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2022年06月14日 11:00 更新

丸の内の森レディースクリニック 宋美玄先生|女性のライフステージに寄り添った医療を提供

2017年の秋に丸の内の森レディースクリニックを開業した宋美玄先生。書籍がベストセラーとなり、女性の医療や性の知識についてSNSやメディアでも積極的に情報発信をしています。そんな先生のクリニック開業の理由と理念をうかがいました。

ーーー東京駅周辺の主要駅からのアクセスがとても良いですよね。立地もあってやはり患者さんは働く女性が多いですか?

そうですね。東京駅から1分、日本橋、大手町からも徒歩圏内です。

この地域はオフィスやデパートもあって、女性がたくさん働いているのに彼女たちをケアする場がないのはおかしいと思って、オフィス街を選んだのですが、開業当初は周囲からも驚かれました。

でもいざ開業してみると、職場の近くに安心して通えるクリニックができて嬉しいと言ってくれる女性がたくさんいて、すごく喜んでもらえたんです。やっぱりこの場所を選んでよかったなと思いました。周辺のオフィスで働いている人がランチやちょっとしたすきま時間に職場を抜けて健診に来られたり、学生さんが乗り換えのついでに寄られたりもしています。

あと、胎児超音波検査や月経困難症や過多月経の治療にもなる子宮内避妊具の挿入など、地元のクリニックではやっていない治療を目的に遠方から来てくれる患者さんもいます。

ーーー丸の内の森レディースクリニックでは、どんな診療が受けられますか。

はい、産科領域では妊婦健診や胎児超音波検査などをやっています。
日本は実家近くの産院で出産をされる方も多いので、里帰り分娩を望む方や充実した設備のある病院で産む予定の方を対象にした妊婦健診です。
普段は職場に近く、通いやすいうちのクリニックで妊娠34週くらいまで妊婦健診を受けてもらい、産休に合わせて出産する病院へ引き継ぎます。

分娩をされる産院との連携はもちろん、高度な設備でお産をやっている都内のクリニックとも提携しているので様々な検査や診療をできる体制を整えています。

それから、婦人科外来全般ですね。月経や更年期のトラブルを対象としたピルや漢方の処方もやっています。

あとはインフルエンザやHPVのワクチン接種などです。ワクチン接種は、男性の方も受け付けています。新型コロナワクチンもバンバン打っていましたね(笑)

ーーー胎児超音波検査とはどのようなものでしょうか。

厳密には、胎児精密超音波検査といいます。おなかにジェルを塗って胎児をみるエコーは有名ですよね。標準的なエコー検査は、胎児の生育や羊水の量、胎盤の位置などをチェックするものです。

これに対し、胎児精密超音波検査は、最新のエコー機器をつかって胎児の体の様子をみる検査のことで、通常のエコーでは確認できない詳しい情報が得られます。週数によって変わってくるのですが、19週以降の中期の検査では赤ちゃんの体が作られてくるので、臓器のサイズや向き、胎盤の厚み、血流など、より細かい情報を得ることができます。

高度な機材を使うことや、医師や技師に技術が必要なので、できる病院は限られていますが、赤ちゃんの状態を詳しく知ることができるため、問い合わせの多い検査です。

この検査を受けた方には、3D/4Dエコーのカラー写真と動画をプレゼントしているのですが、赤ちゃんがこっちを向いていると顔立ちがはっきり見えて、すごくかわいいんですよ。興味のある妊婦さんはぜひ見てほしいですね。

ーーー宋先生は積極的にメディアやSNSでの発信もされています。情報発信をされるのにはどういった背景があったのでしょうか。

先ほどの超音波検査について学ぶために、ロンドンに留学していた時期があるのですが、日本と海外の性教育に対する姿勢の違いに驚いたんですよ。

私は医学部でそんな教育を受けたことはなかったんですが、海外出身の医師は性について過剰にタブー視することなく、義務教育の過程であったり、研修医時代に「医学としての性」を学ぶ教育を受けていました。
それで、日本性科学会に所属して、性機能についてきちんと学んだことが、大きな転機だったと思います。

人間の性反応を生理学的、解剖学的に理解することを経験して、これはもっとたくさんの人が知るべきだと思ったんです。この問題意識がきっかけになった書籍 『女医が教える本当に気持ちのいいセックス(ブックマン社)』がヒットしたおかげで、講演や雑誌の取材を受けるようになりました。

