだ油断できない状態です。流産には何種類かありますが、そのうちのひとつである「稽留(けいりゅう)流産」について、詳しく説明します。
切迫流産
進行流産・稽留流産と異なり、切迫流産はあくまでも「流産の危険性のある状態」であって、流産ではありません。
切迫流産の場合、少量の性器出血、軽度の下腹部痛、下腹部の緊満感、腰痛といった症状がみられますが、子宮の中で赤ちゃんは生きていています。切迫流産の段階であれば妊娠を継続できる可能性がありますので、診断された場合は医師の指示に従いましょう。
まとめ
妊娠中期におきる後期流産には、「進行流産」「稽留流産」があります。流産の主な症状は性器からの出血と下腹部痛ですが、こうした自覚症状がないまま、流産が進行する場合もあります。もしも何度も後期流産を繰り返している場合は、医療機関での検査によって原因がわかれば、適切な治療で流産を未然に防ぐことができるケースもあります。婦人科医に相談してみましょう。

(文:マイナビウーマン子育て編集部/監修:宋美玄先生)
※画像はイメージです
[*1]「病気がみえるvol.10 産科」(メディックメディア) p.91
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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