我ながらタイトルや表紙も含めてインパクトあったなと思いますけど、女医がたんたんと性や性行為について科学的に語った書籍に、こんなに需要があるんだとびっくりしました。同時に、それだけセックスを楽しめなくて困っている人達が多いのだということを痛感しましたね。

それ以来、無理のない範囲でメディア出演のお仕事もしていますが、私がメディアで話題に出したことで、そんな治療ができるならもっと早くやりたかった、とクリニックにきてくれる患者さんも少なくないです。

理由はどうあれ、産婦人科に足を運ぶきっかけになれるなら嬉しいなと。

クリニックで私が向き合える患者さんや妊婦さんの数には限界がありますけど、情報発信をすれば、男性も含めてよりたくさんの人に伝えられるし、1人でも多くの女性に幸せになってもらえますから。

ーーーコメンテーターとしても、産婦人科医としても活躍されているタイミングでの開業は大変だったと思いますが、開業に至った理由は何だったのでしょうか。

そうですね。もともと、産婦人科医としての経験を詰みながら、自分のやりたい医療を提供できる場は欲しいと思っていました。

一番の理由は、少子化でお産そのものが減ってきているなかで、これからは女性のライフステージ全般に寄り添った医療を提供したいという気持ちが強くなったからですかね。物件や一緒に診療をやっていく仲間など、タイミング的に色々な条件が揃ったというのもありました。

女性には大きく分けて思春期・性成熟期・更年期・老年期という4つのステージがあります。思春期は皆さんが知っている通り、月経が始まったりして子供が産める体に変化していく時期、性成熟期はその体や女性ホルモンの働きが安定して妊娠、出産を経験する時期です。そしてその女性ホルモンの分泌が急降下する時期の更年期、そして閉経後に老年期を迎えることになります。

これらのステージには女性特有のものも含めてそれぞれの年代の悩みがあります。月経が始まると生理痛やPMS(月経前症候群)に悩まされる女性は多いですし、有名な更年期障害なんかも、婦人科でホルモン補充療法などを行って不調を改善することができます。

たとえば、子宮内膜症を放っておくと不妊の原因になることもあるので、将来子供を持つことを考えたときに、「まだ少し先かな」と思う年代から適切な治療を受けられることはとても重要なんですよね。

こういった女性特有の疾患や妊娠、出産の不安に対して、気軽に悩みを相談できて、適切な治療にアクセスできる場をつくりたかったんです。

ーーー最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

はい、日本では、年代に関わらず、体の悩みを抱えながら我慢している女性はとても多いと思います。生理痛がひどくて痛み止めなしでは日常生活もままならないような状態でも、病院に行かずに我慢していたりする。

最近では、働く女性のパフォーマンスに注目が集まったり、生理の貧困がクローズアップされたりして、理解も進んできましたが、産婦人科の領域には、月経や妊娠、出産など、まだまだ女性の意志決定や痛みが尊重されずに放置されている現実があります。

丸の内の森レディースクリニックでは、女性の主体的な意思決定を尊重することを大切に、妊婦健診や胎児の検査、婦人科系の外来を行っています。医療が力になれるのは、病気の治療だけではありません。

不快なことを少しでもやわらげて快適な生活ができるように、保険の範囲でできることもたくさんあります。気になることがあれば気軽に受診してみてください。

1人でも多くの妊婦さんや働く女性の力になれたらと思っています。小さなクリニックですが、高度な設備をもった医療機関とも連携しています。Web予約制で待ち時間もできるだけ少ないように工夫していますので、安心して相談にきていただけると嬉しいです。

丸の内の森レディースクリニック

■住所:東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング9F
■電話番号:03-6206-3900
■診療時間:
診療時間
9:00-13:00
14:00-16:30 14:00-16:00 14:00-16:30 13:30-15:00
18:00-19:00
13:30-15:00

※予約制(当日予約可)、緊急避妊は予約不要
■休診日:土曜・日曜・祝日
■HP:https://www.moricli.jp/
アクセス
・「東京」駅の丸の内側、地下コンコースより新丸ビル直通
※オフィスエントランス1Fのエレベーターからのみのアクセス

(取材・文:マイナビ子育て編集部)

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